VOL .4
帳票業務の工数とコストを削減
ネットワークが影響を与えるのは、ビジネスの表舞台ばかりではありません。陰でビジネスを支えているバックヤードの部門でも、業務の効率化やコストの削減など、様々な影響を与えています。今回は、経理部門におけるネットワークの活用法を見てみましょう。
「ヒト、モノ、カネ」といった自社の経営資源を正確に把握し、最適な配置を実現することは、企業が成長するためには、絶対に欠くことのできない取り組みです。しかも、環境変化への迅速な対応が求められる今日では、そうした取り組みに迅速さも要求されるようになりました。そのため、ボックスホビー社では、全社にネットワークを張り巡らし、受発注データや生産状況、在庫数などのリアルタイムな吸い上げと処理を実施。常に自社のビジネスが見えるようにしています。こうした取り組みは、経営層(VOL.1参照)、営業部門(VOL.2参照)、製造現場(VOl.3参照)だけでなく、バックヤードから企業を支える経理部門の業務にも影響を及ぼしています。
まず、様々な情報がネットワークによって収集され、リアルタイム処理されているため、資金繰りのベースとなる日次、月次の経理処理による負荷を大幅に軽減することができました。日々の集計業務をシステムが肩代わりしてくれているのです。これにより、期末に行う、決算書の作成も大幅に短期化しています。
また、経理部門の主な業務の1つに帳票類の作成・送付がありますが、ボックスホビー社では、ネットワークによって集計した情報を自動的に帳票フォーマットに落とし込む仕組みを構築。作業の大幅な省力化を実現しています。さらに、帳票類の送付にもネットワークを活用。昔は郵送、最近ではFAXで取引先へ帳票書類を送っていたのですが、インターネット環境の整っている取引先には、帳票書類をデータで送信しているのです。
数田氏が感心していたのも、このシステムのこと。『おやすみラビット』のヒットで、帳票作業も激増しましたが、大きな混乱はなかったようです。
こうした取り組みにより、ボックスホビー社では、経理業務の負荷軽減だけでなく、紙文書の削減にも成功しているのです。
「インスタント・マッスル・ヨーヨー」のヒットにより、全社をあげての生産体制に入ったスタートイ社。その余波は、もちろん経理部にも及んでいます。
ボックスホビー社では、すでにIT化されている帳票業務ですが、スタートイ社では、いまだに紙をベースにしたやり取りを行っています。まず、各拠点から送られてくる情報を確認し、それを元に、オフィスコンピュータを用いて帳票を作成。それをプリンタで出力して、各取引先に郵送しているのです。
1枚の帳票を作成、送付するのに、これほどの手間をかけているのですから、月末の惨状には目も当てられません。細田氏と経理部長のやり取りを見ていただければ、わざわざ言うまでもないでしょうが…。
加えて『インスタント・マッスル・ヨーヨー』のヒットが、経理部員たちにさらなる負担を与えました。寝不足の日々が続き、それが新たなミスを誘引しています。決算期の話は…、するまでもありませんね…。一部の取引先からは、取引を電子化してほしいという要望もあるようですが、今のところ対応する予定はありません。
さらに、経理部の重要な役割の1つに、経営陣に対し意思決定の材料となる経理データを提供するという仕事があります。スタートイ社とて、それは例外ではありません。まれに(それも問題なのですが)、「●●のデータ」が欲しいという要望が来ることがあるのですが、対応にかなりの時間がかかってしまい、結局役に立たないことも多いようです。

社内、社外を問わず、ビジネスにおいてコミュニケーションは不可欠な要素です。その主役は、やはり電話。VOL.1で、ボックスホビー社が電話やeメール、その他のコミュニケーションツールを統合した環境を構築し、利便性を強化していることについてはふれました。その取り組みの一環として、電話の面では、固定電話と携帯電話を統合。同一の携帯端末で、オフィス宛にかかった内線電話も受けることが可能となる「モバイルセントレックス」というシステムを導入しています。
これによりボックスホビー社では、他人宛にかかってきた電話の取り次ぎ業務はなくなりました。また、外出することの多い営業担当者たちには、「携帯電話と固定電話の番号を使い分けなくても、電話をいつでもどこでも受けることができ、お客さんも喜んでくれている」と好評。今回の『おやすみラビット』のヒットでも、ほぼ販売機会を逸することはなかったようです。
VOL.2で紹介した、社外からも社内のシステムにアクセスでき、様々な業務を行うことができる「リモートアクセス」と併用すれば、まさに「どこでもオフィス」を実現することができます。
さらに、ボックスホビー社では、この電話システムのインフラ部分を通信事業者にアウトソースしているため、これまでは同一拠点間だけだった無料内線通話の領域が拡大。遠方拠点同士でも、内線通話は無料となり、大幅に通話コストを削減できました。
モバイルセントレックスを導入し、電話におけるコミュニケーションの利便性向上とコスト削減に成功しているボックスホビー社に対し、スタートイ社の電話環境は、まだ固定電話だけです。そのため、電話の取り次ぎ業務が本来業務を圧迫したり、なかなかつかまらない営業担当者に、顧客がしびれをきらしてしまうこともしばしばです。
その上、今回問題になっているのが、携帯電話の通話コスト。スタートイ社では、個人の携帯電話でも、仕事で利用した分については、通話料金を会社から支給することにしています。そのコストが、日増しにふくれあがっているようなのです。
その理由は、細井氏の指摘するとおり、社内通話にも携帯電話が使われていることにありました。
電話をかける際、相手が社内の人であっても、常に自席にいるとはかぎりません。そのため、社員たちは手っ取り早く用事を終わらせようと、相手の携帯電話に電話をかけているようなのです。しかも、携帯電話を使って…。相手の携帯番号が携帯のメモリに登録されているため、ついつい、ワンタッチで操作できる携帯電話を使ってしまうのでしょう。
つまり、コミュニケーション環境の不整備によって利便性向上もコスト削減も実現できていないだけでなく、逆にコストを増大させてしまっているのです。
きっと、専務も、それを知りたくて経理部に通話料のデータ集計を指示したのだと思われます。この報告を聞いて、何らかの対応策を取ってくれることを期待しましょう…。

挽回を期待したスタートイ社ですが、バックヤード部門でも、やはりボックスホビー社には及びませんでした。きっと働いている社員にかかる負担にも相当な違いがあることでしょう。実際、数田氏の言葉にもそれは表れています。
次回はネットワーク活用の主役ともいえる、ITシステムに関する部門での両者の違いについて紹介します。
(2006年12月11日公開)

-
Printviewは「Windows、オフコン、ACOS、UNIX、Linux」上の業務アプリケーションの印刷データを電子文書化し、ペーパレスの実現や・・・続きを読む

-
ユビキタスで一歩先行くコラボレーションを実現。あらゆるビジネスをシームレスにつなぎます。無線LANとFOMA?のワイヤレス技術を・・・続きを読む
















