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汗と涙と“ネットワーク”どこで差がつく成長曲線

VOL .3

生産現場の可視化と高い柔軟性を実現

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 製造業を営む企業にとって、心臓部ともいえるのが「生産部門」です。かつては熟練した工員の経験と勘に頼ることも多かった部門ですが、今日、大きな変化が起きています。ネットワークが、生産現場の姿を変えようとしているのです。

ボックスホビー 株式会社

株式会社 スタートイ

Scene1「生産管理」

ボックスホビー 株式会社

 メーカーの製造現場には、納期の短縮、コストの削減など、様々な課題が突きつけられています。そうした課題に対する有効な解決策として、ボックスホビー社では、やはりネットワークを活用しています。

 同社は、VOL .1でも見たように全国の拠点や部門を広帯域な全社ネットワークで接続。その上で、商品の受注量、在庫数、生産状況、購入資材などを管理するシステム活用し、自社のビジネスの状況をリアルタイムに把握しているのです。こうした取り組みにより、生産部門と各部門が連動。受注量に応じた生産、在庫の適正化を実現しました。ですから、『おやすみラビット』の急なヒットにも、生産現場があわてることはありません。

 また、時にメーカーでは、大量発注・生産によって、コストを削減したい資材調達部門や生産部門と、できるだけ在庫を抱えたくない販売部門とで、意見に食い違いが出ることもあります。しかし、ボックスホビー社では、各部門が全体的な視点から状況を見ることができるため、そうした事態を招くこともありません。さらに、以前は同じ資材にも関わらず、管理番号が複数存在することもありましたが、今ではきちんと体系的に管理されています。

 つまり、ボックスホビー社では、ネットワークを活用し、全社的に情報を共有することで、生産の現場におけるあらゆるムダを省いているのです。

 かつては、専用線などを用いて、この全社ネットワークを構築していましたが、現在では、通信キャリアの提供するVPNソリューションを活用。これにより、構築・運用コストを大幅に軽減しています。もちろん、重要な情報をやり取りするため、セキュリティにも十分配慮しています。

株式会社 スタートイ

 全社ネットワークを活用し、生産状況を一元管理。リアルタイムな情報共有を行っているボックスホビー社に対し、スタートイ社の生産現場は、少し前の情報しか見ることができません。なぜなら、受注1つを取っても、営業部員からメールや電話で個別に連絡がくるだけで、全体像がつかめないのです。そのため、VOL1、2でも、お伝えしてきたように、各部門の活動はとてもちぐはぐしています。

 これまでは、そうした事態も責任者の人望や人脈、勘と経験で乗り切ってきましたが、昨年、その責任者が引退してしまい、現場は混乱気味。後任である無田氏も、それを自覚し、情報共有基盤の構築やスケジュールの自動化などを提案しているのですが、他部門の協力が得られず、一向に改革は進みません。

 フル稼働しても追いつかないほどの受注があるというのに、今回も他部門がネックとなり、状況はさらに悪化。商品は売れている。工員の手も余っている。でも資材が足りない…。こんなのもったいないですよね…。

Scene1「生産管理」

Scene2「生産ライン変更」

ボックスホビー 株式会社

 特定の商品だけでなく、扱う資材、生産工程、求められる生産量も違う複数の製品を同時に生産しなければならない生産部門には、その時々に応じ、生産ラインを素早く組み替えることが求められます。

 ボックスホビー社の生産部門では、通常、製品ごとにグループを分け、そのグループごとにLANを構築。そのネットワークを通じて生産活動と管理を行っています。これにより、他グループへの情報の誤送信や情報の漏えいといったリスクを排除しているのです。

 しかも、LANの構築には、柔軟にネットワークの変更が可能となるVLANの技術を採用。グループの変更にも迅速に対応できます。赤井氏が工員にシステム部門への連絡を命じていたのも、このため。電話を受けたシステム部門は、管理画面上で設定を変更するだけで、ネットワークを簡単に組み替えることが可能です。

 とはいえ、実際に商品を生産するのは工員たち。突然、他の商品の生産ラインに組み込まれても、知識はまったくありません。そこで、ボックスホビー社では、作業台にモニターを置き、ネットワークを通じてマニュアルを表示するようにし、工員ごとの習熟度による作業スピードや品質の差を最小化しているのです。

 このマニュアル表示システムは、前述したグループごとのLANと連動しているため、「担当している商品と違うマニュアルを見ていた」という事故は起こりません。また、ネットワークの帯域幅も大きいため、マニュアルのデータ量が大きくなってしまっても問題ありません。

株式会社 スタートイ

 『インスタント・マッスル・ヨーヨー』のヒットにともない、とうとうスタートイ社では、全工員総出での生産に取りかかりました。しかし、これまで違う製品を作ってきた工員にとっては、慣れない作業の連続。もちろん、マニュアルも用意されていますが、紙ベースでの管理となっており、工員の取り違いによるミスもしばしば起きています。それが、また起きてしまいました。どうやら工員Aは、おもちゃショップなどに展示する大きな見本用のマニュアルを見て、その部品でヨーヨーを組み立ててしまったようなのです…。

 そもそも、作業工程がきちんと管理されていれば、どこかで違う部品が使われていることに気がついたのでしょうが、スタートイ社の管理は1日の終わりに書く報告書が管理のベースになっているため、発見が遅くなってしまったのです。おまけに、工員AとBは、責任の所在をなすりつけあう始末。

 また、シーン1で述べた足りない部品をどうやって代用すればいいか、開発部門に問い合わせているらしいのですが、返事が来る気配は一向にありません。この連携のまずさによって、まれにではありますが開発部門の指示通りに組み立てると、商品がうまく動かない、という状況も招いているというから深刻です。

 こうなっては、もうお手上げ。無田氏には、少し同情してしまいます。

Scene2「生産ライン変更」

まとめ

 今日、ビジネスを成功させるには、環境変化への柔軟で迅速な対応と様々な立場の人材がそれぞれの知見を持ち合うコラボレーションが欠かせません。今回の2社の状況を見比べれば、それは明らかではないでしょうか。  でも、ヒット商品を生み出す力はあるのですから、少し発想を切り替えればスタートイ社だって、まだまだやり直せるはず。次回からの挽回に期待しましょう。

(2006年11月6日公開)


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