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ネットワーク基礎講座応用編

− 第4回 −

ブロードバンドネットワークが実現するビジュアルコミュニケーション

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ネットワークの過負荷の回避やビデオの通信品質を高める工夫も必要

 ビデオ会議システムは、かつて専用線やISDNが主に利用されていましたが、近年はIPネットワークに対応するシステムが一般的です。また、PCベースのWeb会議システムも豊富な製品が市場に投入され、企業で導入しているIP-VPNや広域イーサネット、インターネットなどを用いてビジュアルコミュニケーション環境を企業ネットワークに統合することも容易になっています。

 ただし、既存の社内網にビデオ会議システムを統合する際、ネットワークの見直しが求められることもあります。複数拠点間を結ぶビデオ会議を行う場合、各拠点のビデオ信号を制御するMCU(多地点接続制御装置)が設置されたセンター拠点にトラフィックが集中し、ネットワークの広帯域化が必要になることもあるからです。例えば5拠点を結んで384kbpsの回線速度で会議する場合、単純計算でもセンター側には約2Mbpsの帯域が必要となります。そこで、MCUをデータセンターに設置するなど、ネットワークの過負荷を回避する工夫も必要です。

 ピア・ツー・ピアで接続するPCタイプの場合も、各端末には接続拠点数に応じてビデオ信号が流れるため、広帯域のネットワークが必要になるケースもあります。狭帯域の回線を利用する小規模拠点などでは、会議システムの稼働中、他の業務アプリケーションに影響を与えないとも限りません。そこで、ビデオのビットレートをクライアント側で設定可能なシステムもあり、ビデオの品質は多少低下しても、データ共有などは確実に行いたいというニーズに応えられそうです。

 ミッションクリティカルな基幹データなどの帯域確保や高品質なビデオ会議を行うためには、優先制御や帯域制御などでQoSを確保する仕組みも、ビジュアルコミュニケーション導入のポイントになります。アプリケーションごとにきめ細かく帯域を割り当てることで、ネットワークの有効利用が可能です。しかし、リモートの小規模拠点などで会議システムのために帯域制御装置などを導入するのは、コスト的に困難という企業もあるでしょう。

 Web会議システムを導入したある企業では、既存ネットワークとは別に、会議システム用に安価なADSLやFTTHなどのブロードバンド回線とインターネットを用いることで基幹システムへのトラフィックの影響を回避するとともに、国内外の拠点を結ぶ会議を可能にしている例もあります。



ネットワークの有効利用やセキュリティ確保もポイント

 企業ネットワークの有効利用を図りつつ、高品質なビジュアルコミュニケーション環境をいかに構築するかが情報システム担当者の命題になります。こうした要求に対応するため、高効率の動画像圧縮が可能なH.264に対応する会議システムも各種提供されています。H.264は、従来のH.263に比べ約2倍の圧縮が可能なため、例えば384kbpsの回線速度で会議システムを利用している企業は、192kbpsで同等の通信品質を得られることになり、帯域の有効利用や通信コストの低減も期待できます。

 また、ベストエフォート型の通信サービスを利用する場合、網内の輻そうなどによってパケットロスが発生し、通信品質が低下することも考えられます。こうしたパケットロス時にビデオのビットレートを自動的にコントロールすることで画質の劣化を防ぐという会議システムもあります。

 企業のIPネットワークやインターネットを介してビデオ会議を行う場合、NAPT(Network Address Port Translation)の対応にも留意する必要があります。NAPTはインターネットで使うグローバルIPアドレスと社内LANのプライベートIPアドレスの変換に加え、パケットの送信元TCP/UDPのポート番号を変換する役割があります。H.323やSIPを利用するビデオ会議やIP電話の場合、通信相手が返信先を判断できるよう、IPヘッダー以外にデータ部分にも送信元アドレスを書き込みます。

 しかし、NAPTではデータ部分のアドレスまでは書き換えないため、通信相手の応答パケットが届かず、通信できないという問題が起こります。こうしたNAPTの問題を解消するため、トンネリング技術を用いてプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換するNAT(Network Address Translation)越えを可能にするビデオ端末や、NATトラバーサルに対応するブロードバンドルーターなどが提供されています。

 また、企業ではセキュリティの強化が必須になっており、ビデオ会議も例外ではありません。とりわけ、機密情報を扱う役員会議の会話が盗聴されたり、会議資料の情報が改ざんされたり、外部に流出しては大問題です。そこで、ビデオ、音声、データの暗号化や会議参加者のアクセス権設定などの機能を備えるシステムもあり、セキュリティの確保をサポートしています。


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