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ネットワーク基礎講座応用編

− 第3回 −

センサーネットワーク
幅広い用途で期待されるセンサーネットワークとRFID

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 ユビキタスネットワーク社会の実現に向けた基盤技術のひとつとなるのが、超小型無線装置を内蔵した多数のセンサーを相互に連携するセンサーネットワークや、無線ICタグに記録された情報を読み書きするRFID(Radio Frequency Identification)です。人やモノの状況をセンサーが認識し、センサー同士がネットワークを介して情報をやり取りすることによって、防災や防犯・セキュリティ、食品・農業、医療・福祉、物流など、広範な分野でのIT活用を促進すると期待されています。また、RFIDは食品のトレーサビリティ(生産・流通の履歴の追跡・管理)や製品のサプライチェーンマネージメントなどに加え、企業の情報漏えい防止などのセキュリティ対策としても注目されています。



自律的に連携するセンサーネットワーク

 人やモノの状況を認識して、自律的に連携するのがセンサーネットワークです。ユビキタスネットワーク社会の実現においてもセンサーネットワークは欠かせない技術であり、応用範囲も非常に広いものなのです。

 人と人、人とモノ、モノとモノがネットワークを介して結びつき、いつでも、どこでも、どんなものでも容易にコミュニケーションできるようになると期待されるユビキタスネットワーク社会。その実現に向けて、センサーネットワークが注目されています。総務省の情報通信白書(平成17年版)によれば、ユビキタスセンサーネットワークの意義について、人・モノの状況や周辺の環境などをセンサーが認識し、センサー同士の自律的な情報の流通により、状況へのリアルタイムな対応を可能にすることで、医療・福祉、防犯・セキュリティ、防災、環境リスクへの対応など、社会・経済活動における情報コミュニケーション技術の支援強化が期待されるとしています。

 例えば、家庭内に設置したセンサーで高齢者の脈拍や血圧などのデータを自動的に収集し、ネットワークを介して病院に送り、医師によるチェックが受けられるようになれば、健康の維持・管理に役立ちます。また、住宅やオフィス、商店のドアにセンサーやWebカメラを取り付けて監視することにより、不審者の侵入や火災発生を検知して警察や消防、警備会社へ通報するなど、防犯・防災に役立てることも可能です。

 センサーによる家庭での健康管理や住宅、オフィスでの防犯・防災などは現在でも可能です。しかし、家庭やオフィスといった狭い範囲の利用にとどまらず、センサーネットワークが広範なエリア、用途に対応する社会インフラとなるためには、さまざまなセンサーが自律的に連携して複数の情報を収集して状況を認識する。そして、リアルタイムに対応できるセンサーとネットワーク技術が重要になります。

 例えば、前述の高齢者が急病で病院に搬送される場合、病院は患者の血圧や脈拍など、常日頃からセンサーで収集しデータベースで管理していた健康情報を検索。患者を搬送する救急車にその情報を伝達して、的確な応急処置を行うといったことが可能になると考えられています。

 また、センサーネットワークは農業分野での応用も可能です。水田や畑に、温度や湿度、CO2濃度、土壌成分などの気象・環境情報を収集するセンサーを設置。無線ネットワークを介してそれらの情報を収集し、データベースで一元管理する仕組みを構築します。これにより、作付けや肥料を与える時期、収穫時期などの参考にしたり、あるいは蓄積した情報を元に農作物の生産量や品質とその年の気候との因果関係を分析するなど、農作物がどのような環境で育てられ、いつ収穫されたのかといった情報管理に活用することが可能になると期待されています。

図1 センサーネットワーク

図1 センサーネットワーク



課題はオープンなセンサーネットワーク

 ただセンサーネットワークを広範囲に構築するだけでよいのか、というとそうではありません。機器の相互接続性を確保した、オープンなセンサーネットワークの実現が課題なのです。今後、適用範囲が公共の場にも広がっていくことを考えたとき、オープン化は自然な流れだといえるでしょう。

 こうしたユビキタスセンサーネットワークを実現するためには、さまざまな技術的な課題を克服する必要があります。防犯や防災などに利用されている現在のネットワーク型センサーから、オープンなプラットフォームによる機器間の相互接続性や相互運用性を高めたオープン型センサーネットワークの実現が求められる。総務省の「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する調査研究会」の報告では、そう指摘しています。

 ネットワーク型センサーは、センサーをネットワークに接続して遠隔地のデータを収集するものですが、センサー機器とネットワークの接続方法は各ベンダーが独自仕様により個別にネットワークを形成していることが多いのです。このため、センサー機器の接続規格をオープンにし、異なるベンダーの製品でも連携できるオープン型にすることで、効率的なセンサーネットワークが実現すると期待されています。技術的には、規格を共通化して各ベンダーの機器、機能を連携することや、既存ネットワークとの連携を図るためのミドルウェアなどの利用を同研究会では提言しています。

 さらに、多数のセンサーを自律的に相互接続してサービスの連携を充実させることにより、ユーザーはいつでも必要なサービスを受けられるようになります。これを実現するユビキタスセンサーネットワークが今後の主流になると考えられると、同報告書では述べています。そして、ユビキタスセンサーネットワークを実現するための技術として、センサーの高機能・高精度化をはじめ、センサーを相互接続するための無線アドホックネットワーク(基地局を介さずに直接機器で通信する形態)や、位置検出などのセンサー管理といったさまざまな課題を挙げています。

 ユビキタスセンサーネットワークのアプリケーションとしては、前述の防犯や農業、医療のほか、環境保全や交通、施設制御、物流などのさまざまな分野での適用が考えられています。例えば、交通ではタクシーや道路に設置したセンサーからデータを収集し、道路の混雑情報を提供して渋滞を解消したり、車を迂回させることで排気ガスの集中的な発生を防止するといった環境対策も可能になります。また施設制御では、人の入退室にセンサーが反応し、照明を点灯・消灯するといったシステムも実在していますが、センサーと室内にいる人数や位置情報を組み合わせることで、人がいる場所の照明や空調を自動的に制御するなど、より高度な使い方も可能になるといわれます。


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