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ネットワーク基礎講座

− Vol.6 −

ユビキタス社会の実現に向けて
期待高まるIPv6

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 いつでも、どこでも、誰でも必要な情報をやり取りできるユビキタス社会を実現する重要な技術となるのがIPv6です。ほぼ無限ともいえるアドレス空間やプラグ&プレイによるIPアドレスの付与、セキュリティの強化などの特長を備えており、あらゆる機器に固有のグローバルIPアドレスを与えることでビジネスや生活の利便性が高まると期待されています。本格的な普及に向け、IPv6対応の通信サービスやネットワーク機器も各種提供される中、システム管理者には既存のIPv4環境を活用しながら、いかにスムーズにIPv6へ移行するかといった課題もあります。今回は、IPv6の可能性や企業ネットワークにおける IPv6の展開方法などを概観します。



次世代のICT社会に向けて注目される「u-Japan構想」

 近年、ユビキタスという言葉が一般的に使われるようになりました。この語源は「どこにでもいる(遍在する)」という意味のラテン語で、転じて、あらゆるモノがネットワークを介して接続され、いつでも、どこでも、誰でも、どのような機器でも必要な情報をやり取りできるICT(Information Communication Technology)環境を指します。

 このユビキタス社会の実現に向けて、わが国ではさまざまな取り組みが開始されています。政府は世界最先端のIT国家を実現するe-Japan戦略に続き、2010年に実現する新たな社会の姿として「u-Japan」(ユビキタスネット・ジャパン)の構想を打ち出しています。総務省の「u-Japan構想の概要」によれば、あらゆる人やモノがネットワークで簡単に結ばれるUbiquitous(ユビキタス)、機器やネットワークを意識せずに利用できる Universal(ユニバーサル)、供給者の発想でなく、利用者の利便性をより意識した社会を実現するUser-oriented(ユーザー・オリエンテッド)、個人の活力を生かした新しい社会システムやビジネスを創出するUnique(ユニーク)の4つのUを基本理念に掲げ、具体的なu-Japan政策の策定に着手しているところです。

 例えば、有線・無線のシームレスなアクセス環境の整備やブロードバンド基盤の全国的な整備、電子タグやセンサ、情報家電、ユビキタス端末などユビキタス・ネットワークの整備をはじめ、社会・経営革新や電子政府・自治体などのICT利活用の高度化や情報セキュリティなど利用環境の整備を図っています。つまり、国民の多くがICTにより医療・福祉、環境・エネルギー、防災・治安、教育・人材育成などの課題解決に役立つと評価する社会を目指しているのです。



ほぼ無限のアドレス空間により、双方向のピア・ツー・ピア通信を容易に実現

 このu-Japanに限らず、ユビキタス社会の実現に向けて重要な要素技術となるIPv6への期待が高まっています。IPv6はIPアドレスの枯渇問題の解消やプラグ&プレイ、セキュリティの確保、ピア・ツー・ピア通信など、ユビキタス社会に求められる多くの特長を備えているからです(図1参照)。例えば、インターネット接続に欠かせないグローバルIPアドレスは、現在の 32ビットのIPv4が約43億個(4.3×10の9乗)であるのに対し、128ビットのアドレス空間を持つIPv6では約340澗(かん)個(3.4×10の36乗)のIPアドレスを用意することができます。ちなみに、1兆は10の13乗ですから、この澗という単位はほぼ無限を表すともいえるのです。

 国連人口基金によれば、2004年の世界の人口は65億人と推計されており、現在のIPv4はすでに世界中の一人一人にIPアドレスを付与することができません。これに対し、IPv6であれば今後、世界の人口が100億人になったとしても、単純計算で1人当たり3.4×10の28乗のIPアドレスを割り当てることができ、IPアドレスの枯渇問題を解消できるというわけです。

 実際には、企業ではプライベートIPアドレスを用いたり、一般ユーザはインターネット接続時にサービスプロバイダがプールしているグローバルIPアドレスを割り当てられ、切断後はプロバイダにIPアドレスを返すことでやりくりしているため、IPアドレスの枯渇問題はそれほど顕在化していません。しかし、現在のIPv4のままではあらゆるモノがネットワークに接続されるユビキタス社会の実現は困難です。

 IPv6はそれこそ「無限」ともいえる可能性を持っていますが、IPv6は期待されるほど企業の導入が進んでいないのが実情です。その理由として、「IPv6のメリットが見えにくい」という声は少なくありません。現在のIPv4でも不都合はないのに、IPv6へ移行する理由が見当たらないというのです。

 しかし、現在の企業ネットワークは有限のIPアドレス体系であるIPv4を利用していることから、さまざまな制約があるのも確かです。例えば、社内 LANでは一般にプライベートIPアドレスが利用され、外部のインターネットとの接続にはプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの変換を行うNAT(Network Address Translation)が使われています。NATはグローバルIPアドレスの不足を補うほか、外部からの不正アクセスを防止する役割がありますが、デスクトップ会議やIP電話など外部のインターネットからLAN上の特定の端末と双方向の通信を行うためにはNAT越えなどの工夫が必要になり、ネットワークが複雑になります。それに対し、すべての端末がグローバルIPアドレスを持つIPv6であれば、容易に双方向のピア・ツー・ピア通信が実現します。

図1:ユビキタス社会に不可欠なIPv6


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