− Vol.5 −
ビジネスの競争力や生産性向上の
武器として利用が拡大するモバイル
IPベースのネットワークで構成される次世代の4G移動通信システム
モバイルの進展とともに解決すべき課題もあります。それは、電波が有限であり、モバイルがユビキタスネットワーク社会の一翼を担うためには電波の効率的な活用が不可欠ということです。総務省の諮問機関である情報通信審議会では、世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境の構築によるユビキタスネットワーク社会を実現するため、周波数の再編方針を策定。これを踏まえ、同省では移動通信システムの高度化、利用拡大に向けて、従来2G携帯電話などで利用されていた800MHz帯におけるIMT-2000周波数の割当方針を定めています。また、1.7GHz帯や2GHz帯などの周波数の利用に関する検討も行われており、情報通信審議会では2GHz帯の周波数におけるTDD(Time Division Duplex)方式の導入に向けて技術的条件の検討を開始しています。
TDDは、上りと下りで同じ周波数を利用し、時分割で双方向通信を実現する方式。上りと下りで異なる周波数を利用するFDD(Frequency Division Duplex)方式に比べ、周波数を選択する自由度が大きいといわれ、日本ではPHSがTDD、2G携帯電話サービスがFDD方式を採用しています。さらに、IMT-2000ではTDD方式をベースにしたTD-SCDMAを規格化、新たにTDD方式を検討することにより、新規事業者の参入に道を開いています。
IMT-2000の後継として、2010年頃の商用化を目指して超高速データ通信を可能にする4G移動通信システムの検討もITUで進められています。 4Gのネットワーク構成要素は、携帯端末の基盤となる利用者プラットフォーム、有線ネットワークの基幹部分となるIPベースのネットワーク・プラットフォーム、アプリケーションやサービスの基盤となるサービス提供プラットフォームに大別され、IPベースのネットワークに、ソフトウェア無線技術を用いた無線インフラと端末を連携させることで、利用者が複数の通信方式を利用しやすくなると期待されています。
用途に応じた複数端末の利用が可能なUIMなど高度化する携帯端末
現在の3G携帯電話サービスでも、既に携帯端末の多機能化、高機能化が進展しています。
例えば、端末の内蔵メモリーに蓄積していた電話番号帳といったユーザー情報をICカード型のUIM(User Identity Module)に記憶することにより、プライベートでは小型の携帯電話、ビジネスでは大型ディスプレイのPDAを利用するといった具合に、1契約で用途に応じた複数端末の利用が可能になります。このUIMの仕組みにより、これまで事業者を変更するたびに変える必要があった携帯電話番号の「ワンナンバー」化も可能です。また、UIMの情報をネットワーク上に流通させれば、利用者の利便性を高める多様な使い方ができるようになります。
例えば、携帯電話機に組み込まれたICチップにプリペイド情報を蓄積し、少額決済に利用できるサービスも既に登場していますが、今後は財布代わりに携帯電話を利用して銀行決済を行ったり携帯電話内のUIMに買い物ごとにポイントを蓄積し、全国各地の店舗で使用できるようになる可能性もあります。社内の ID認証にUIMタイプの携帯電話を使用し、社員カードのようにセキュリティシステムにかざして入退室管理を行うことも考えられます。
これまで、紹介してきたように無線LANと連携した社内外のシームレスな通話や高速データ通信、さらには端末自体の高機能化など、モバイルの可能性は限りなく広がってきています。ITによる業務の効率化や競争力の強化が命題の情報システム担当者にとって、携帯端末と社内システムの連携を視野にネットワークを立案する時代がやってきているといえるでしょう。
次のページ「ソボQ」では、ネットワークに関する素朴な疑問にソボQ博士が答えてくれます。さて、今回のソボQ(素朴な疑問)は・・・?











