− Vol.5 −
ビジネスの競争力や生産性向上の
武器として利用が拡大するモバイル
モバイルのビジネス利用に欠かせないリモートアクセス時のセキュリティ確保
その一方で、携帯端末に代表されるモバイルの活用が企業競争力の向上に欠かせないと理解していても、システムの構築・運用にかかるコストの問題や新技術の対応など、さまざまな制約から導入に二の足を踏む企業があることも確かです。しかし、こうした企業に適したASPサービスも最近では各種提供されています。中には、携帯電話、PDA、PCなどに対応し、シングルサインオンでグループウェアやメール、各種アプリケーションを利用できるポータルサービスもあり、営業担当者が携帯電話で在庫管理システムにアクセスするといったさまざまな使い方が可能です。
ビジネスでモバイルを最大限に活用するためには、留意すべき課題があります。それは、リモートアクセス時のセキュリティの確保です。無線LANを使ったリモートアクセスではワンタイムパスワードやデータ暗号化のVPNなど、セキュリティ確保に注力している企業でも、携帯電話は社員個人の持ち物という認識から、あまりセキュリティに留意していないのが実情です。
しかし、個人的なメールのやり取りのみならず、ビジネスでは外部に漏れては困る重要な情報もやり取りされます。社員のうっかりミスによる携帯電話の紛失や盗難により、悪用されるリスクも皆無とはいえません。そこで、社内システムへのアクセス時にはユーザーIDとパスワードによる認証のほか、ビジネス向け携帯電話サービスとして、携帯電話機固有の番号で認証する個体認証などを組み合わせて提供する事業者もあり、社外からのリモートアクセス時のセキュリティを強化することも可能です。
企業のWAN構築の手段として導入の進むIP-VPNなどの通信サービスと携帯端末の連携も加速しています。ある企業では、営業担当者が携帯電話を用いて外出先からIP-VPNを介して社内システムに受発注データを送信することで、リアルタイムの販売管理を実現しています。また、映像など大容量データの送受信が可能な3G携帯電話を業務に活用する例も少なくありません。ある企業では、顧客先に出向いたフィールドサービスマンが機械の故障箇所の映像を3G 携帯電話で本社のエンジニアに送信し、故障原因の特定や助言を受けるなど、豊富な知識を持つエンジニアと情報を共有することでスピーディな保守・修理に役立てています。
データ通信専用の帯域割り当てにより高速データ通信が可能なIMT-2000
前述したように、3G携帯電話サービスの加入者は2500万を超え、本格的な普及期に入ってきています。日本の3G携帯電話サービスはNTTドコモが 2001年10月に商用化したのを皮切りに、KDDI(au)が2002年4月、Jフォン(現ボーダフォン)が12月にスタート。当初はサービスエリアが首都圏に限定されていたことや端末が比較的高価だったことなどから事業者の思うように加入者が広がりませんでしたが、こうした問題も徐々に解消されつつあります。
それでは、3G携帯電話の動向を簡単に振り返ってみましょう。3G移動通信システムは「IMT(International Mobile Telecommunications)-2000」と呼ばれ、日本が提出したW-CDMAや、cdmaOneを拡張したcdma2000 1xなど、5つの規格がITU(国際電気通信連合)で標準化されています(表2参照)。3G携帯電話システムは、W-CDMAが下り最大384kbps、 cdma2000 1xが同144kbpsといったように高速データ通信(パケット通信)が可能なことで、大容量のデータを受信する機会の多いユーザーに対して、既存の2G 携帯電話サービスとの差異化を図ってきました。
さらに、ITUでは高速データ通信技術の標準化を進め、IMT-2000の仕様作成に携わるプロジェクトグループの3GPP(3G Partnership Project)が高速データ通信を可能にするHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)や1x EV-DO(1x Evolution Date Only)の仕様を規格化。W-CDMAやCDMA2000 1xが音声通信とデータ通信を混在させて伝送するのに対し、これらの規格は下り(基地局から端末)のデータ通信専用に帯域を割り当てることで高速データ通信を実現しています。
例えば、W-CDMAをベースにするHSDPAはデータ通信速度を下り最大14.4Mbpsに高速化でき、基地局から端末までの電波の状態に応じて変調方式やパケットの誤り訂正符号化率などを調整することにより、高速・大容量のパケット通信を可能にしています。また、cdma2000 1xを拡張した1x EV-DOは最大2.4Mbpsの高速データ通信が可能で、サービスエリアは限定されるものの、既に商用サービスとして提供されています。
高速データ通信サービスは、通信環境や輻輳の状況によって通信速度が変化するベストエフォート型サービスのため、最大通信速度が保証されるものではありませんが、従来に増してデータ通信を快適にやり取りできる環境が整ってきました。
表2:日本における3G(IMT-2000)移動通信システムの種類










