− Vol.4 −
通信コスト削減に加え、アプリケーション連携で
ビジネススタイル変革の原動力になるVoIP
ブロードバンドネットワークのキラーアプリケーションの一つとして、音声とデータをIPネットワーク上で統合するVoIP(Voice over IP)の導入が加速しています。その目的も従来のコスト削減に加え、グループウェアなどの各種アプリケーションと連携し、業務の効率化、顧客満足度の向上といった経営課題の解決にまで広がっています。また、ビジネススタイルの変革を目指して全社的な音声/データ統合環境の構築する企業も増えています。一方、技術・サービス面では、IP-PBXなどの音声設備の集中配置が可能なIPセントレックスやサービスプロバイダのIP電話サービスを活用し、より効率性の高い音声ネットワーク構築も可能になってきています。そこで、今回はVoIPの動向を紹介します。
各種アプリケーションとの連携で高まる情報システム部門の役割
拠点間を行き交うデータトラフィックの増大やブロードバンドサービスの拡充などを背景に、IP-VPN(Internet Protocol Virtual Private Network)や広域イーサネット、インターネットVPNをプラットフォームに全社ネットワークを再構築する企業が増えています。このネットワーク再構築時に多くの企業が導入、または将来の導入を視野に入れているのがVoIPです。
その狙いはズバリ、通信コストの削減です。従来個別に導入、運用してきたデータネットワークと音声(内線)ネットワークを、広帯域のIP-VPNや広域イーサネット上に統合することで音声ネットワークが不要になり、通信コストが削減できるというわけです。また、拠点間を結ぶWANのみならず、社内LAN 上で音声を統合するケースも増えています。異動時にも、ユーザ自身がIP電話機を異動先の情報コンセントに接続するだけで発着信でき、電話工事費を削減できる利点があるからです。
コスト削減という狙いに加え、VoIPと各種アプリケーションを連携する動きも活発化してきました。例えば、グループウェアと連携させることにより、電子メールの内容をアプリケーションで音声に変換し、外出先の携帯電話で聞くといった情報共有も可能です。また、顧客データベースやCRMシステムとIP電話を連携させれば、ニーズに合わせた的確な電話応対をすることにより顧客満足度を高めることができるのです。従来、音声ネットワークの運用は総務部などが担当するケースも少なくありませんでした。しかし、VoIPの活用シーンでは企業内の各種アプリケーションに精通する情報システム部の果たす役割が大きいといえるのです。
WANの通信コスト削減の決め手になる音声/データの統合
音声とデータを統合するVoIP技術が市場に登場したのは1990年代に遡ります。当時も今も変わりありませんが、情報システム(ネットワーク)担当者の命題は、接続拠点やトラフィックの増加など、ネットワークの拡大とともに肥大化する通信コストをいかに抑えるかにかかっているといっても過言ではありません。経営層からは、業務効率化やコスト削減に向けたIT活用の要請が常に情報システム部門に寄せられています。
その解となるのが音声/データの統合です。当初は、WANの通信コスト削減を主な目的に、PBXの音声データをパケット化するVoIPゲートウェイをデジタル専用線などに接続して内線網を構築。音声用の回線が不要になり、導入効果が明確なことから先進的な企業でVoIPの導入が活発化しました。「先進的」というのは、最近でこそ技術革新やブロードバンドネットワークの浸透と相まってVoIPの音声品質が問題になることは少なくなりましたが、以前はコスト削減効果を理解していても、VoIPの通信品質の不安から導入をためらう企業も多かったからです。
音声圧縮時や回線の輻輳でも遅延が発生します。データ通信と異なり、音声通信では遅延が聞き取りにくさの原因となり、ビジネスの致命傷にもなりかねません。そのため、各ベンダーは音声品質を低下させる遅延やゆらぎを最小化するための工夫を図ってきました。例えば、ロングパケットを分割するフラグメンテーションもその一つです。ロングパケットの後に音声パケットが到着した場合、ロングパケットが送られるまで音声パケットが待つことになり、遅延の原因にもなります。そこで、フラグメンテーションでは、ロングパケットを短く分割して音声パケットを優先的に割り込ませることにより、遅延を最小化する仕組みとなっています。
このほか、優先制御やQoS(Quality of Service)制御、帯域制御などのネットワーク技術を用いて音声品質を高めることができ、VoIPの構築に合わせてQoS制御などが可能なルータやスイッチを活用する企業も少なくありません。











