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ネットワーク基礎講座

− Vol.3 −

より速く、より安全に、
より便利なネットワークへと変貌する無線LAN

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 オフィス内のどこからでも高速、安全にネットワークにアクセスしたい。こうしたユーザー・ニーズに応えるため、無線LANの高速・高機能化が進んでいます。最大54Mbpsの伝送速度を備えるタイプも一般的になり、データの送受信のみならず、無線LAN対応のIP電話機も登場するなど、オフィスのワイヤレス化を加速しています。無線LANの弱点と言われたセキュリティについても、最新の暗号化方式AES(Advanced Encryption Standard)やユーザー認証を強化したIEEE802.1xに対応するタイプも増え、安全にデータをやり取りできる環境が整っています。今回は、無線LANの技術動向や導入時のポイントを紹介します。



オフィスや学校、病院など無線LANの導入が活発化

 企業ではフロアLANに10/100Mbps、基幹LANに1Gbpsの高速LAN構築が進む一方、部門LANや会議室などで無線LANを導入するケースが増えています。無線LAN機能を搭載するノートPCも一般的になっており、オフィス内のモバイルコンピューティングが加速することや、異動に伴う配線の敷設・変更工事の手間やコストの節減が可能になるといったさまざまな利点があります。レイアウト変更が頻繁に行われるオフィスのみならず、テナントビルの店舗やキャンパス、病院など、さまざまな分野で無線LANの適用範囲が広がっています。

 例えば、LANケーブルを敷設するための二重床の工事が困難なビルの受付などに無線LANを導入して美観の確保とネットワーク環境を両立させる企業や、有線LANの敷設・拡張が困難なテナントビルに入居する店舗、キャンパス内のどこからでもインターネットに接続できるワイヤレス環境を学生サービスの一環として提供する大学も少なくありません。

 また、看護師が病室を巡回して血圧や体温など患者のデータを無線LAN対応の携帯端末に入力するなど、電子カルテと連動させるシステムを構築する病院、さらには宴会場に無線LAN対応のPOSレジスターを持ち込み、テーブルを移動しながら飲み物の代金収受に役立てるホテルなど、無線LANはさまざまなシーンで使われています。

 無線LANは便利なものの、通信速度が数Mbpsにとどまる、セキュリティに不安があるといった理由から導入に二の足を踏む企業も少なくありませんでした。しかし、近年は無線LANの標準化とともに高速・高機能化が進んでいる上、セキュリティも強化されており、100Mbpsを占有できる有線LANには及ばないといはいえ、ワイヤレスの利点を活かしながら高速通信を実現する多彩な無線LANシステムが提供されています。



最大54Mbpsの高速伝送が可能なIEEE802.11aとIEEE802.11g

 無線LANの標準化を担うのが、IEEE(米国電気電子技術者協会)802.11ワーキンググループです。2.4GHz帯を利用して最大11Mbpsの伝送が可能なIEEE802.11bや同54MbpsのIEEE802.11g、5GHz帯を用いて最大54Mbpsの高速伝送が可能な IEEE802.11aの標準化や、無線LANのセキュリティ機能を強化するIEEE802.11iなどで知られています。IEEE802.11での標準化を受けて、半導体メーカーでは無線LANチップセットの大量生産が可能になるなど、無線LAN製品の低価格化を加速しています。

 また、IEEE802.11ワーキンググループのほか、無線LANベンダーの業界団体にWi-Fiアライアンスがあります。無線LAN製品の標準準拠の確認や相互接続性の試験に加え、セキュリティ技術の規格化にも注力しており、相互接続性試験に合格した製品は「Wi-Fi Certified」のロゴが添付されています。

 現在、無線LANの市場では、いち早く標準化され、低価格化と相まってIEEE802.11b準拠の製品が最も多く出回っています。最大11Mbpsの伝送速度に対応するとはいえ、これはフレームのヘッダーや制御信号などを含めたものであり、一般に実行速度は5〜6Mbps程度といわれています(通信環境や無線LAN端末数などによって異なります)。ユーザー数の少ないオフィスや家庭ではそれほど問題になることはありませんが、大人数のオフィスで複数ユーザーが同時に無線LANに接続する場合、ユーザー1人当たりのスループットは低下することになります。

 LANスイッチの低価格化などを背景にオフィスでは10/100Mbpsの高速LAN環境が一般的になっています。広帯域を必要とするWebアプリケーションが盛んに利用されるネットワーク環境では、IEEE802.11bの無線LANの実効速度にもの足りなさを感じるユーザーもいるかも知れません。

 そこで、高速化への要求を満たす技術として登場したのが、最大54Mbpsに対応するIEEE802.11aやIEEE802.11gに準拠する無線 LANです。複数ユーザーが同時にアクセスした時に実効速度が低下するのはIEEE802.11bと同じですが、11bに比べて5倍程度の実効速度が期待できます(図1参照)。

図1:無線LANの主な規格
(図をクリックすると拡大して表示されます)



高速無線LANとの併用で既存無線LANの実効速度を向上

 データを無線信号に変える変調方式は、IEEE802.11bが直接拡散方式(DS-SS)を採用するのに対して、IEEE802.11aでは直交周波数分割多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を採用しています。OFDMはデジタル変調方式の一つで、複数のサブキャリア(搬送波)にデジタル変調したデータを多重化して送信。伝送の劣化を減らし、周波数帯域当たりの伝送容量が多くなることから、大容量データの伝送が可能なほか、1つのアクセス・ポイントにより多くのユーザーを収容できる利点もあります。IEEE802.11gはOFDMのほか、11bとの互換性を確保する変調方式を採用しています。

 IEEE802.11aと11b、11gに対応する無線LANや、IEEE802.11bと11gに対応するデュアルモードの無線LANが各種提供されています。IEEE802.11aと11bは互換性がありませんが、既に11b準拠の無線LANを導入している企業は、高速接続が必要なユーザーに 11a、一般ユーザーに11bの周波数を割り当てるといった使い方も可能です。

 また、11bと11gは互換性がありますが、11gの接続先が11b準拠の無線LANの場合、最大11Mbpsの通信速度になります。11gと11bをうまく使い分けることで、11bのユーザーの実効速度を向上することもできます。例えば11b準拠の無線LANを導入している場合、デュアルモードのアクセス・ポイントを追加することで、11gのユーザーと11bのユーザーを分割。11bのユーザーが相対的に減ることで、11bの実行速度の向上が期待できるなど、既存の11bの資産を有効活用しながら高速な無線LAN環境を構築することも可能です(図2参照)。

図2:複数の無線LANを組み合わせて実効速度を向上
(図をクリックすると拡大して表示されます)


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