− Vol.2 −
ブロードバンドの利点を活かして
高速・低コストの企業ネットワークを再構築
バックボーン上の閉域網でセキュアな通信環境を提供
新型WANサービスでは、IP-VPNと広域イーサネット、インターネットVPNがよく知られています。IP-VPN、広域イーサネットとも通信事業者のバックボーン上に仮想閉域網を設け、セキュアな通信が可能です。
IP-VPNサービスでは、MPLS(Multi Protocol Label Switching)対応のルータを利用する通信事業者が少なくありません。MPLSは、IPパケットにデータ転送先を識別するラベルパスを付加して仮想的な伝送路を設定し、高速ルーティングを実行します。ユーザごとに異なるラベルパスを付与することにより、データ通信時のセキュリティの確保やネットワークの通信品質を制御するQoS(Quality of Service)が可能です。また、MPLSは通信事業者のバックボーンのトラフィック量などに応じて経路を制御するトラフィックエンジニアリングなどにも利用されます。
広域イーサネットは、通信事業者のノードに設置されたLANスイッチのVLAN(バーチャルLAN)機能を利用してバックボーン上に仮想的な閉域網を設け、ユーザのトラフィックをやり取りします。レイヤ3のサービスであるIP-VPNがIPプロトコルに対応するのに対し、レイヤ2のサービスである広域イーサネットはマルチプロトコルに対応。このため、非IPプロトコルの基幹システムの通信に対応するほか、企業はWAN接続に既存のLANスイッチを利用することも可能です。
インターネットVPNは、自営で構築する方法と事業者のサービスを利用する方法があります。いずれもVPNの標準プロトコルであるIPsec対応の機器を利用しますが、事業者のサービスの場合、機器の設置や管理を委託できるほか、中継網にインターネットを使わず自社のバックボーンを利用する事業者もあり、より信頼性の高いネットワーク構築をサポートしています。
「帯域は拡大、通信コストは削減」を実現するブロードバンドネットワーク
新型WANサービスのアクセス回線として、最近よく利用されるのがADSLやFTTHなどのブロードバンドサービスです。低コストかつ高速・広帯域の企業ネットワークを構築でき、「帯域は拡大、通信コストは削減」が各企業共通の目的です。とはいえ、ADSLやFTTHなどのブロードバンドサービスは、一般に回線速度が保証されないベストエフォート型のサービスのため、ミッションクリティカルな業務での利用をためらう企業もあります。
しかし、最近のADSLは、下り40Mbps超のサービスも登場しており、仮に実効速度が低下したとしても高速な通信が期待できます。ただし、ADSL は、ユーザの回線を収容する事業者の局舎と企業の拠点の距離が離れている場合、通信速度の低下、あるいはサービスそのものが利用できないという点が挙げられます。また、上りの速度も数Mbpsのため、大容量のファイルを頻繁にアップロードする企業にはもの足りなさを感じるかもしれません。こうしたユーザは光ファイバを利用したFTTHや、サービス提供地域は都市部に限られるものの、企業向けの10M/100Mbpsのイーサネットアクセスなども選択肢になります。また、ビジネス向けにADSLやFTTHの障害対応サービスを提供する事業者もあり、企業のブロードバンド導入が加速しています。
ブロードバンドサービスを利用した企業ネットワークの信頼性を高める手段として、マルチホーミングがあります。マルチホーミングは、複数のISPを利用してインターネット接続時の冗長化を図るものですが、新型WANサービスの接続にも応用できます。例えば、アクセス回線にADSLとFTTHを利用し、新型WANに接続するISPのアクセスポイントを分けることで信頼性を向上させることが可能です。
アクセス回線に大きな通信コストを費やしていた時代と異なり、安価なブロードバンドサービスを利用することで、マルチホーミングを容易に導入できるようになりました。回線の障害時に切り替える冗長化機能を備えたブロードバンドルータや、マルチホーミング対応の負荷分散装置などが各種提供されています。
アクセス回線の冗長化は、Webサイトの安定稼動を目指すIT管理者にも大きなメリットがあります。一般にマルチホーミング対応機器は、社内からインターネットにアクセスするアウトバウンドと、インターネット側からのアクセスを受け付けるインバウンドのトラフィックの負荷分散に対応しているからです。これにより、顧客からのアクセス要求を最適な回線に誘導し、高速なレスポンスと可用性の高いシステム運用を行う、といったことも可能です。
動画の活用などブロードバンドで広がる企業のアプリケーション
ブロードバンドネットワークにより、企業のアプリケーションは大きく変化する可能性を秘めています。情報系のみならず、業務系アプリケーションのWeb化により、エンドユーザの操作性の向上のみならず、アプリケーションの開発や運用の効率化が期待できます。
また、ナローバンドでは困難だった動画などの大容量アプリケーションの利用も可能です(図3参照)。トップの訓示やe-ラーニング、製品マニュアルなどの映像をストリーミングやビデオ・オン・デマンド(VOD)で配信する企業も登場しています。例えば、社内教育にVODを活用することで、社員はいつでも、好きなときに、好きな場所で繰り返し学ぶことができます。各人が最新の知識を共有することにより、全社的な生産性の向上や競争力の強化といった企業の命題を解決する糸口にもなるはずです。
図3:ブロードバンドネットワークで広がるアプリケーション
(図をクリックすると拡大して表示されます)
映像などの大容量アプリケーションやWebベースの業務アプリケーションなどにも柔軟に対応できる。トラフィックの輻そうを解消し、安定的なシステム稼動が可能になる。
動画などの大容量アプリケーションやミッションクリティカルな基幹システムの安定稼動に欠かせないネットワーク機器のひとつに帯域制御装置があります。アプリケーションやサービスの種類に応じてあらかじめ設定した帯域を割り当て、例えば基幹システムや業務システムに大きな帯域を割り当て、インターネットアクセスを制限するといった制御が可能です。このほか、優先制御やQoS制御高機能を備えたLANスイッチなども各種提供され、WANからLANまでブロードバンドネットワークを最大限に活用できる環境が整っています。
次のページ「ソボQ」では、ネットワークに関する素朴な疑問にソボQ博士が答えてくれます。さて、今回のソボQ(素朴な疑問)は・・・?











