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ネットワーク基礎講座

− Vol.2 −

ブロードバンドの利点を活かして
高速・低コストの企業ネットワークを再構築

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 電話回線をそのまま利用できるADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)や光ファイバを用いたFTTH(Fiber To The Home)に代表されるブロード(広帯域)バンドサービスや、IP-VPN(Virtual Private Network)、広域イーサネット、インターネットVPNなどの新型WANサービスが急拡大する中、全社ネットワークを再構築する企業が増えています。大容量アプリケーションに対応する高速・広帯域の企業ネットワークのみならず、耐障害性の高いシステムを構築・運用も可能です。今回は、ブロードバンドネットワークを活用するための通信サービスや企業情報システムの変化について紹介します。



企業規模を問わず、ビジネスを変えるブロードバンドネットワーク

 総務省の発表(インターネット接続サービスの利用者の推移。2004年8月末)によれば、わが国のDSLサービスの加入者数は1,254万9,000、 FTTHサービスは160万1,400、ケーブルインターネットは276万8,000に上り、前年同期比で32%の増加を示しています(図1参照)。ブロードバンドネットワークの利用拡大を支える基盤整備においても、日本はすでに世界トップクラスの位置にあり、高速インターネットアクセス網の利用が可能な世帯数は、DSLで3,800万世帯、ケーブルインターネットで2,300万世帯、超高速のFTTHで1,806万世帯となっています(出典:2004 年情報通信白書)。

図1:この1年のインターネット接続サービス(DSL、FTTH)の利用者数の推移
図をクリックすると拡大して表示されます

 基盤整備の促進により、2005年までに少なくとも3,000万世帯が高速インターネットアクセス網に、1,000万世帯が超高速インターネットアクセス網に低廉な料金で常時接続できる環境の整備などを目指したe-Japan戦略は既に目標を達成。現在は基盤整備の段階から、その利活用を促進するための段階(e-Japan戦略II)へと移っています。 

 これまでの、ナローバンド(狭帯域)の世界では電話回線の音声信号を活用したため、伝えられる情報には限界がありました。しかしADSLは同じ電話回線でも、音声信号とは別の高周波の信号を使い、より広い帯域が利用できるため、伝えられる情報量は大幅に増えたわけです。さらに光ファイバを使えば、より高周波の信号を使い、より広い帯域を利用することで、従来とは比較にならないほどの「情報量=速度」が得られるようになりました。

 ADSLやFTTHなどのブロードバンドネットワークは、単に一般家庭に快適なインターネットアクセス環境を実現するだけでなく、企業のビジネス活動にも大きなメリットを提供します。中小規模の企業やSOHOなど、ITの活用を低コストに実現している企業は少なくありません。

 かつて、低速で通信コストが高い時代には困難だった全社的な情報活用の促進や、企業規模の違いによる情報格差は是正されつつあります。いまやブロードバンドインターネットで国内のみならず、広帯域な通信環境のもと、世界がシームレスに結ばれるようになりました。これにより、小規模な企業でも自社製品の優位性を消費者や企業に直接発信、ショッピング・サイトに代表されるe-ビジネスで売り上げを増加させることができるようになったのです。



低コストにブロードバンドを利用できる新型WANサービス

 これまで企業では生産性の向上や競争力の強化、意思決定の迅速化などを目指してITを積極的に導入してきました。リモート拠点を含めた企業ネットワークの拡大とともに、IT管理者には従来に増して信頼性、拡張性の高いシステム構築・運用が求められています。具体的には、増加するデータトラフィックへの対応や、多様なアプリケーションの変化への柔軟な対応といったことが挙げられます。

 インターネット/イントラネットの導入と相まって、各種業務システムなども従来のクライアント/サーバ型からWeb型へと移行する企業も増えています。 Webアプリケーションの場合、サーバとクライアント間で大量のトランザクションが発生することから、エンドユーザの快適なアクセス環境を実現するためにも、オフィス内のLAN、拠点間を結ぶWANにおけるブロードバンドネットワークの役割は大きいといえます。

 企業ネットワークの高速・広帯域化に加え、通信費やシステム運用管理費を含めたコスト削減もIT管理者の大きな命題です。こうした課題を解決するネットワーク技術や通信サービスが各種提供されています。IP-VPNや広域イーサネット、インターネットVPNなどの「新型WAN」と呼ばれるサービスがそれです。

 新型WANサービスが多くの企業に導入される大きな理由は、リモート拠点や取引先などネットワークの拡大とともに肥大化する通信コストの削減や、大容量アプリケーションの対応、データ通信時のセキュリティ確保など、企業のさまざまな要求に対応できるからです。

 これまで、本社・支社などの主要拠点間の通信にデジタル専用線やフレームリレーなどの通信サービスを利用している企業でも、小規模なリモート拠点や取引先との接続に専用線を導入することはコスト的にも困難なため、ISDNなどの公衆網を利用するケースが一般的でした。

 しかし、近年は新型WANサービスやADSL、FTTHなどのブロードバンドネットワークの拡充により、低コストで高速・広帯域の企業ネットワークを構築できる環境が整っています。新型WANサービスは、通信距離に依存しない全国一律の料金体系を採用し、遠隔地に多数の拠点を持つ企業も通信コストの削減が可能です。各通信事業者のアクセスポイントに接続するだけでWANサービスを利用でき、拠点の追加・変更、トラフィック量に応じた回線の増速などが容易に行えるといった特長があります。また、モバイル端末からのアクセスが可能な通信サービスの提供など、各事業者はサービス拡大に力を入れています。



耐障害性の高いフラットな企業ネットワークが可能に

 ポイント・ツー・マルチポイント(1対n)のフラットなネットワーク構成が可能なことも新型WANサービスの特長です。従来の専用線の場合、本社や支社を中心にリモートの営業拠点をポイント・ツー・ポイント(1対1)で接続する階層型のネットワーク構成が一般的でした。

 ただしこうした構成だと、例えば営業拠点から本社サーバにアクセスする場合、上位の支社を経由する形態になります。支社には各営業拠点からのトラフィックが集中することから、支社のルータなどネットワーク機器の負荷が高くなり、万一の障害時には配下の営業拠点の通信が停止。復旧までの間、ビジネス活動が停滞するなど、企業に深刻な影響を与えかねません。

 新型WANでは各拠点を網の目のように相互接続するメッシュ型のネットワークを比較的容易に構成できます。このため、ある拠点のネットワーク機器がダウンしても、その影響は他拠点に及ばず、安定性の高いネットワーク運用が可能です(図2参照)。専用線でもメッシュ接続は可能ですが、通信コストを考慮すると現実的とは言えないのが実情です。

図2:新型WANサービスを利用したフラットなネットワーク
(図をクリックすると拡大して表示されます)

本社サーバと支店・営業拠点がフラットに結ばれ、ある拠点に障害が発生しても、その影響を局所化できる。また、アクセス回線は、各拠点のトラフィックに応じて選択。本社・支社などの主要拠点はFTTH、営業拠点はADSLといった柔軟かつ高速・広帯域のネットワークを構築。トラフィックの集中する本社は、回線を冗長化して信頼性を高めることができる。

 新型WANサービスを導入したある企業では、従来は困難だったリモート拠点間の接続が容易になり、地域の各拠点が連携したプロジェクトの運営など、スムーズな情報交換と業務の効率化を実現しています。また、音声とデータを統合するVoIPの導入が活発化する中、メッシュ型接続の新型WANを利用することで、遅延の少ない音声通信が実現するメリットもあります。


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