− 第9回 −
砂と風の海岸(ブラジル・ナタル) (2008年10月14日公開)
海岸まで達する大砂丘が引き潮の浜に映る。千円札の裏にあるのは本栖湖に映る「逆さ富士」、これは引き潮で砂に映る「逆さ砂丘」、ここならではの光景。
ブラジルの北東端、つまり南米大陸の肩の部分にあるナタルという町に宿をとった。目の前は大西洋が広がっている。二階のベランダから砂浜に打ち寄せる波を見ているとダイナミックで飽きることがない。少年たちがサーフボードに手を置いて、波をつかまえようと海に浮かんでいる。この海の向こうは赤道を越えてアフリカだ、と地球儀の上に乗った気持ちになる。
ブラジル製(水平対向四気筒エンジンの)バギー車で風上に向かって砂丘を走る。
この町を中心とする海岸は一年のうち300日が晴れ、というのがうたい文句で、周辺に砂丘が多い。赤道に向かって吹く南東貿易風が砂を運んでくるので、吹きだまりに砂がたまるのだ。
夏にはこの海岸に冬の北半球から寒さを逃れて海外の観光客がやってくる。一方、冬のブラジル北東海岸は朝夕の気温は20度弱で涼しく過ごしやすい。日中も30度を超えることはなく、海の水とたわむれて過ごすのにはよい季節だ。日本から地球の反対側に行くのは遠いが、大西洋岸で過ごすのはしゃれている、と暑い日本の夏が終わって思う。
海岸と砂丘を撮っていたらラクダが出現。ブラジルでラクダは少し変だが、砂丘とラクダは世界的な取り合わせか。
砂丘を歩くのは平地の何倍も苦労するが、砂の感触を確かめたくて歩いた。風に飛ばされた砂粒がひざ下のすねに当たり、くすぐったい。砂丘の向こうから低いエンジン音が聞こえ、突然、サンドバギーに乗った観光客が姿を現した。風と砂を身体で感じて気持ちよさそうだ。彼らは風のようにエンジンの音と共に砂丘の向こうに消えた。砂丘の上は静かになった。
写真家:小松義夫











