− 第8回 −
タンゴの小径、カミニートの一日(アルゼンチン) (2008年08月04日公開)
世界中から観光客が押し寄せるカミニートの入り口。顔出しタンゴ人形に注目。
古い港町ラ・ボカを再訪した、といっても最初に訪れたのは35年も前のことだ。アルゼンチンで一番古いといわれる河口の港町には、造船工場やヨーロッパから新天地を目指してやってきた移民のための安宿などが立ち並んでいた。この町に生まれた画家、キンケラ・マルティンは庶民が集うこの町を愛し、絵が売れるたび地元に病院、小学校、美術館などを建ててきた。カラフルな町並みは造船工場で余ったペンキを塗ったのが始まりと言われ、ボロ屋でも色を塗れば輝くことを示したとされる。
タンゴを踊るのに老いも若きもない。人はタンゴを踊るのである。
ラ・ボカ地区には長さ100メートルほどの色彩溢れる家が並ぶカミニート(小径)があり、路上に椅子とテーブルを出したレストランが並ぶ。そこでは昼間からタンゴのリズムが流れ、ダンサーがステップを踏んでいる。アルゼンチン・タンゴの発祥の地といわれるここに来ると、ダンスなど苦手で踊ったことがない人も自然にステップを踏み始める。
昼下がり、流しのサンバチームが太鼓と笛を鳴らし踊りながらカミニートに闖入(ちんにゅう)、サンバのリズムで殴り込みをかける。タンゴダンサーがつられてサンバリズムで踊り出し、嵐のようなサンバとタンゴの鍔(つば)迫り合いがしばし繰り広げられた。結局タンゴが勝ち、サンバチームはすごすごと去ってゆく。再びカミニートにタンゴのリズムが戻ってきた。
アルゼンチン・タンゴは約130年前ラ・ボカから始まった。絵にあるアコーデオン、モップを持ったオバサン、労働者の帽子が庶民的だ。
写真家:小松義夫











