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トップマネジメントメンタルトレーニング第6回
ビジネスパーソンのためのメンタルトレーニング
第6回 職場の雰囲気を変えるコミュニケーション術 Part1:対談 まずは、自分が変わることから始めよう
 
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弱音をすべて肯定してあげる人になる

久保田 昨年4月から日本橋のSOHO用のオープンオフィスで、ビジネスパーソン向けのメンタルトレーニング&カウンセリングルームを始めました。テナントのベンチャー企業が出入りするガヤガヤ感のある中でやっているんですが、隔離された診療室よりもお客さんが普段働いている会社の雰囲気に近いところでやるのがいいんです。「こころの居酒屋」と名づけたのは、気軽に来られるような場所にしたかったからで、お酒が出たりはしません(笑)。お陰様で、企業の役員の方から営業、エンジニア、企画、事務の方、看護婦の方や役者さんまで多彩な方にご利用いただいています。ビジネスパーソンの場合は、組織や人との関わりがうまくいっていないケースが多いですね。組織の中に相談できる相手がいないために溜め込んでしまっているんです。僕はそれをゆっくり聴きながら、彼らが自分でプラスの方向へ階段を昇っていけるようにお手伝いをするだけです。

高畑 僕もスポーツ選手にメンタルトレーニングを指導する時は、彼らが日常過ごす場所に出掛けていってやります。僕が帰った後は、彼らが自分でやれるようになれなければ意味がありませんから、その方がいいのです。でも、他のオフィスの人たちが往き来するような場所では話しにくいということはないですか?

久保田 カウンセリングで言う「傾聴」によって自分の思考に集中していきますから、そんなことは全然気にならなくなりますよ。弱音を吐いた人に「わかるけど、頑張ろうよ」と励ますだけでは、その人はどんどん辛くなってしまいます。そうではなく、まずはその人の言うことを全部肯定してあげるんです。会社のこと、家庭のことなど少しずつ聴いていくと、話の抑揚がグーッと上がるところが見つかります。そこにその人が本当に誰かにわかってほしかった悩みがありますから、ていねいに聴いていきます。その時、ホワイトボードを使って聴いたことを一緒にまとめていきます。そうすると心の中で悶々としていたことが客観的に見られるようになります。

職場の苦手な人とどう付き合うか

久保田 いま、会社でも家庭でも全般的に余裕がなくなってきていて、普段のコミュニケーションでも、会話の中身が恐ろしく偏ってきているんです。職場でだったら、仕事の話ばかりになって雑談をする時間がなくなっている。そういう状態が続くと、仕事以外の余計なことを話してはいけないような感覚が職場の人たちの間に生まれてきて、人と人の間に壁ができます。僕は職場で"呑みニケーション"をどんどんやればいいと思っています。呑んで心の内を吐露して、それを上司や同僚が「そうかそうか」と聴いてあげる・・・あれは「傾聴」になっていたと思うんです。そういう時に、「この先こうやっていきたいと思っているんですけれど」とか相談しますよね。組織の業績を上げる話ばかりでは、個々の社員がこの先どうなるのかが見えない。でも、社員にとってはそのことの方が不安なんです。だから、呑まないにしても上司は時間を設けて、部下一人ひとりの話を聴いてあげる時間を作ることが必要だと思います。自分のために時間を割いてくれるというだけでも嬉しいものです。

編集部 部下にとっては、上司は必ずしも話しやすい存在ではないかもしれませんね・・・

久保田 コミュニケーションを部下の立場から考えるなら、まず、「上司の人格は変えられない」ということは受け入れなくてはいけません。その上でどういう関わり方をしたら仕事がしやすくなるのかを考えていきます。例えば、近寄っていく時、恐れながら行くか、笑顔で行くかというだけでも違う。一歩、一歩近づいていくほどに肩の力が抜けていき、顔を合わせた瞬間にはとてもリラックスしていて気持ちよく話せた-そんなイメージトレーニングをしてみます。そして、実際に笑顔で上司の前に立ってみたら、いつもは苦虫をかみつぶしたような顔の上司がなんかビミョーな表情をしている・・・(笑)。変化は、まずはそんなちょっとしたところから始まります。

高畑 これは同僚との関係でもそうですが、苦手な相手とコミュニケーションをしなくてはならないときは、相手の嫌じゃない部分に気持ちを集中するように心がけるといいですね。仮に、相手の嫌なところが8、そうじゃないところが2しかなくても、思考には増幅させる力がありますから、2の部分に光を当てて考えていくと、どんどん2の部分が大きくなって、最後には8の部分を上回ってしまいます。

久保田 これもよくやる方法ですが、相手のこれまでの人生を考えさせるのも有効です。いつもむっつりしていてほとんど会話しようとしない人がいるとします。この人はどういう人生を歩んできたんだろう-お父さんは? お母さんは? どんなことを親から言われて育ったのかな? などと想像して遊ぶんです。それで、「こういう人生を歩んできたなら、今こんな人間なのはわかるなぁ」と思えたら、その人との距離感が少しだけ縮まります。そうしたら、今度は実際に話をしてみるんです。1時間でいいから仕事以外の話をしてみる。自分の歩んできた人生を話してみる。相手の言うことも当然、受け入れます。自分が相手に興味をもって接すると、相手の態度もきっと変わってきます。
失敗を恐れずに自己改革しよう

久保田 失敗をした時、挫折した時、一人で立ち直るのはなかなか難しい。そんなときに職場に一人でも相談相手がいると救われます。その人が答えをくれなくても、誰かに話すだけで自分の頭の中が整理されマイナスエネルギーを吐き出せます。日頃からそういう相手を見つけておくことが大切です。そのためには、まずは自分が人に対してそういう関わりを積極的にしていくことです。率先して人の話を聴いてあげることを心がけていれば、自分がしんどい時に誰かがきっと話を聴いてくれます。

高畑 そうですね。それに失敗を恐れる必要はありません。人生はスクラップ&ビルドです。成長するためには一度自分を壊すことが必要です。それを中途半端なリフォームで済ませようとする人が多いのではないでしょうか。しかし、それでは本当には成長できません。人は器なりの人間になっていくので、無理して大きい家を建てれば、それに合わせて成長します。恐れずに自分をリセットすれば、自分の中に新しい人生哲学が形成されていきます。話は少しずれてしまいましたが、このことは連載の最後に僕からのメッセージとして言っておきたいと思います。

(2006年1月11日、国立にて)

久保田葉氏
 1968年生まれ。筑波大学体育専門学部体育経営学科卒業。1990年、(株)リクルートに入社し人材総合サービス事業に従事。2005年3月、同社を退社。4月よりビジネスパーソン向けのメンタルトレーニング&カウンセリングルーム「こころの居酒屋」開業。米国催眠療法協会認定セラピスト。 http://www.geocities.jp/kokoronoizakaya/               
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コンテンツ一覧
弱音をすべて肯定してあげる人になる
第6回
職場の雰囲気を変えるコミュニケーション術
Part2:解説 笑顔と挨拶の習慣はコミュニケーションの土壌作り
第6回
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第4回
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