− 第5回 −
つながるデジタル家電で広がる新しいライフスタイル

急速に普及しつつあるデジタル家電はさらに進化し、それぞれが連携することで新しい価値を提供するようになった。その連携の役割を担っているのは、現状ではSDメモリーカードやDVDなどのリムーバブルメディアである。今後は無線LANや電灯線などによるネットワーク化が進むことで、家庭内のデジタル家電はより使いやすいものになるだろう。デジタル家電の分野で大きな存在感を持つ松下電器産業の取り組みを見ながら、ホームネットワークの現状と今後について考えてみたい。
薄型テレビとDVDレコーダー、デジタルカメラの「新三種の神器」は、いまや日本の景気を牽引しているといわれる。デジタル家電が急速に家庭内に入り込む中で、それらをネットワーク化した使い方も広がっている。例えば、デジカメの映像データをプリンターに受け渡して印画紙に出力するというようなことも、今ではごく日常的な風景である。
こうした流れは情報分野において顕著だが、今後は家庭内のあらゆる機器がネットワークにつながることだろう。そんな時代への準備が、今様々なところで進められている。
その一つとして「ECHONET(エコーネット)」の取り組みがある。これは、白物家電を含めた家庭内の機器をインターネットと接続するための国内通信規格で、その標準化団体にはエレクトロニクスや電力などの業界から100社以上が参加している。伝送路には電灯線と無線を用いるので、大掛かりな配線工事なしでホームネットワーク環境を構築することができる。このシステムの普及により、次のような使い方も一般化するかもしれない。携帯電話を操作して帰宅途中にエアコンのスイッチを入れたり、外出時宅内に誰もいなくなると、自動的に外出モードとなり、施錠、エアコンの停止、消灯が自動的に行われたり、また寒い冬の夕方には門灯をつけ、カーテンを閉め、冷え切った部屋を暖めたり……。
これらの動きは、今後のデジタル家電の発展に大きな影響を与えると考えられるが、以下ではネットワーク化において先行する情報分野に絞ってホームネットワークの現状を見てみたい。
ホームゲートウェイはテレビか、パソコンか?

松下電器産業
パナソニックマーケティング本部
コミュニケーショングループ
広報チームチームリーダー
笠 浩氏

SDメモリーカード
「ユビキタス社会に到達するまでには3つのステップがあると、私たちは考えています。第1ステップは、SDメモリーカードやDVDなどのリムーバブルメディアを使ったメディアネットワークです。第2ステップでは、無線や電灯線などを用いたホームネットワークによって家庭内のユビキタス環境が整備されるでしょう。第3ステップは、どこからでも簡単にネットワークに接続できる社会。現状は第1ステップに踏み出した段階です」
松下電器産業パナソニックマーケティング本部コミュニケーショングループ広報チームチームリーダーの笠浩氏は、ユビキタス社会への道筋をこのように描いている。DVD-RAMレコーダーとSDメモリーカードは2000年6月30日に同時に発売され、デジタルテレビも同年秋に世に出されている。それらの中でも、重要な役割を担っているのがデジタルテレビだと笠氏は言う。
「テレビは家庭の中心にあります。多くの人にとって、家に帰ってきて電灯の次につけるのはテレビでしょう。これまでのテレビは受動的に情報を得るものでしたが、これからはオンデマンドで能動的に情報を取りにいくこともできます。その際、テレビのリモコンを使って外部ネットワークに接続するのが最も簡単で便利。テレビがホームゲートウェイになるということです」
家庭の中心に位置するデジタルテレビと、それにつながるDVD製品、SDメモリーカードなどによって、松下電器は新しい付加価値を提案しようとしている。
ホームゲートウェイの本命をめぐっては、数年前から盛んに議論されてきた。PCが中心となるのか、テレビが中心となるのか、インテルCEOのクレイグ・バレット氏は今年2月のインタビューで、「世界地図は作製した国が中心になるように、パソコンメーカーはパソコンが中心になるといい、テレビメーカーはテレビが中心と主張する。相互接続できるようなインターフェースとプロトコルを統一することが最も重要」と述べている。
PCを中核とする未来を描いている企業の中で、その筆頭と目されているのがマイクロソフトである。同社が打ち出した「Windows Home Concept」は、各部屋の情報機器に音楽や映像を配信するハブとしての役割を、ホームサーバとしてのPCが担うことを目指している。同社はこのコンセプトを現実化するため、リモコン操作やテレビ番組視聴などに対応したOS「Windows XP Media Center Edition」をすでにリリースしたほか、2004年5月には「Home Center PC」の試作機を発表。この試作機はHDTV対応のチューナーを複数搭載することを想定しているほか、HDDの増設を簡単にできるなどの特長がある。テレビ放送の受信機能をホームサーバに集約し、ここから無線LANなどのホームネットワークを通じて各部屋の端末に映像を配信しようという構想である。
こうしたPC陣営の動きと逆に、松下電器は「ホームゲートウェイとしてのテレビ」という方向性をいち早く打ち出し、その強力な牽引役となってきた。
「私どもが目指しているのは、デジタルの難しさを感じさせないイージーネットワーク。現状のパソコンでは立ち上げるのにも時間がかかりますし、仕組みを理解していないと操作できない面もあります。扱いやすいテレビは、デジタルデバイドの解消にも有効だと思います」と笠氏は言う。










