IT Wise 事情通のITレポート
− 第1回 −
AR…拡張現実の今(前編)
拡張現実とは。
ここで、象徴的なAR技術をご覧頂きたい。
パソコンに接続されたUSBカメラなどの前に、「マーカー」と呼ばれる予めプリントしておいた印をかざすことで、そこに「あたかも存在するか」のように、CGでリアルタイムに生成されたグラフィックが現れる。
画面だけを観ていると、まさに手品を観ているようだ。
ここから読み取れることがいくつかある。
まず、ARの技術自体はそれほど新しいものではなく、いわゆるバーチャルリアリティと呼ばれる、CGでリアルタイムに生成された世界を回遊するような技術の応用と考えると、パソコンのゲームや前述のセカンドライフを含めすでに多く存在している。
プレイヤーが向いた方向に景色が動き。そのCGの世界を自由に動き回ることができ、その世界に没入していく感覚は、一度こうした3次元CGで生成されたゲームなどを体験したことがある人ならわかりやすいだろう。
つまり、現在普及している一般のパソコンやゲーム機などのハードウェアの性能でこうした技術が再現できる時代にあるということ。
そのリアリティという意味では、最近の映画のように超がつくほどのリアリティではないにしろ「あたかもそこにある」には十分な表現力をもちはじめている。いやリアリティという面では、再現されるCGの質が低かったとしても人の脳はそれをうまく補ってくれていることにも注目したい。むしろ、すでにパソコンレベルで生成される仮想世界には十分なリアリティがあるといってもよいだろう。
二つ目にARの技術は映像的に観ることで、初めて観る人に非常に高いインパクトを与えること。そして、それを後押ししているのが「Youtube」に代表される動画共有サイトの普及だ。
2009年のヤフーの検索ワードは2年連続で「Youtube」である。つまり、動画で情報を伝達したり、クチコミで広げたりする風潮がこうしたわかりやすい技術を広め始めたきっかけになっているとも言える。
ぜひYoutubeで「Augmented Reality」と検索いただきたい。言葉で説明する以上に説得力をもった情報にたくさん出会える。
そしてなによりもこの技術は、「技術の応用イメージをふくらませやすい」という点もある。
セカンドライフが仮想世界を舞台に企業のプロモーションをお店や街などのメタファーで立体的に表現したり、映画の上映会や音楽コンサートを開いたり、自動車メーカーが仮想世界上で運転できる自動車を自販機で配布したりなど、とこれまでの平面的なインターネット体験から、より立体的にかつインタラクティブなユーザー体験をもたらしたように、ARの世界も、これに似た新しいユーザー体験を提供しはじめている。
これに代表されるのがAR技術を活用した「広告」と「ゲーム」だろう。後半は現在あるARの事例を追ってみたい。(後編に続く)
(2010年3月1日公開)
後編はこちら

執筆者 : 佐々木 博(ささき ひろし)
オフィス創庵 代表取締役
1970年生まれ。京都出身。
NHK教育テレビ「趣味悠々」パソコン・IT講座を12年歴任。現在は、地域情報発信力向上のための地域ICT利活用促進講座や、次世代に情報をつなぐための、シニア向けソーシャルメディア伝承ワークショップなど、各地域で講演、教育活動、コンサル事業に従事。










