− 第9回 −
「成長するインドIT産業」
〜見えないメイド・イン・インディアが身の回りにあふれ出す〜
日本とインドIT産業との関わり
前項ではインドへの株式投資について簡単に触れたが、日本とインドIT産業が実際のビジネスでどのように関わっているかを考えてみると、[1] 日本のITベンダーがオフショア開発センターとしてインドを利用、[2] 日本企業がインドに進出した際に現地で使用するシステム構築・ソフトウェア開発、[3] インドのITベンダーが日本に進出し日本でのビジネスを手がける、といった3パターンが想定できるのではないだろうか。
まず、[1]のITベンダーのオフショア開発に関しては、これまで日本企業は中国をオフショアセンターの中核に据えてきた経緯がある。特に大連などでは日本語教育も盛んに行われており、情報サービス産業協会のアンケート調査(2004年暦年を対象)によると日本から海外へのアウトソーシング活用は中国が60%、インドは8%程度に留まる。しかし、NEC、富士通、日立製作所など大手ITベンダーは既にインドに拠点を設けており、人材の確保などを積極的に進めるなどインドへの取り組みは進んでいる。米国企業を中心にインドIT業界への投資が進み、知識・技術・ノウハウなどがインドに蓄積していく中で、日本のITベンダーにとってインドに拠点を置かないリスクは高まりつつあるだろう。
[2]の日本企業のインド進出に関しては、現在は約350社の日本企業がインドに進出していると見られる(国際協力銀行 2006年6月調べ)。スズキやホンダなど自動車関連企業を中心に、拡大する現地マーケットに向けた生産能力拡大が継続している。これら企業がどのようなIT投資を行っているかという具体的な調査結果はないが、SCMなどを中心としたソフトウェア・サービスの需要増の恩恵が日系企業もしくは現地のインド企業へもたらされていると考えられる。国際協力銀行が実施した2006年度海外直接投資アンケートにおいて、インドは中期的に有望な事業展開先国として中国についで2位の位置を占めており、今後も国内企業の投資増加とそれに伴うIT需要の拡大が見込まれる。
日本でインドのIT産業というと、上述した[1]のオフショアや[2]のインドへの進出企業に焦点が当たりやすいが、[3]のインド企業の日本進出も実際には進み始めている。前に述べたようにTSCやインフォシスなど大手のインドITベンダーはグローバル戦略を展開しており、TCS、ウィプロ、インフォシス、サティヤム、HCLは既に日本に拠点を構えている。2006年度の各社の売上高は30億円〜100億円、従業員数も120名〜350名程度と見られ、規模はまだ小さなSI企業といった状況だが、日本語対応や日本企業の業務プロセス・業務ノウハウの蓄積など着実に日本でのビジネスを拡大している。
また、これらの企業などで働くインドのIT技術者は西葛西などに多く暮らしているとされ、「江戸川インド人会」の形成がニュースで取り上げられるなど、日本の地域社会の中でもインドIT産業の存在が大きくなってくる地域も出てくると考えられる。個人的には、最近インド人によるインド料理屋が増加していると感じているが、その背景ともなっているかもしれない。











