− 第9回 −
「成長するインドIT産業」
〜見えないメイド・イン・インディアが身の回りにあふれ出す〜
中国とともに成長市場の代名詞となったインド。足元のGDPの成長率も日本をはじめとした先進国を大幅に超える成長を遂げている。BRICsの中では中国がハードウェアの生産拠点として活用されているのに対し、インドはソフトウェア・サービスを核とした成長が続いている。今回のレポートの中では、インドのソフトウェア・サービスを中心としたIT産業の概要と主要なインド企業の動向・戦略を見た上で、我々にとってインドのIT産業やインド企業が、どのようなかかわり方を持つのか考えてみたい。
インドのソフトウェア・サービスの全体像
インドのソフトウェア・サービス産業の全体像をとらえる上で、まずその市場規模を見てみたい。インドのコンピュータ業界団体であるNASSCOMが発表するソフトウェア・サービス市場規模(ITサービス・BPO・ソフトウェアの合計)を見てみると、2004年度では167億ドル(2兆円:1ドル=120円)であった市場規模は2006年度には303億ドル(3.6兆円)まで拡大、2007年には397億ドル(4.8兆円)と3年で約2.5倍の規模に成長するとの見方を示している。
一方、日本の情報サービス業を見ると売上高で約14兆円(経済産業省:特定サービス産業実態調査)とインドを凌駕するものの、売上高の成長率では2005年が前年比横ばい、2006年は景気回復の恩恵を受けて前年比+4.6%(経済産業省 特定サービス産業動態統計調査)に留まっており、インドの成長率がいかに高水準であるかということが伺える。
また日本の情報サービス産業はほとんどが国内市場を対象とするのに対し、インド市場の急速な成長を支えているのは輸出であり、売上高の約80%が輸出から成り立っている。輸出先の7割近くを占めるのは米国、ついで英国を中心とした欧州が2割程度であり、米国や英国といった英語圏を中心にインドのソフトウェア・サービス産業が成り立っていることがわかる。
インドが英国の植民地支配を受けて英語圏に属していること、IIT:インド工科大学などで高度な教育を受けた人材の多くが米国などに流出しビジネスに従事したことなどいった歴史的な背景に加えて、Y2K問題の対処に絡んだ特需や2000年前後に進んだインフラの整備、また米国とは12時間の時差があることから米国の夜中にビジネスを進められるといった利点も、米国など英語圏からの需要の拡大につながった。

ソフトウェア・サービス市場の拡大は雇用の増加にもつながっており、同業界に従事する従業員数は2004の83万人から2007年には163万人と倍増する見通しとなっている。日本の情報サービス業の就業者数が2005年で57.4万人(経済産業省:特定サービス産業実態調査)となっており、就業者数ではすでに日本を大幅に上回る水準に至っている。また、インドの高等教育機関:ICT関連学科の卒業者数は2004年の20万人から2007年では29万人に増加する見通しであり、急激に拡大する市場を支える人材の確保もある程度は担保されている状況といえよう。
一方で高等教育機関の不足や識字率の低さなども影響してIT関連の職業に必要とされる一定水準の教育水準を受けた人材には限りがあるとも考えられている。インドの大手IT各社が人材確保を経営の重要課題に挙げているのも現実を表していよう。











