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ITビジネス ヒットエンドラン

− 第5回 −

「クチコミ」の活用はどこまで進むのか
〜Web2.0時代のマーケティング

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クチコミマーケティングを効果的なものにするために

 クチコミマーケティングをデザインする際、できるだけ商業的な背景を無くすためにも、企業は販売の色を消すべきである。世界的に著名な経営学者ドラッカー(P.F.Drucker)は「マーケティングの究極の目的は販売を不要にすることである」と述べている。プッシュ型の営業をしなくても、顧客サイドから指名買いをしてもらうことが理想である。例えば、販売色を消す方法としては以下の2つの方向が考えられるだろう。


【販売の色を消す方法】

 企業の販売員が当該製品のプロとして、かつ、一人の消費者としての視点をもちながら、コミュニティへの積極的な参加を目指すのがプロシューマー型販売員モデルだ。プロシューマーは「当該製品カテゴリに熟知し、プロ並の情報量を持った消費者」をさすが、優秀な販売員は、同時に、消費者としての視点も持っているプロシューマーでもあるものだ。決して、企業が消費者を装うことではない。

  サイト上でのプロシューマー型販売員の使命は、自社製品にとどまらないマーケットリーダーとして、一般消費者に尊敬されるような振舞いをすることが使命となる。かつてリアルの世界でも、「カリスマ店員」と言う言葉が流行ったことがある。カリスマ店員はまさにここでいうプロシューマーそのものである。ファッションの流行に敏感なプロフェッショナルであると同時に、消費者視点で顧客に助言を行うことで店舗の内外で尊敬を集めていたのがカリスマ店員だ。

 一方、生産者としての思いをサイト上で消費者に熱く語るのが職人型販売員モデルだ。Webを活用した売買では、必ずしも「作ったものを誰かに任せて売ってもらう」必要はない。生産者と消費者がダイレクトに交流ができることは、Webに特有の魅力であり、伝統的な市場取引では到底実現できなかったことである。例えば、卸売市場で取引される生鮮野菜の生産者は、卸売業者に競り落とされた後に、最終的にどのような消費者が購買したのかさえ知ることができない。しかしWebを利用して生産者と消費者の交流ができるならば、どのような消費者が、どのようなお料理に加工して、どのような食卓で、誰と食べたのかまで知ることができるだろう。

  サイト上での職人型販売員の使命は、「良いものを作りました」と熱く語ることに尽きる。「売れると考えたのはこういう理由です」「こういう新技術が活かされています」といったようなことを、まさにプロフェッショナルの視点から訴えかけるのが、前述のプロシューマー型モデルとの大きな違いである。しかし、「作りたいものを作りました」と消費者に誤解されないようにしなければならない。コミュニティに参加している消費者から、商品に対する指摘を受けた場合には、真摯に受け止め今後の生産活動に活かしていくのがよいだろう。顧客志向が何よりも大切だ。

 クチコミマーケティングには、企業サイドによる話題づくりや感動を与えるようなしかけづくりも必要だ。最近の事例では、北米ソニーが、話題になったCMのメイキングストーリーを作成してクチコミを盛り上げている。影響力のあるブロガーにアプローチして自社の情報を取り上げてもらうという方法も手っ取り早いが、この方法は、一見するとこれまでのパブリシティーのようにもみえても、ブログやSNSは消費者がクチコミ感覚で閲覧している場合には注意が必要となる。前述の通り、クチコミ感覚で閲覧されているブログやSNSでの広告活動は、「公」の場で展開されるパブリシティーとは異なり、消費者の「私」の領域に踏み込むものとして「炎上」してしまうリスクが非常に高いのだ。


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