− 第5回 −
「クチコミ」の活用はどこまで進むのか
〜Web2.0時代のマーケティング
クチコミのビジネス活用
それではビジネスの視点から、Web2.0時代のインターネットを利用したクチコミの活用について考えてみたい。手法としては大まかに二つのパターンに分けることができる。
一つは、「クチコミを成立させるコミュニティ」や「ネットワークを形成するインフラ(場)」を提供し、それを利用する参加者や企業から対価を得るというモデル(ここでは「クチコミビジネス」と呼ぶ)。もう一つは、クチコミを活かして自社の売上拡大を図るという従来どおりのモデル(ここでは「クチコミマーケティング」と呼ぶ)である。
1)クチコミビジネス
クチコミビジネスは、クチコミが成立する場の運営そのものをビジネスとしてしまうものである。例えば、SNSの「ミクシィ」や、化粧品情報サイトの「アットコスメ」がそれにあたる。これらのサイトは、利用者をターゲットにした企業からの広告収入でビジネスが成り立っている。またアットコスメに関連した企業向けサービス「アットコスメプロ」のように、利用者間でやり取りされるクチコミの内容を分析し、マーケティングデータとして企業に販売するといった方法で収入を得るモデルもある。最近では、「バズムービー」のように、人気ブロガーにネット上で映画作品を試写してもらうなどの方法で、映画やDVDの販促活動を支援するビジネスも盛り上がっており、対象となる商品の領域やその手法も多様化が進んでいる。

【クチコミビジネスの類型】
コミュニティ運営を中核としたクチコミビジネスについては、参加者の獲得や維持、あるいは規模の拡大や維持が成否の鍵となる。それだけではなく、中立的で良質なクチコミを誘発するためには、専門的ノウハウの蓄積や工数確保といった人的な資源が必要だ。そのため、後発での参入企業や単独での運営を考えている特定分野事業者にとっては、相当な覚悟が必要となろう。
2)クチコミマーケティング
一方のクチコミマーケティングは、上手く実行すれば自社の助けになる可能性が高い。クチコミをマーケティングに利用する目的は「顧客を知ること」である。顧客のことを知るためには、前述の情報提供型ビジネスを利用することができる。また、クチコミを自社のマーケティング活動に利用するにあたっては、次の3つの工夫や対策も必要となってくる。顧客にクチコミを作ってもらうこと、コミュニティを盛り上げクチコミの活性化と伝播を狙うこと、企業自身でクチコミを作ること、の3つである。

【クチコミマーケティングの目的と対策】
ではそのために何をすれば良いのか。顧客にクチコミをつくってもらうためには、上述の販促支援型ビジネスを利用する方法もあるし、自社のサイトでブログやSNSを立ち上げ、顧客が参加できるコミュニティをつくる方法もよいだろう。後者の方法は同時に、クチコミの活性化や伝播を狙うためにも、また、企業自身でクチコミを作るためにも有効な手段である。これら3つが揃ったお手本とも言えるサイトとして、日産自動車が運営する「TIDAブログ」が挙げられる。











