− 第4回 −
NGN(次世代ネットワーク)
〜通信業界の新たな構造変化は何をもたらすか
NGN(=Next Generation Network:次世代ネットワーク)という言葉が徐々に世間に浸透し始めており、インターネットや携帯電話など、我々にとっていまや身近になったネットワークが、通信速度や利用場所、サービスの内容などにおいて、更なる進化を遂げようとしている。
NGNはその名の通り、ネットワーク社会の新たな時代を標榜するものであり、我々一般の生活者やビジネス現場に、新たなメリットをもたらすものであるとされる。その一方でまた、NGNの広がりは、それを実現しようとしている通信キャリアや通信インフラのメーカーにとっても、大きな構造変化をもたらすものであり、これにどのように対応するかによって、業界の勢力図は大きく変化していくと予想されている。
今回のレポートでは、まずNGNと呼ばれているものの概要に触れ、それが利用者に何をもたらそうとするものかを考えてみたい。さらに、世界の代表的な通信キャリアや通信インフラメーカーの対応戦略を概観し、インターネットサービスや放送事業者をも巻き込んで展開する業界構造の変化について考えたうえで、NGN時代の実像に迫ってみたい。
NGNとはどういうものか
NGNという概念は、特定のキャリアやベンダーが勝手に提唱しているものと思われがちだが、通信の国際標準化機関であるETSI(=European Telecommunications Standards Institute)やITU-T(=International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)によって、従来の電話回線網に代わる広域ネットワークとして明確に要件が定義され、その標準化が進められている。簡単にその特徴をあげると
(1)インターネットと同じIPベースのネットワークである
(2)アクセス網からコアネットワークまで広帯域(ブロードバンド)化されており、通信の品質を保障(QoS制御)することができる
(3)異なる事業者間の接続『ローミング』と、異なる通信方式間の接続『ハンドオーバー』を実現することで、固定通信と移動通信を融合することが出来る
(4)データを転送するネットワークと、アプリケーションサービスを提供するサービスプラットフォーム機能が分離しており、通信キャリアが容易にサービスを追加できる
といったことになる。
ネットワークのIP化とブロードバンド化は、大容量のデータ転送を可能にするため、従来は主に電波で提供されていたテレビ放送のようなサービスを、こうしたネットワークで提供することが期待されている。さらに固定通信と移動通信の融合により、固定電話と携帯電話が同一の端末や同一の番号で提供され、移動通信のブロードバンド化、IP化の進展で、動画など固定通信と同じサービスの提供が可能となる。
そのほか、利用者への大きなメリットとして、IP電話の導入により従来の回線交換の電話に比べて通話料が安くなることがあげられる。今後は固定通信と移動通信が一体化することで、今まで二重に支払っていた基本料金などのサービス料金が統合され、割安となる可能性も出てくるであろう。
また、生活者向けのサービスのみならず、インターネットよりもさらに安全で信頼性の高い通信網が構築されることで、医療や金融関連といった様々なビジネス領域にも、ネットワークサービスがさらに拡大していくとする見方も多い。
NGNの導入によって、期待されるサービス
資料:NECプレスリリース
このように、NGNは広く社会全体でそのメリットを享受できることが期待されているわけだが、その実現を担う役割としては、先進国を中心とした大手通信キャリア、特に国家を代表する固定系電話会社が名乗りをあげており、それに応える形で、大手通信インフラベンダーもNGNに対応する様々なネットワーク製品を用意しようとしている。次にその代表的な事例を見てみよう。









