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ITビジネス ヒットエンドラン

− 第1回 −

IT市場大転換 グーグルvs.マイクロソフト

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MSNへの集中投資で、グーグル等を猛烈にキャッチアップ

 さらに2006年5月に開催された、MSN事業に関する投資家向け説明会でバルマーCEOは、「成長には積極投資が必要だ」と力説し、成長機会のすべてに対して、企業買収や研究開発を進めていく方針を改めて打ち出した。

 なかでも際立つのが、MSN事業関連への積極的な戦略投資である。同領域への研究開発費用は、2006年度の7億ドル(予定)から、2007年度には11億ドルに引き上げる計画を発表。さらに、2006年度は3億ドルの予定となっている資本支出額も、2007年度には5億ドルに増やす計画だという。

MSN事業関連に戦略投資
(MSN Strategic Account Summit 2006より)

 こうした巨額の投資を元手に、グーグル等のインターネットサービス型のビジネスモデルへの転換を図り、競合サービスを猛烈にキャッチアップしようとしている。

 現時点で発表されているサービスの一例として、広告等ビジネスへのつながりが期待されるローカル検索分野では、地図・道順案内サービスの「Windows Live Local」を提供している。

 グーグルは、世界中の地図や衛星写真を閲覧することができる「Google Earth」や「Google Map」を提供し、アマゾンは、全米各都市の道路の両側に見える街並みを、人の目の高さから撮影し、地図上にマッピングしたサービスを公開している。

 これに対しマイクロソフトは、ドライバーの目線で前方の景色や街並みの写真を見られる機能や、低空飛行する飛行機から撮影した街並みを45度の角度から眺めることができる「bird's eye」などで対抗しており、目下、自動車や飛行機からの、街頭写真のデータ収集にも力を入れている。

bird's eye
(http://internet.watch.impress.co.jp/cda/parts/image_for_link/20059-10155-1-1.html より)

Driver View
(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0603/01/news022.html より)

サービスに対応した組織改革も断行

 さらに2006年3月には、大規模な組織の再編が行われた。Live戦略の中核を担うPlatforms & Services事業部では、Liveの名を冠した開発や推進に関連する部門が複数新設され、従来型のソフトウェアプロダクト部門とは独立した専任部門として、この事業の確立に取り組んでいく姿勢を明確にした。

 注目すべき人事として、現在、最高技術責任者と全社のサービス責任者を兼任する、ロータスノーツの創始者レイ・オジー氏を、ビル・ゲイツ会長の直属としていることが挙げられる。最近、2008年を目処にゲイツ会長が一線を退くことが発表されたことからも、オジー氏がゲイツ氏の後継者という位置づけであることは間違いない。

 再びエンジニアが新しいビジネスを主導する体制になったマイクロソフトの、グーグル等がサービスビジネスでありながら、自らをテクノロジー企業と位置づけ、ソフトウェア開発を源泉に現在のポジションを確立したことと、無関係ではないだろう。

破壊的構造変化はIT市場全体へ波及する

 このように、わずか数年間のうちに大躍進を遂げたグーグルの勢いは、ソフトウェアのビジネスモデルを根底から揺るがし、その結果、絶対的な優位を保っていると信じられてきた巨人マイクロソフトにも、大きな戦略転換を迫ることになった。

 今後、インターネットサービスをめぐる争いは、グーグル、ヤフー/イーベイ、マイクロソフトの3つの陣営を中心に、さらに激しい競争が繰り広げられていくことになるだろう。

 そして、既に国内外のモバイル関連市場でその動きが始まっているように、この争いはこれまで広く「IT産業」と呼ばれてきた広範な業界を巻き込み、それを再編してゆく大きな原動力となることは間違いない。この波は、通信キャリアや放送業界、企業向けのITサービス、さらにはテレビなどの家電から、電子デバイスの業界に至るまで、確実に到達する。既に各業界の主要企業もマイクロソフト同様に、着々とその対応を進めている。破壊的構造変化は、水面下で着実に進んでいる。

(執筆担当:国枝)

(2006年8月21日 公開)


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