− 第1回 −
IT市場大転換 グーグルvs.マイクロソフト
インターネットサービスに急旋回する巨人マイクロソフト
不振が続く「MSN」事業
「われわれが最も注意を払っている存在はマイクロソフトだ。検索や広告で影響力が増している。」グーグルのシュミットCEOは2006年3月の投資家向け説明会で、マイクロソフトを最大のライバルと名指しした。そのマイクロソフトは、目下インターネットサービスの新潮流に乗り遅れまいと、必死の戦略転換に取り組んでいる。スティーブ・バルマーCEOは、「グーグルとの競争は長期戦になる」と述べている。
しかしながら、マイクロソフトが将来を期待するインターネット事業「MSN」は、売上・利益ともに減少が止まらない。前述のインターネットサービス各社が高成長を続ける一方で、2006年1-3月期、MSNはついに営業赤字に転落した。
MSN事業の主なサービスは、検索・ポータル、Hotmail、メッセンジャーなどで、収益構成は、(1)広告主からの収入、(2)利用者や出店者からの手数料収入、(3)ナローバンドインターネットの接続料収入、となっている。このうち、広告収入や手数料収入はいずれも増収となったものの、新たなサービスプラットフォームへの投資負担も増加している。そして、依然として大きな比率を占めるインターネット接続事業は、会員数の大幅な減少により、同期間だけで前年同期比5,300万ドルもの収益悪化となった。
忍び寄るSaaS(=Software as a Service)
WindowsやOfficeなどのソフトウェアを、ユーザにパッケージソフトウェアとして有償で提供し、巨大なソフトウェア企業となったマイクロソフトだが、インターネットの拡大はソフトウェアビジネスの主戦場を、OSなどハードウェアプラットフォームから、インターネットのサービスに移しつつある。
グーグルの躍進は、マイクロソフトにもビジネスモデルの転換を迫り、いま彼らはインターネットサービスに対応したビジネスモデルの構築を急いでいる。
バルマーCEOは、「社内のR&D部門には、SaaS(Software-as-a-Service、パッケージソフトを販売するのではなく、ソフトウェアをサービスとしてインターネットを介して提供する)事業が最優先事項であることを伝えてある」と述べ、2005年半ば頃よりWebサービス路線を強化していく方針を示した。2005年11月に発表した「Windows Live」「Office Live」などの「Live(ライブ)戦略」は、そうしたインターネット上で利用できるソフトウェアサービスを指向したものであり、新たな収益源として、ライセンス収入に代わって、広告収入を中核にするとしている。これは現在のグーグル等と全く同じビジネスモデルを目指すことを意味する。
「Live戦略」の中核はサービスと広告
「Live戦略」では、WindowsだけでなくOffice、xboxなども含めた、ほぼすべての主力製品群について、その方向に沿った戦略が打ち出されている。コンシューマ向けを中心にした、すべてのサービス事業をLiveプラットフォーム上で展開し、ソフトウェアライセンスではなくサービスによるビジネスモデルを指向している。
そのなかでも、コンテンツ連動型広告と有料検索の両方に対応した広告プラットフォーム「adCenter」は、今後のマイクロソフトにおけるビジネスモデルの中核に位置付けられ、SaaS時代における新たな収益源として期待されている。
バルマーCEOは、先ごろ社員に宛てて配布したメモで、グーグルとの戦いでは「adCenterのさらなる成長がカギを握る」と述べている。

(Microsoft MSN Strategic Account Summit 2006 スティーブ・バルマーCEO プレゼン資料より)











