− 第1回 −
IT市場大転換 グーグルvs.マイクロソフト
モバイルインターネットでも活発な提携
そして、グーグルが最近特に注力しているのが、モバイルインターネットの領域だ。2006年5月18日、グーグルは国内モバイルキャリア第2位のauと、モバイルインターネット検索での提携を発表し、auが提供する携帯電話向けインターネットサービス「EZweb」に、グーグルの検索エンジンを採用することで合意した。これにより、EZwebのトップページにグーグルの検索ボックスが表示されるようになる。今後両社は、共同で提供できるサービスの可能性についてさらに検討していく方針だ。
他にも、携帯電話向けの「グーグルモバイル広告」は、2006年4月、世界に先駆けて日本で開始された。検索キーワードに関連するテキスト形式の広告が検索結果のページに表示され、広告をクリックすることで広告主のサイトを表示するだけでなく、「電話」のリンクをクリックすることで広告主に直接電話をかけられる「Click-to-call」機能も用意された。
また海外でも、携帯電話端末からグーグルのサービスへのアクセス確保に向けて、モトローラ、ノキア、ソニーエリクソンなど大手端末ベンダーとの提携を相次いで発表した。
モトローラは、携帯電話にグーグルのアイコンを表示し、スムーズにグーグルの検索サービスへアクセスできるようにすると発表。ノキアも、携帯情報端末Nokia770にグーグルを検索サイトとして初期設定するだけでなく、グーグルの無料インスタントメッセージング/VoIPソフト「グーグル Talk」を標準搭載する方針を発表している。ソニーエリクソンでは、インターネット対応型の全機種で検索サイトとしてグーグルを登録し、K800など数機種には、グーグルの提供するブログサービスに直接投稿できる機能も搭載するとした。これら3社の世界携帯電話市場におけるシェアを合計すると、実に50%を超えてしまうのだ。
ネット各社もモバイルでのサービスが活発に
こうしたモバイル領域でのサービス提供は、グーグル以外のインターネットサービス企業も積極的に力を入れ始めている。
eBay子会社のPayPalは2006年4月6日、携帯電話のメール機能を使ってオンライン決済が可能なサービス「PayPal Mobile」を発表した。PayPalは、オンラインショッピングサイトや個人口座への送金を代行するサービスで、メールアドレスがあれば誰でも利用でき、既に全世界で1億人以上のユーザが利用している。このサービスが携帯電話にも拡大することで、オンライン上での買い物やチャリティへの寄付など、様々な決済が携帯電話のみで行えるようになる。
Amazonの日本法人アマゾンジャパンでも、モバイルサイト「Amazonモバイル」経由での売上が2005年度には前年比3倍に達し、同社の売上拡大に大きく貢献した。最近になって携帯電話からカスタマーレビューを投稿できる機能が追加され、また、本の「なか見!検索」や、携帯での決済、携帯サイト向けのアフィリエイトサービス「Amazonモバイル アソシエイト・プログラム」もスタートしている。
揺れるライバル企業、Yahoo!とeBayは全面的な提携へ
モバイルを含め、拡大するインターネットサービス市場での競争にしのぎを削る各社だが、前述したようなグーグルの独り勝ちともいえる様相が強まるにつれ、ライバル各社の間にも焦燥感が強まりつつある。
そうした矢先、Yahoo!とeBayが米国市場における複数年に及ぶ戦略提携を発表し、業界を驚かせた。その内容たるや、検索からオンライン決済システム、ツールバーの共同リリース、ネット広告での連携にいたるまで、事実上の事業統合ともいえる全面的なものとなっている。両社から出されたリリース文に記載されている、主な内容は以下の通りである。
・検索分野において、eBay.comで売買されている商品についての最新情報をYahoo! Web Searchで検索できるよう両社が協力する。
・決済分野において、Yahoo!がPayPalを独占的に採用する。ユーザがPayPalアカウントを使って銀行口座やクレジットカードからYahoo!のサービス料金を支払えるようにする。Yahoo!サイトにおける各種決済にPayPalを組み込むことで、ユーザや販売業者向けへの拡販を行う。
・広告分野では、eBay.comのサイトを通じた全てのグラフィック広告をYahoo!が独占提供する他、eBay.comの検索結果のページの一部でスポンサー付き検索連動広告を提供する。
今回の提携は、Yahoo!の広告事業とeBayのPayPal事業を中心に、双方に少なからぬ増収効果をもたらすと期待されている。2006年中のテスト期間を経て、2007年から本格的な協業がスタートする予定だ。検索・決済・広告というインターネットビジネスのサービス基盤において、お互いの強みを補完しあう今回の提携は、明らかにグーグルに対抗するためのものであり、新たに強力な陣営が誕生したわけである。
そしてこの提携に至る過程で、これらの企業との協業を求めて、水面下で様々な交渉を繰り広げたとされるのが、世界最大のソフトウェア企業マイクロソフトである。











