− 第1回 −
IT市場大転換 グーグルvs.マイクロソフト
急成長を続けるインターネットサービス市場をめぐって、企業各社の動きは一段と活発化している。革新的な技術やサービスが続々と登場し、企業間の提携や買収も目まぐるしい。その中心では、巨大企業に成長したインターネットサービス事業者が、新たな時代のITの担い手として、IT産業そのものの構造変化を引き起こしつつある。
その先陣を走るグーグルは、設立から8年、上場してわずか2年足らずで、売上高60億ドルの大企業に急成長を遂げた。グーグルはもはや従来のIT市場の枠では捉えられない、独自の存在感を示している。
一方、従来のITベンダーの雄として、揺るぎないポジションを築いたかに見えた巨大ソフトウェア企業マイクロソフトも、これまでのビジネスモデルをインターネットサービスに対応したものに転換すべく、着々と体制作りを進めている。マイクロソフトが備えるのは、今後予想されるグーグルとの全面対決である。
今回は、これからのインターネット市場で覇権を争う、これら2つの企業に着目し、ソフトウェアを中心としたITビジネスの新しい動向について考えてみよう。
グーグルの成長がもたらすIT市場再編
ネット検索市場で圧倒的シェアを確立
インターネット視聴率調査会社Nielsen/NetRatingsの調べによると、2006年4月に米国で実施されたインターネット検索のうち、グーグルの占めるシェアがついに50%を超えた。ライバルのYahoo!は22%で横ばい、マイクロソフトのMSNは11%とシェアを落とした。日本市場においてはヤフーの後塵を拝しており、中国市場での苦戦も伝えられるグーグルだが、インターネット先進国市場である米国やヨーロッパの主要国では、既に圧倒的な地位を確立しつつある。その勢いは、もはやインターネットサービス業界にとどまらず、ソフトウェアからハードウェア、さらにはネットワークキャリアにまで広く影響を及ぼすに至っており、まさに現代の「産業革命」といっても過言ではない。
驚異の成長を支えるソフトウェア開発
2006年度第2四半期(4〜6月期)の業績は、売上高が前年同期比77%増の24億5,600万ドルとなった。営業利益は8億1,500万ドルで、前年同期の4億7600万ドルから71%増加、純利益は7億2,100万ドルで、前年同期の3億4,300万ドルから2倍以上の増益である。同じ大手インターネットサービスのYahoo!やeBay等と比較しても、その成長は突出している。 グーグルの競争力の源泉は、ソフトウェアを中心とした技術開発力にある。探し求めている情報を的確に検索して提供する技術、サービスを支えるプラットフォームを廉価に構築する技術など、優れた技術の集積がグーグルの高成長を支えている。期間中、ソフトウェアを中心とした研究開発費も著しく増加し、2億8,300万ドルを計上している。
そうした開発の成果として、多分野にわたる斬新なソフトウェアサービスが、連日のように発表されており、そのほとんどが無償でユーザに提供されている。最近のものでは、表計算ソフトをWebアプリケーションで実現した「Google Spreadsheets」をはじめ、人気のデジタル地球儀ソフトの最新版「Google Earth 4」や、デスクトップ検索の「Google Desktop 4」などが、わずか1ヶ月ほどの間に次々と発表された。
また、決済サービスの「Google Checkout」や、動画広告の「Click-to-Play Video Ads」、コミュニティーサービスの「Google Co-op」など、企業や生活者を対象にしたプラットフォームサービスも次々に公開され、収益基盤の着実な強化を図る同時に、他のライバル企業に大きな影響を与えて続けている。










