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Front Line in Asia

− 第5回 −

普及率110%!もうひとつのケータイ先進国"台湾"
「コミュニケーション重視のユビキタスライフを謳歌するタイワニーズ」

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利用目的や価格によって使い分けが進む

テレビ会議などができる人気のDopod社の多機能ケータイ

テレビ会議などができる人気のDopod社の多機能ケータイ

 台湾は、GSMとCDMA2000、PHSのほかにiモードも採用されているなどアジアの中でも実はケータイ激戦区のひとつだ。そのため、すこしでも差別化を図りたいキャリアの競争も激しく、新しいサービスの提供やそれにあわせた新機種の投入も著しい。

 残念ながらマザーボードやPC部品の生産では世界トップの台湾も、PCの市場価格はまだまだ高く、家庭などでのブロードバンドインターネットは日本ほど普及していない。そのため、通話を主体とする従来型のケータイの利用形態の一方で、ビジネスユースなどを中心としたPDAのような多機能ケータイへの移行の傾向も出はじめている。

 多機能ケータイでは、従来のケータイ機能やPDA的な使い方に加え、双方向の動画コミュニケーションなどが可能だ。例えば、遠隔会議や現場情報の送信などリアルタイム性はそのままにコミュニケーションを会話から会話+動画に充実することができ、ビジネススタイルの幅を広げる可能性を持っている。こうした多機能ケータイは、今後、ビジネスマンなどの企業ユーザから次第に、一般へと浸透することが予測される。しかし、通信料金の面においてもシビアな台湾のユーザは、利用目的においても使い分けを厳格に行っていくことも予測される。

 例えば、台湾では、電話においても使い分けがうまく進んでいる。台湾の固定電話の通信料は、ケータイなどに比べて非常に安価だ。そのため、ケータイの普及率が世界でトップクラスにもかかわらず、相変わらず固定電話の利用率も高いのだ。これは、日本の若者などが固定電話は契約せずにケータイのみを利用する場合とかなり状況が異なる。このように台湾では、通信料や利用料といったランニングコストの比重に注目し、賢い利用者が目的やライフスタイルにあわせて使い分けを行っているのだ。


コミュニケーション重視の台湾では、新サービスPoCに注目

 コミュニケーションに重きを置く台湾で、最近話題のサービスに注目してみよう。昨年10月、台湾の中華電信会社はPoC(push to talk over cellular)サービスの提供を開始した。PoCは、Push-to-Talk("押して""話す")というトランシーバのような通話スタイルを実現するための技術やサービスを言い、1対1またはグループ間での迅速なコミュニケーション手段としてケータイ端末を利用する。会話を開始するためには、ダイヤルを回す代わりに、ボタンを一押しするだけで簡単に「仲間リスト」にアクセスしたり、連絡したい相手を選んだりすることができる。相手との接続後は通話用のボタンを押している時だけ、相手に音声を届けることができるが、ボタンを押している間は相手からの声は聞こえない。また、グループ間での複数の相手との同時接続の場合は、ボタンを押して話している人の音声が、残りの全端末に送信される。Push-to-Talkは、インターネットプロトコルを利用してデータ通信網で通話を行う、いわゆるVoIPの一種で、ケータイ端末向けに開発されている。データ通信網を使うため、通話コストが安くなるなど利用者にとってのメリットも大きい。既に欧米では注目のサービスとして普及しはじめ、世界的にも徐々に広がりを見せている。

現地メディアでも中興保全のPoC利用について大きく取り上げられた

現地メディアでも中興保全のPoC利用について大きく取り上げられた

 台湾最大の警備会社セコムグループの中興保全は、いち早くPoCの利用を開始した。中興保全のような警備会社は、綿密な連絡と迅速性が厳格に問われる企業のひとつだ。コントロールセンターと各拠点、警備員同士の連絡の迅速性、正確性が、セキュリティシステムにおける最も重要なファクターとなる。コントロールセンターは、お客様先からの異常信号を受け取ると直ちに、警備員に客先に急行して適切な処理を行うというような対処を指示する。

 従来、コントロールセンターと警備員との連絡手段にトランシーバやケータイを用いていたが、通話距離の制限や電波の干渉など、時として正確な聞き取りができない場合があった。電波のコンディションの良好なケータイの場合でも、各拠点でパトロール中の警備員に連絡を取るには、個々のケータイにそれぞれ連絡する必要があり、非常に手間がかかってしまう。そのため、PoC機能付きのケータイの導入に踏み切った。ボタンの一押しで、仲間のグループでの会話が可能となり、同一メッセージは、一回でグループ間通信され、コミュニケーション時間も大幅に短縮された。これによって、警備員はコントロールセンターからの異常信号をより迅速に受け取ることができる上、通話料金の大幅な削減を実現している。

PoC機能付ケータイを発売しているモトローラエレクトロニクス台湾マーケティングスペシャリストのJoey Chou氏

PoC機能付ケータイを発売しているモトローラエレクトロニクス台湾マーケティングスペシャリストのJoey Chou氏

また、台湾でPoCソリューションの商用展開を行っているモトローラエレクトロニクス台湾マーケティングスペシャリストのJoey Chou氏は、PoCの可能性について次のように話している。

Chou:PoCサービスの提供は、ケータイの市場に新たな可能性を広げるきっかけとなります。PoCは、一人もしくは多数の仕事関係者や友人とワイヤレスに連絡をとるための革新的な通信手段として、今後ますます利用が進むと考えます。利便性や価格面からも顧客企業やコンシューマユーザが求めるこれからのユビキタスライフスタイルにふさわしいサービスだと思います。今後は、さらにPoCをはじめ、ケータイを活用した様々なサービスでコミュニケーションは普及することを確信しています。現状、ビジネスユースをターゲットにしているPoCが、次第にコンシューマに普及すれば、今まで予想できなかったかたちのコンテンツやアプリケーションの利用が可能になるかもしれません。PoCは、ケータイのコミュニケーション幅をさらに拡大するソリューションとして大いに注目です。


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