− 第3回 −
急激な経済成長がライフスタイルの変化を後押し。
『中国的ケータイ新事情』
中国3大ポータルを救ったケータイ人気
2003年、中国のGDPは11兆6694億元に達し、成長率9.1%を記録した。1997年年以来最高の成長速度の記録である。2004年も7%以上の成長率を維持することを目標に掲げており、事実1‐3月期には、前年同期比成長率の9.7%で推移している。
ケータイ電話の普及の速度も半端ではない。2003年末までにケータイ電話の加入者数は累計で2億6869万。2003年のみの新規加入者数は6268万 8000人と、たった1年で驚異的な成長をみせた中国のケータイ市場。ショート・メッセージ・サービス(SMS)のブレイクで、すでに第一段階の普及期から過渡期に入り、コンテンツ配信サービスの提供も急ピッチで進んでいる。中国では、PHS(小霊通)のブームが引き金となり、C-modeと呼ばれる PHSインターネット接続サービスがスタート。これに呼応するように、中国2大キャリアの中国移動通信(チャイナモバイル)と中国聯通(チャイナユニコム)も付加価値サービスに力を入れている。
中国では、「ケータイが3大ポータルの窮地を救った」との風評が立つほど、ケータイの普及が情報サービスの市場を大きく変貌させた。3大ポータルとは、新浪網(SINA)、網易(NETEASE)、捜狐(SOHU)の3つだ。中国ではこれらのポータルのシェアで7割を占めることになる。Yahoo!中国は、4番手で10%程度のシェアだ。
2000年、中国でもインターネットブームに沸いた。4年前の当時は、まだダイヤルアップが多く、ブロードバンドなどほとんど利用されていなかったにもかかわらず、利用者の増加により、市場は拡大した。ポータルサイトを中心としたインターネットビジネスも乱立した。しかしネットバブル崩壊後、中国のインターネットビジネスは惨憺たる状況に追い込まれる。この中国における「ネットバブル崩壊からの復活」は、ケータイ市場の急成長による「ショート・メッセージ・サービス(SMS)」とブロードバンド普及に伴う「オンラインゲーム」など付加価値コンテンツが火付け役となった。
中国ケータイ端末市場は混戦だが、通信事業者は2社で独占
ケータイ端末の市場は混戦を極めている。日本のように通信事業者が仕様を決定しOEM販売する形式ではなく、対応端末をケータイメーカーがそれぞれ独自に市場に参入している。海外・国内のメーカーがしのぎを削り、数百種以上の最新機種が店頭に並ぶといった激戦が続き、こうした背景が、少しでも目立つ新製品を投入しようというメーカーの宣伝合戦にもつながっている。ペンダント型や腕時計型など形や価格のバリエーションも多岐に渡り、利用者の選択肢は、日本に比べ圧倒的に多い。日本のケータイメーカーが苦戦しているのも、こうした市場の大きな違いも起因しているのかもしれない。
対照的に、通信事業者は、中国移動通信と中国聯通の2社しかない。中国聯通も競争力を高めるために、中国移動通信から分離独立したいわば、新電電である。中国の人口は約13億人、比較的経済力が高い沿岸部だけでも4億人を超える巨大市場である。2003年10月には両社の加入者数は2億5000万に達し、固定電話を上回った。この巨大市場を独占する2大通事業者の利益率は高く、基地局などのインフラ整備を急ピッチで行い、サービス・エリアを中国全土に広げている。
日本は、人口1億2000万人の市場で4社の通信事業者がしのぎを削り、今後も競争は激化すると予測されている。
では、通信事業者から見たケータイ市場の今後の展望は、どのような方向にあるのだろうか。

浙江移動通信データビジネス
開発センター 部長 高 氏
中国移動通信を例にとると、すでにいくつかのサービスブランドを提供しており、代表的なものに“移動夢ネット”がある。通信事業者が提供しているプラットフォームに対し、サービスプロバイダやコンテンツプロバイダがコンテンツサービスを提供するものだ。
中国移動通信は、各地域の子会社を独立採算の事業体としていることもあり、コンテンツサービスの地域性の考慮や導入スピードなど、地域によって取り組みに違いがある。浙江省では、ケータイ所持率が高いことや観光名所が多いことなど、ケータイコンテンツの提供において特徴のあるコンテンツの提供を目指している。地域に根ざしたコンテンツサービスの提供は、利用者の生活により密着したコンテンツサービスの提供のために不可欠な要件になってきたのだ。
北京や上海では、マイカーの急増で、駐車場不足が深刻になっており、ケータイを使った空駐車場情報を通知するサービスもこれから人気のコンテンツになりそうだ。
また、様々なケータイ端末が市場に氾濫しているため、IVR(インタラクティブ・ボイス・レスポンス)の活用も加速している。日本では、コールセンターなどの自動応答に使われている仕組みだが、中国では機種に依存せずに音声による情報サービスが提供できる点で、今後も利用範囲が広がるとされている。中国でも日本で開発されたコンテンツに対する興味は高い。今後もコンテンツサービスとして活用できるものがあれば、積極的に導入したいとしている。
日本では、完全に成熟期を迎えたケータイ市場であるが、カメラ付ケータイの次なるキラーコンテンツの開拓のために暗中模索の状況だ。最近話題の「おサイフケータイ」など、より生活密着型のサービスを目指す傾向は各国共に同じなのではないだろうか。しかし、日本のサービスは企業の論理が優先し、利用者の利便性が後回しになりがちだ。最近、やっと連携が可能になりつつある、“交通カードの二の舞”にならぬよう、企業間の相互連携も、しっかりとなされたサービスを目指して欲しいものだ。
本当に“使える”サービスなのかは、利用者が一番よく知っていることを今までの結果が示している。
ケータイ先進国日本の本領が発揮できるのか、世界最大市場の中国は、次の段階に向けて大きく動き始めている。
(2004年9月6日公開)











