− 第2回 −
企業も国も人材が要。
マレーシアのスマートスクールに見る、次世代技術者の育成
カリキュラムはハードだが、仕事に直結する魅力
MMUはマルチメディア大学の名に相応しく、講義内容を全てオンライン化、学生は講義をオンラインで閲覧できる。特にテキストだけでなく、映像、音声を利用した講義をWeb上で公開するなど、スマートスクールの先駆けとして多くの試みが実施されている。また、情報技術に留まらず、クリエーションなども包含するマルチメディア分野のカリキュラムを総合的に有する大学は、世界でも数少ないものとして高く評価されている。
日本でも、遠隔教育やeラーニングに関する取り組みは、すでに多くの学校教育の課題として検討・導入が進んでいるが、MMUではどのような特徴があるのだろうか。
MMUの授業について、関係者や卒業生の意見を紹介してみよう。

研究室や教室など、
いたるところに完備されたPC
●MMUの環境や授業について教えてください。
「キャンパスは、MSCの中心でもあるサイバージャヤにあり、緑豊かな環境の中に近代的な建物が同化しています。情報通信インフラの整備が完璧になされた構内では、24時間いつでもコンピュータやネットワークを活用できる環境が提供されています。
授業は、すべて英語が基本になります。日本や欧米のような長い休暇がないため、カリキュラムは非常にハードです。また、私立大学なので、授業料も国立に比べて高いこともあり、学生は真剣そのものです。課題をこなすために連日、夜中の12時まで開いている図書館では、遅くまで勉強している学生も多く、オンライン学習も良く活用されていると思います」。
企業関係者「学生の応募倍率は高く、優秀な人材が集まっています。特にCGのスキルは、世界的にも高い評価を受けています。メディア学部では、マレー系と中国系がほぼ半数で、ブミプトラ政策下のマレーシアでは、比較的めずらしいかもしれません」。
●スマートスクールとしてのMMUの取り組みについてどのような感想を持っていますか?
「教材のすべてがオンライン化されているスマートスクールは世界的にも少ないと思います。また、当然のことながら一般には公開されず、アクセスにはIDとパスワードが必要ですから、セキュリティ面でも安心です。また、個人別の進捗管理により、理解度に応じた復習が可能になるなど、利用の観点からも充実しています。ただし、教授陣は全ての講義を電子化するという作業が大変な労力となっているとも聞いています」。
「キャンパス内では、MSC計画のフラグシップアプリケーションのひとつ、多目的カードが既に実験、実用に利用されています。学生、教授の身分証明書がIC、磁気、非接触を含む多目的カードとなっており、電子マネーとしてカフェテリアや自動販売機での利用や、図書館での図書貸出、施設利用等のアクセス管理にも利用されています。MMUの学習環境の素晴らしさはもちろんですが、サイバージャヤがマレーシアの最先端の都市であるとの自負もあり、ここでの学生生活には大きな誇りを持っています」。
MMUは、産業界との協力も積極的に行っており、様々な企業の研修制度、研究補助金、ジョイントベンチャーによる研究開発など様々な支援を受けている。協力企業としては、NTT、サン・マイクロシステムズ、ロータス、HP、シーメンス、インテル、MIMOS、モトローラ、ナショナル・セミコンダクター等、多くの国際企業の名前が挙がる。サイバージャヤキャンパス内には、MDCが運営するインキュベーションセンターやCDスタジオも設置されており、オフィススペース提供、マネジメントアシスタント等、中小IT企業の事業スタートアップをフォローしている。
こうした企業間との連携の強化やベンチャー企業の支援により、MMUの卒業生は、ほぼ100%の就職率を示しており、大卒者の就職難が広がっているマレーシアにとって、画期的なことと言える。また、目的の業務に直結したカリキュラムは、専門技術者の早期育成に予想以上の効果をもたらしているようだ。
また、MMUは、各国との遠隔教育の実験も数多く行い、遠隔地間における交流型の配信実験にも積極的だ。国際間の相互運用を可能とするe-ラーニングプラットフォームやコンテンツの開発も日本をはじめとする多数の大学間で積極的に行われており、情報処理技術を活用した国際交流や人材育成における連携に大きな期待が持たれている。
- スマートスクール:
一般的に遠隔教育と直訳される。
遠隔教育など情報通信技術を取り入れた学校教育を実践する教育機関。 - ブミプトラ:
「土地っ子」の意味で、先住マレー人を指す。 - ブミプトラ政策:
大学進学や公務員の採用などでマレー人を優遇する政策。 - MDC:
マルチメディア開発公社。MSCプロジェクト推進団体。











