− 第2回 −
企業も国も人材が要。
マレーシアのスマートスクールに見る、次世代技術者の育成
首都圏を一変させたMSC構想
高度産業とIT革命の起爆剤として提唱されたMSC構想の主な内容は、首都クアラルンプールから新国際際空港を含む南北50km、東西15kmのエリアに最新鋭の通信インフラを整備、IT関連産業を誘致するといった壮大な都市開発計画だ。「緑の中のメガロプロジェクト」の名にふさわしく、広大な畑を切り開いて開発が行われた。
まず、新行政都市プトラジャヤに新首相府ビルが完成。先進技術産業の拠点となるサイバージャヤが1999年にオープンした。ペーパーレス行政を目指した「電子政府」、国民登録カード・免許証・パスポート・クレジットカードなど多機能を一体化した「政府多目的カード(GMPC)」、遠隔教育、遠隔医療など、7つの主要目標のもとにプロジェクトが推進されている。2001年には、すでにGMPCの実物が発表され、首都圏での導入が開始された。また、1998年からは、ICパスポートを導入している。ICパスポートの発行枚数は既に400万枚を超えており、出入国管理の自動化を実運用レベルで実施しているのは、世界でもマレーシアだけだ。
日本をはじめ多くの国が、IT重視の戦略をとる中、マレーシアMSCはアジアの"シリコンバレー"を目指し、世界有数企業との連携にも力を入れている。企業は、「MSCステータス」の取得により、外国人技術者の雇用制限の撤廃、100%外資による進出、法人税・所得税の免除といった優遇措置が受けられる。すでにNEC、マイクロソフト、ノキア、モトローラ、NTTなど多くの企業が取得を完了している。
さらに、2003年には、バイオテクノロジー企業や研究施設を集めた工業団地「バイオバレー・マレーシア」を着工、また、テクノロジー産業との連携を生かした"エンターテインメント・ビレッジ"構想も推進している。ITやネットワークを駆使した映像制作の拠点やテーマパークの併設などエンターテインメントの総合拠点化を目指し、さらなる変貌を遂げようとしている。

MSC関連開発計画(出典:JETRO)

広大なMMUキャンパス
これらの施策を推進する上で重要な課題となったのが、先進技術分野での人材育成だ。その中でもマルチメディア大学(MMU)は、フラグシッププロジェクトとして、1997年4月、MSC計画に沿ってその設立を決定。開校当時から次世代の高等教育のモデルとして注目を集めてきた。
MMUは、テレコムマレーシア100%出資により1999年7月にサイバージャヤに開校された私立大学で、現在、学生数は約14,000人、うち約200人の留学生を43カ国から受け入れている。工学部、情報技術部、創造的マルチメディア学部など7学部からなる情報工学系の大学である。ITスキルを身につけた人材を数多く輩出するための大学として特化しており、今後MSCの活動を支える人材の育成と確保に大きな期待が持たれている。
- MMU:
マルチメディア大学(Multimedia University)











