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業界が変わるビジネストレンド

− 第28回 −

カメラのデジタル化で、写真文化はどのように変貌するのか
〜IT社会における写真の可能性を探る〜

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 1990年代の半ば、アマチュアでも使えるデジタルカメラ(デジカメ)が出現して、デジカメはあっという間に市場を席巻していった。そして、2001年には国内販売台数でこれまで使われてきたフィルムカメラを上回り、いまやデジカメ全盛の時代になっている。この、わずか十数年という間に劇的な変化を遂げてきたカメラだが、これに伴って写真文化はどのように変わろうとしているのだろうか。今回は、デジカメを取り巻くサービスの進化とともに、デジカメ自体の技術革新にもスポットを当ててみたい。


デジタル情報のアナログ化がビジネスの柱

株式会社アスカネット 代表取締役(CEO) 福田幸雄氏

株式会社アスカネット 代表取締役(CEO)
福田 幸雄氏

 1990年代の初頭、デジカメが出始めたころから、画像のデジタル化に大きなビジネスチャンスを見出していたのが、アスカネット代表取締役(CEO)の福田幸雄氏である。氏のキャリアのスタートはアパレル関係のデザイナーだったのだが、あるきっかけから方向転換を決意。出身地の広島に戻って在庫リスクのない商売をしようと始めたのが、写真スタジオだった。

「フォトグラファーとして私自身で結婚式などの写真撮影を行い、商売はそれなりに軌道に乗りました。そして、スタジオをスタートさせてしばらくたったころにやってきたのが、カメラのデジタル化の波です。私は子どものころからアマチュア無線をやったり、草創期のコンピュータをいじったりしていましたから、写真のこともITのことも分かります。

 それで、1990年代に入ってすぐの頃から、デジタル技術を使った写真の合成などの仕事が持ち込まれるようになったわけですが、そんななかで最も多かったのが、葬儀の遺影写真の合成という仕事です。こんなニーズに応えていくうち、気が付いたらこれが本業になっていきました」

 そこで福田氏が打ち出したのが、全国の葬儀社にスキャナーを設置してもらい、そこに遺族から預かった写真さえ載せれば、スキャニングデータの送信、遺影の合成加工、加工済みデータの送信といった操作のすべてを、アスカネットで引き受けるというビジネスモデルだった。

 こうして、加工済みの遺影写真が葬儀社側のプリンターからプリントアウトされるのだが、これまでの写真を物理的に切ったり貼ったりする合成に比べて、値段は3分の1で所要時間も大幅に短縮。おまけに出来上がりの写真の質は段違いというわけで、文字通りの「隠れた大ヒット」となった。

「インターネットがまだほとんど知られていない時代に、ISDNを使ってネットワークを構築し、このサービスは飛ぶように売れました。今でもこのメモリアルデザインサービスはアスカネットの事業の1つの柱となっていて、年間約25万枚の発注をいただいています。これは、年間にお亡くなりになる方のおよそ4分の1に当たる数です」

 このビジネスモデルはお客様からデジタルデータを受け取って、それをアナログ化してアウトプットすることで成り立っている。それがメモリアルデザインサービスの場合では、たまたま遺影という形であったが、「デジタル情報のアナログ化」を自社のビジネスドメインとすれば、ほかにもいろいろなアウトプットの形は考えられるはずだ。こう考えた福田氏が次に打ち出したのが、デジカメで撮影した画像データをデジタルのまま顧客自身で写真整理を行ってもらい、そのデータを基にアスカネットが写真集にするというビジネスだった。


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