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業界が変わるビジネストレンド

− 第26回 −

健康への関心の高まりに応えるITの仕組み
〜病気の予防や治療におけるIT化を探る〜

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ユーザーフレンドリーなシステムで医薬品のロスを大幅に削減

薬ネット

薬ネット

 「薬ネット」は2007年3月から、横浜市とその周辺地域の調剤薬局約500店が参加して本格稼働を始めた。これはASP方式で、薬局連携に必要なすべてのサービスをトータルに提供するもので、調剤薬局側はPCとネットワーク環境を用意するだけで導入することができる。

 サービスの内容を簡単に説明していこう。まず、薬局内にあるレセプトコンピュータのデータを「薬ネット」にアップロードして行う、「備蓄医薬品管理」という機能がある。これで、日々のリアルタイムな管理が可能になる。

 そして、この中からデッドストックになりそうな医薬品を選んでオークションに出品したり、必要な医薬品をオークションで購入したりするのが、「備蓄医薬品売買」という機能だ。

 例えば、ある薬局が医薬品を売りたいという場合。まず「医薬品出品」のページを画面に呼び出し、売りたい医薬品名、売値、数量、有効期限、包装形態、製造番号を入力することで、出品完了となる。このときの売値は、その薬局で自由に設定できる。

 一方購入を希望する側は、購入したい医薬品を検索し、入札する。この入札情報が出品側に自動通知される。購入希望者が複数の場合は、出品側がその中から購入希望単価の高い方を選び、入札承認を行って売買成立となる。

 このとき購入希望者は、必要な医薬品を、地域内、隣接地域、広域を選んで検索することができ、まれにしか出ない稀少医薬品を何錠単位といった小分けで買うことができるのだ。もちろん売る側も、そのまま放置しておけば廃棄処分にせざるを得ない医薬品を、患者のために役立てられるわけだから、社会的意義も大きい。

 「当面の目標は、全国5万店の1割に当たる5000薬局にこのシステムを入れていただくこと。これだけのボリュームになれば、オークションも活況を呈してくると思います。現在、ビジネスモデル特許申請中です」

 薬剤師会だけでなく、各地の医師会、歯科医師会といった医療関係機関からも問い合わせがあるという。将来的には、文字通り「メディカルバリューネットワーク」に成長していく可能性を秘めているのだ。



日本の医療コストを抑えるためにITは有効な手段になっている

 さて、以上2つの事例を見てきたわけだが、これらのITの仕組みが、日本の医療コスト削減のための一つの有効な手段になっている、といえるのではないだろうか。

 「からだカルテ」の場合でいえば、自分の体の状態を「見える化」できるため、メタボリックシンドロームなどの度合いが手にとるようにわかり、ダイエットや運動に対する強い動機づけとすることができる。こうして生活習慣病を改善することによって、医療費は確実に抑えられはずである。

 一方「薬ネット」の場合は、これまではデッドストックになっていた医薬品が売れるという目に見える経済効果はもちろん、備蓄医薬品情報を薬局間で共有することによってロスがなくなり、日本全体の医療費抑制につながっていくからだ。これらのシステムの今後の発展に、期待したい。

 

(2008年4月21日公開)


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