− 第25回 −
「食」への関心の高まりに応える
〜フードビジネスにおけるIT化〜
2007年は良い意味でも、悪い意味でも、「食」への関心が高まった年として、人々の記憶に残るだろう。まず、各地で発覚した「食」の不正。2007年の1年間に食品会社が商品を自主回収した事例は756件に上るが、これは前年比約3倍の増加ぶりであった。一方、グルメの世界では、ミシュランガイドがヨーロッパ、アメリカに続いて、ついにアジアに上陸。11月には、その第一弾として『ミシュランガイド東京2008』が出版され、大きな反響を呼んだ。そこで今回は、このような関心の高まりのなかで、フードビジネスにおいてどのようにIT化が進行しているか、2つの事例を通して見ていこう。
野菜の「イキのよさ」に客観的基準が出現
例えば、スーパーに行って葉物野菜を買う場合。ほとんどの人は目で見て、手で触って、あるいはにおいをかいでみて、まずは「イキのよさ」を確かめるだろう。これで納得しなければ、買い物かごの中には入れないはずだ。消費者にとって、それだけ「鮮度」というものは重要なファクターなのだ。
これまでこの鮮度を測るための客観的なスケールはあったのだろうか? 一般的には、ビタミンCや糖分の含有量の変化、あるいはエチレンガスの発生量の変化などで類推するしかなく、どれも決め手を欠くというのが現状だった。これを、野菜の細胞の活性度を読み取ることで、客観的な数値にして評価できるようにしたのが、2007年1月からエバ・ジャパンが販売を始めた測定機器「鮮度アシスト」である。
植物の葉は光合成を行うために、400〜800ナノメートルの可視光のうち、青(400〜500ナノメートル)、赤(620〜690ナノメートル)の光をよく吸収し、逆に細胞に害のある近赤外の波長領域は強く反射するという性質を持っている。従って、この吸収量と反射量の差が大きいほど植物細胞の光合成能力が高く活性度も高い、つまり鮮度がいいことになる。
エバ・ジャパン株式会社 営業本部 加美正明氏
エバ・ジャパン営業本部チーフの加美正明氏は、植物の持つこのような性質と「鮮度アシスト」との関係を次のように解説する。
「これまでこのような理屈は分かっていても、その測定を行うツールがありませんでした。これを可能にしたのが、葉物野菜の表面に可視から赤外までの光を照射し、その反射スペクトルを測定することで植物細胞の活性度を0から100までに数値化できるようにした、『鮮度アシスト』です。
葉物野菜は刈り取った後もずっと光合成を続けていますが、時間が経つにしたがってその能力が落ち、鮮度も低下していきます。これまでは、この劣化具合の判定は人間の五感に頼るしかなかったのですが、『鮮度アシスト』の出現によって、それを客観的な数字として表現できるようになったのです」
測定自体は、葉に『鮮度アシスト』のセンサー部分を押し当てて測定ボタンを押すだけ。1秒ほどでモニターに鮮度が表示される。「これまで測定しようのなかった植物の『鮮度』に関して、私たちがある種のスタンダードを提唱したわけで、販売開始から1年弱ですが、大手スーパーやコンビニ、植物工場や農家、食品加工工場、大手家電メーカー、各種研究所など、様々な分野のお客さまに導入いただいています」










