− 第22回 −
子どもたちを取り巻く環境は、ITでどのように変化しているのか
〜教育ビジネスにおけるIT化を探る〜
パルティオゼット
コンピュータ操作などを通じて、情報活用能力(情報リテラシー)を育成していこうという取り組みが小中学校で始まったのは、1980年代半ばのことだ。それからおよそ20年。今、教育現場ではITがどのように活用されているのだろうか。今回は、通信教育大手であるZ会と、2006年4月に開校した立命館小学校を例に、教育ビジネスとITとの新しいかかわりについて紹介する。
新規会員獲得の中核であったDMを廃止してSNSを活用
創業から70数年。質の高い問題ときめ細かい添削指導で学力上位の生徒の支持を集める通信教育の名門が、Z会だ。2006年春の東京大学合格者に占めるZ会員の割合は53.3%。これには、模擬試験のみの受験者や短期の通信添削利用者は含まれていないので、相当に高いシェアといえるだろう。
Z会の通信教育は、設立以来、紙をベースに行われている。その理由を大学受験事業本部 顧客支援部 顧客支援課 宣伝担当の寺西隆行氏はこう解説する。
「Eラーニングという言葉も思い浮かびますが、実際の大学入試が答案用紙に手書きで行われている以上、受験生にとっては「紙に手書きで」のやり取りの方が、勉強を進める手法としてしっくりくるようです。しかし、勉強をサポートする部分ではITを積極的に活用しています。例えば中学コース、高1・高2コースでは、各会員の学力や進度に応じて教材をオンデマンドで編集、印刷していますし、学習相談といった会員へのサービスもネットワークを通じて行えるようになっています」
株式会社Z会
大学受験事業本部
顧客支援部 顧客支援課
宣伝担当 寺西隆行氏
2006年2月1日にオープンしたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「パルティオゼット」もその一つだ。SNS「GREE(グリー)」が日本でスタートしたのが2004年2月。寺西氏はその直後に招待を受けて会員になり、自らでその面白さや便利さを体感していた。これをZ会のサービスのツールとして使えないだろうかと考え、2005年春から企画・開発を進め、開設されたのが、このパルティオゼットという登録制コミュニティサイトだった。
「Z会では既に、2005年2月から、携帯電話から利用できるQ&Aサービスをスタートさせていました。このサービスの欠点を補い、パソコンでも使いやすくするために、コミュニティ上で特定のテーマについて意見を交換したり、自分の日記を公開したりすることのできるSNSは非常に魅力的でした。
また、全国に広がるおよそ25万人の質の高い会員、そして難関大学に合格したOBやOGたちが、Z会の財産です。教育業界初のSNSによって、志望校合格を目指す人たちのコミュニティを提供して会員の退会を防ぐと共に、併せてこれを新規会員の獲得にも役立てられないか、と考えたこともSNS導入の決め手でした」
さて、通信教育の会員募集にはこれまでダイレクトメール(DM)が中心的な役割を果たしていた。しかし、個人情報保護法の施行によって、送付リストの元となる住民基本台帳の閲覧に規制がかけられるようになってきた。そこでZ会では2005年12月、不特定多数の家庭へのDM送付を全面的に廃止することを決断した。通信教育におけるビジネス手法の大転換といえるが、こうした意思決定を支えたファクターの一つが、このSNSの存在であった。









