− 第20回 −
RFIDの活用によって進化するレンタルビジネス
〜環境問題も視野にレンタル業界はいかにユビキタス化に取り組んでいるか〜
アスタラビスタ株式会社
代表取締役社長 CEO
齋藤英一氏
レンタルビデオ、レンタカー、レンタルルームなど、「レンタル」という名前がつくこれらのビジネスはいかにも近年誕生したもののように思われる。ところが、洒落本や絵双紙などを貸し出す貸本屋は江戸の昔から商売をしており、繁盛していた。このような「借りる」文化は、われわれ日本人の生活に古くから浸透していたといっていいだろう。また、モノを所有するのではなく、必要なモノを必要なときに借りることによって、限りある資源の無駄遣いを抑えることもできる。そこで今回は、そんなレンタル業界の現状を2つの会社を例にレポートする。
「ご利用は、衝動的に。」をキャッチフレーズにDVD自動レンタル機が登場
まず、DVDのレンタルについて見てみよう。CDやビデオ、DVDなどのレンタルというビジネスモデルは既に成熟しており、今さら説明する必要もないほどである。しかし当然ながら、借りるのも返すのもわざわざ出かけていかなければならず、そんなところに不便さを感じる人も多い。アスタラビスタ 代表取締役の齋藤英一氏は、このすき間に新しいビジネスの芽を見いだした。
「私は、起業前は会社員でした。映画好きでは人に負けない自信があるのに、仕事が忙しいと、わざわざ回り道をして店にDVDを借りにいっている余裕がない。そこで、自宅から会社への動線上にDVDを借りられるところがあれば、あの映画が見たいと思ったときすぐに借りられるのに、とずっと考えていました。
ちょうどそんな折り、自動販売機のメーカーに勤める知人から、飲料などの自販機はもう飽和状態で、新しい方向を見つけていかなければサバイバルできない、という話を聞きました。それならば、DVDの自動レンタル機をつくって、サラリーマンが日常的に利用する駅などに設置すればビジネスになるのではないか、とひらめいたのです。2005年9月ごろのことでした」
近い将来はビデオ・オン・デマンド(VOD)が広く普及して、ビデオやDVDといった媒体すらなくなってしまうのではないかといわれている。そんな時期に、果たして勝算はあるのだろうか。
「長期的な視点から見れば、VODに取って代わられる可能性は十分ありますが、ここしばらくの間はまだまだDVDレンタルの需要は伸びていくと考えています。とにかく、利便性の高いロケーションにマシンを設置して、お客様が見たいと思ったときにすぐ利用していただけることを第一に、このニュービジネスを組み立てていきました」
齋藤氏は、思い立つやすぐに行動を開始。そこで海外事情をリサーチしてみると、アメリカで2003年あたりから数社が同じようなビジネスを展開していることが分かった。齋藤氏は早速アメリカに飛び、その中の1社と提携してマシンを輸入することにした。こうして2006年8月25日。東京メトロの10駅の駅ナカにマシンを設置し、DVD自動レンタル機「アスタラビスタ」のサービスがスタートした。
利用のためのハードルをなるべく低くするため、初めて借りるときの入会手続きも、メールアドレスの登録とクレジットカードの認証を行うだけで完了とし、身分証明書の提示や、住所・氏名の記入などは一切しなくていいようにした。これを「仮会員」と呼び、住所・氏名などの個人情報を改めて専用HPサイトにて入力してもらえれば「本会員」として様々なインセンティブを提供するサービスも行っている。
このビジネスをスタートさせるに当たって考えたキャッチフレーズが、「ご利用は、衝動的に。」というもの。このフレーズ通り、借りたい人は、最新のヒットタイトルを中心にラインアップされた約100タイトルの中から、今これが見たいというDVDを自由に選んで借りることができる。決済はマシンでクレジットカードをスライドさせるだけ。レンタル料金は、新作の場合は24時間で350円だ。
そして、返却は借りたマシンに関係なく、どのマシンで行ってもいいようになっている。これを可能にしているのが、DVDの1枚ごとに貼付されたRFIDタグである。これによって、全く人手をかけずに様々な処理が可能になった 。











