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業界が変わるビジネストレンド

− 第18回 −

たゆまぬ商品開発で幅広い年代層を取り込み、少子化をはね返す玩具業界
〜人々に夢を提供するおもちゃの世界におけるIT化〜

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 少子化傾向にますます拍車がかかる中、玩具業界を取り巻く環境はどうなっているのだろうか。市場が収縮の方向に向かっているかといえば、パイはそんなに小さくなってはいない。それを支えているのが、玩具の枠を超えた商品の開発と、子どもだけでない幅広いターゲット層の取り込みである。また、玩具の開発と流通におけるIT化も、玩具業界のこうした健闘を下支えしているのも確かであろう。今回は、そんな開発と流通に携わる2つの会社をレポートする。

ブロックを自由に組み合わせるだけで電子回路ができあがる画期的商品

電子ブロック機器製造株式会社 取締役技術部長 大鹿正喜氏

電子ブロック機器製造株式会社
取締役技術部長
大鹿正喜氏

 戦後すぐから1960年代くらいまで、電気などに興味を持ったいわゆる「科学少年」たちは、自分で電子部品を買ってきては、それを基板上にはんだ付けし、ラジオなどを手づくりしていた。ところが、トランジスタやコンデンサなどの電子部品は一旦はんだ付けしてしまうと、他への使い回しがなかなか難しいものである。

 そこで、電子部品を何度も繰り返し使っていろいろな回路ができないか、と考えたアイデアマンが名古屋に現れた。それが、電子ブロック機器製造という会社を興した野尻孝氏である。現在、同社で取締役技術部長を務める大鹿正喜氏は、創業者の発想の原点について次のように語る。

「野尻は化学屋だったので、例えば酸素と水素が結合して水ができるように、電子部品の一つひとつを原子のように考え、それらをいろいろと結合させていくことで、ラジオになったり、トランシーバーになったりするのではないかと考えたようです。
  ちょうど時期的には、ラジオが真空管からトランジスタに切り替わる1960年代の話です。こんな発想から生まれたのが、電子ブロックという科学玩具でした」

 こうして1964年、「DR-7型」という商品が誕生し、販売が開始された。この仕組みを簡単に説明すれば、象牙色のブロックの内部にトランジスタやコンデンサ、抵抗などを封入し、それを基板上に配列していくことで、様々な電子回路ができあがるようになっている。

 その翌年には、普及型から高級品まで4つの商品アイテムをそろえ、シリーズとして販売していくことになった。中でも60回路の組立が可能な「DR-7型デラックス」という最高級品は、価格が1万9800円だった。大卒の平均初任給が2万円ちょっとという時代に、この値段である。

「こういうコンセプトのおもちゃは日本で初めて、世界でもあまり例がなく、大きな話題になりました。一番低価格の普及型でも3000円台で、価格的には子どもの小遣いで気軽に買えるおもちゃではありませんでしたが、科学少年たちのあこがれの的ともなって、よく売れたということです。
  その後、様々な改良を重ねて新しいシリーズを次々とリリースしていったわけですが、1971年に発売したSTシリーズが一つのエポックとなりました。なぜなら、その後の電子ブロックのプロトタイプになり、学研との提携にも進展していったからです」

 このSTシーズからは、ブロックが透明なプラスチックになり、内部で使用されている電子部品の観察が可能になった。また、ブロックの抜き差しという操作性も格段に向上した。そして1972年には、第3回科学玩具展でSTシリーズが科学技術庁長官賞を受賞することになった。電子ブロックという商品の新規性はもちろん、子どもたちの科学への興味関心を喚起するおもちゃとして評価された結果であろう。

 これに着目したのが子ども用の知育玩具も手がける学習研究社(学研)で、1973年、電子ブロック機器製造と学研の業務提携が成立して、電子ブロックのOEM生産が開始された。量産ものは学研に販売を委託し、自社は大学などの授業で使われるオーダーメイド的な教育用教材に力を入れていくことにしたのである。


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