− 第14回 −
日本の「食」を様々な面から支えるユニークなITの仕組み
安全な製品を生産するシステムがトレーサビリティの仕組みにつながる
加工原料メーカーから届いた原材料
「配合事故未然防止システム」の導入によって、原料の配合ミスをなくすことができた。ところが、2000年3月、砂糖と塩を取り違えて、そのまま秤量するというミスが起こってしまった。
そこで導入されたのが、二次元コード(QRコード)である。原料の入荷時にこれを発行して荷姿原料に張り付け、原料小分け作業時にポリ袋に印字されている二次元コードのデータと、荷姿原料に張り付けられている二次元コードのデータを照合。合致して初めて小分け作業に入れるような仕組みをつくっていった。
二次元コードには、バーコードの数十倍から数百倍の情報量を収納できるため、原料名、メーカー名、製造日、賞味期限、原料ロットといった多様なデータを書き込むことができる。原料小分け時にこのデータを読み取ってデータベースに保存しておき、この原料を使用してできあがった1個ごとの製品とその情報を紐付けしておけば、お客様から問い合わせがあったとき、使用原料のメーカー名、ロットなどが速やかに検索可能になるのである。
「当社は、FAシステムを現場に導入し、その後いろいろと工夫を重ねながら配合事故未然防止システムを確立。それによって、製造に関するすべてのデータがデータベースに保存できるようになりました。そして、その結果としてトレーサビリティのシステムがおのずとできあがっていったのです。
トレーサビリティシステムが、今クローズアップされています。しかし、その切り口を間違えると、年に1回発生するかしないか分からないトラブルに対して、その原因をたださかのぼるだけのシステムに莫大な資金を投入してしまいかねません。これでは、企業としての安全・安心のためのシステムには決してならない、と私は思います」と、企業がトレーサビリティシステムを構築する際の注意点について、高山氏はこのようにアドバイスを送る。
原料投入の様子
また、キユーピーで10年以上の年月をかけてつくり上げてきたこのような仕組みを"QITEC=QP Information Technology"という名称で商標登録を行い、ビジネスモデル特許の申請も行った。この"QITEC"は、現在数社のシステムメーカーを通じて外販され、食品メーカーはもちろん、化学・化粧品メーカー、医療機関など35社に導入されている。さらに、韓国、中国、タイなど海外でも注目されている。
「"QITEC"が多くの皆様に支持されているのは、安全で品質の高い製品をつくり続けるために、現場の目線でシステムを構築し、その結果としてトレーサビリティができるというコンセプトが評価された結果だと考えています」(高山氏)
誰もが使えるITにするためのヒントがいっぱい
さて、今回取り上げた2社で、ITを実際に使いこなしていたのは、「いろどり」のビジネスを支える平均年齢70歳というおばあちゃんたちであり、キユーピーの生産現場で頑張る女性のパート職員であった。
そして、この2つの成功事例で共通しているのが、徹底した現場目線でシステムが開発され、使う人の立場に立ってそれが運用されているということである。これからユビキタス社会を構築していくにあたって、ここにはいろいろな意味でヒントがいっぱいつまっているのではないだろうか。
(2006年8月28日公開)











