− 第14回 −
日本の「食」を様々な面から支えるユニークなITの仕組み
加工食品の複雑な製造過程で不可欠だった配合事故未然防止システム
キユーピー株式会社
生産本部
技術企画担当部長
高山勇氏
キユーピーが国産初のマヨネーズを売り出したのは、1925年のことである。それから80年余り、現在では、主力のマヨネーズやドレッシングをはじめ、育児食(ベビーフード)や介護食などのジャンルでも数多くの商品を世に送り出している。
さて、こうした加工食品の場合、原材料の処理、秤量、調味液の製造、さらにその調味液と他の秤量原料との調合など、数多くのプロセスを経て製品はつくられていく。その製造過程は非常に複雑になってくるわけだが、同社では1970年代から、こんな複雑なプロセスをもつ製造現場の自動化にチャレンジしてきた。
そして、これらの自動制御システムと経理系などの基幹システムをシームレスにつなぐFAシステムの構築に着手したのが、1989年のことであった。このFAシステムの発案者が、同社生産本部技術企画担当部長の高山勇氏である。
「このシステムの構築によって、生産計画から原材料の受発注管理、現場への作業指示などがスムーズにできるようになりました。そこで、これが軌道に乗り始めた1993年の春に現場調査を行ったのですが、現場を担当するあるベテランのパートさんから、思いがけない話を聞くことになったのです」
その話とはこうだ。一つの製品をつくるとき、レシピに従って数十種にも上る原料をピックアップして、重さを量り、調合タンクに投入していく必要がある。現場の作業者は、毎日膨大な数の原料を相手にこの作業を行っているが、量り間違いや原料のとり違い、入れ忘れ、賞味期限切れなどがないかいつも心配になり、気になり出すと夜も眠れなくなってしまう、というのである。
その当時は、小分け秤量品を入れるビニール袋にペンで、原料名、秤量重量などの指示が書かれていた。しかし、手書きの文字だから読み違えの恐れもあるし、作業者も人間だからうっかりミスもあり得る。もちろん、指示された原料を間違いなくピックアップし、指示通りの重さを秤量したかは、何人もの手で確認作業を行ってはいたが、できあがった商品は消費者の口に入るものだけに、作業者の「心の負担」は相当なものだった。
「そんな負担をなくすために、早速動きました。製造計画が決まったら、秤量すべきすべての原料について、バーコードに指示データを格納して、これで事故を未然に防止するシステムを自社開発していったのです。バーコードリーダーでデータを読めば、原料の取り違えはなくなりますし、規定値しか秤量できないので量の問題も解消されます。
また、製品の配合規格表と照らし合わせながら原料を投入していくので、投入順序の間違いや賞味期限切れなどのチェックも同時にできるようになりました」(高山氏)
このようにして完成したのが、加工食品の業界でありそうでなかった、「配合事故未然防止システム」だった。現場の作業者の意見をベースに、試行錯誤の末にできあがったキユーピー独自の仕組みである。










