− 第14回 −
日本の「食」を様々な面から支えるユニークなITの仕組み
80歳を超えるおばあちゃんがラクラクとIT機器を使いこなす
菖蒲増喜子さん
このビジネスは、料亭や旅館、居酒屋といったユーザーが望む少量多品種の商品を、いかにタイミングよく供給できるかが勝負の分かれ目となる。そのためには、生産者に市場の動向や商品知識、商品アイテムごとの出荷目標といった情報をタイミングよく流していく必要がある。これまで、そのための仕組みづくりに情熱を傾けてきた横石氏は、次のように振り返る。
「スタートして4〜5年くらいまでは、生産者に私が直接電話して、こんな情報を伝えていました。生産者は全部で190人近くいて、平均年齢は70歳。そのほとんどがおばあちゃんですから、いろいろと気配りもしなければなりませんし、結構大変でした。その後、1992年に町の防災無線を活用して無線で同報ファックスを送れるシステムを導入。これが、いろどりのIT化事始めとなりました。
そして、1998年には50台を超えるパソコンを、使ってみたいという人を対象に貸与したのです。そのとき、マウスの玉の大型版であるトラックボールと数字のテンキーだけを抜き出したキーボードを特注し、ご高齢の方でもあまり抵抗感なくハンドリングできるようにしたのがミソです」
そこで、生産者のお一人である菖蒲増喜子(しょうぶ・まきこ)さんのお宅におじゃまして、「いろどり」のIT化の現場を拝見させていただくことにした。菖蒲さんは今年81歳。パソコン歴は6年ということなので、まさに「70の手習い」でパソコンを始めたことになる。
「自分が昨日出荷した商品が、どこの市場で、どのくらいの値段で売れたかをはじめ、毎月の自分の売上の合計、生産者全体の中での順位などが、パソコンの画面上で見られるようになっています。それに、最新のニュースや市場動向、商品と関係のあるイベントの情報なども毎日更新されて発信されていますから、これを見ないと時代に遅れてしまうんです。もう、パソコンなしで仕事はできないですね」と、菖蒲さんは慣れた手つきでトラックボールを操りながら話してくれた。
女性の年齢を話題にするのは失礼かもしれないが、このお年でこのコメント。ちょっと信じられない思いである。横石氏は、そのヒミツについてこのように語る。
「パソコンを使ってくださいとお願いするのではなく、画面をのぞいてみようという気持ちを起こさせるような魅力あるコンテンツをいかにつくっていくか。私たち発信者はそこに最も力を入れて、数時間ごとにデータの更新を行っています。実際にパソコンをお使いの菖蒲さんからこんなお話を聞くことができて、私たち『いろどり』のスタッフも勇気づけられます」
さて、上勝町は人口2087人で四国の町の中で最も人口が少なく、しかも65歳以上の高齢者が47.24%という、典型的な過疎・高齢化の町である。ところが、この「葉っぱ」ビジネスだけでなく、木材やキノコなどのビジネスも順調に進行中で、UターンやIターンで町の人口はこのところずっと右肩上がりの傾向にあるという。横石氏たちの頑張りが実を結びつつあるようだ。










