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業界が変わるビジネストレンド

− 第13回 −

ITは、豊かで持続可能な社会構築にどう貢献できるか
〜建設・土木分野におけるユビキタス化〜

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豊かさ2倍、環境負荷半減の実現を目指す「夢の住宅PAPI」

トヨタ自動車株式会社住宅技術部 技術開発室グループ長 刀根川浩巳氏

トヨタ自動車株式会社
住宅技術部 技術開発室
グループ長 刀根川浩巳氏

 まず、トヨタ自動車が住宅に取り組み始めた経緯について見てみよう。同社住宅技術部技術開発室グループ長で一級建築士でもある刀根川浩巳氏は、次のように説明する。

 「トヨタ自動車の創業者は、自力で国産の自動車をつくろうという途方もない夢とともに、日本の住宅のレベルも上げなければならない、という信念のようなものも持っていました。そんなDNAが脈々と引き継がれて、今の住宅事業があるのだと思います。

 車と住宅。一見、全くの異業種ですが、たとえつくるものは違っても、モノづくりの発想は同じです。私たちは、工場でトヨタ流の厳格な品質管理の下に、住宅のそれぞれの機能を持ったモジュールをつくり、現場でそれらを組み立てていくというやり方をとっています。これなら、施工現場でもミリ単位の精度が追求できるのです」

 これが、住宅専業メーカーとはいささか趣の異なった鉄骨ラーメン構造のユニット工法である。そして、こんなトヨタ自動車が坂村教授と出会い、教授の提唱する「夢」をトヨタ自動車の技術を使ってカタチにしていくことになった。

 ちなみに坂村教授は、1980年代から「TRON電脳住宅」などによって、多くのコンピュータを環境中に組み込み、それらをネットワーク化して「状況」情報を共有することで、最小限のコストで多くの最適制御を行わせるという、IT時代の新しい住まい方をカタチにしてきた実績も持っている。これが、今回の実験住宅のベースになっていることは間違いない。

 さて、坂村教授の「夢」の基本的なコンセプトとは、豊かさ2倍、環境負荷半減の「ファクター4」というもので、これによって資源を今より4倍効率的に使い、豊かさと環境配慮を両立した住宅をつくっていこうというものだ。これを実現していくためには、個々の機能に特化したコンピュータを組み込んだ専用機をネットワーク化した、ユビキタスネットワークが住宅の中に絶対に欠かせないのである。

 「坂村先生が考えていらっしゃる夢の住宅を実現するために、トヨタグループの中にあるこんなシーズが使えるのではないか。先生と私たちでこんな情報のキャッチボールを繰り返しながら、少しずつカタチをつくりあげていきました。もちろん、必要であればグループ外の企業にも技術的な協力を呼びかけ、愛・地球博でたくさんの皆さんに見てもらおうと開発がスタートしたのです」(刀根川氏)

 1999年には大まかなグランドデザインが決まり、2000年から各技術要素の開発がスタートした。これから10年先を見据えた未来の住宅をつくるわけだから、そこで使われる機器などはすべて新たに開発していく必要があった。そして、ここで構築したユビキタスネットワークを、一つの端末ですべて一括管理しようという大胆なチャレンジも行われた。

 住宅の建設場所は万博会場より少し名古屋寄り、愛知県長久手町のトヨタ博物館の向かいである。博覧会の期間中、予約制で一般の方々にツアー方式で見学してもらうことにして、「トヨタ夢の住宅PAPI」は2005年3月25日、いよいよお披露目の運びとなった。


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