− 第12回 −
ITをフルに活用したニューコンセプトの銀行が次々に出現
〜金融業界におけるIT化の新しいトレンドを探る〜
技術革新の成果をスピーディに取り入れてATMを究める

とはいえ、これまでの5年弱の間、決して順風満帆だったわけではない。スタート当初、コンビニのATMはとかく「よそ者」として扱われ、利用件数は思うように伸びていなかった。使われないATMならば、提携する金融機関も増えていかない。
しかし、次第に利用件数が伸びてくると、そのメリットは店舗にも波及した。先行してATMを導入した店舗で客数が増え、売り上げも上がることが証明されてきたからだ。そうなると今度は店舗側からも、早く設置してほしいという要望が出てくるようになった。こうしてATM網の拡大と利用件数の増加に加速度がついていったわけだが、この急速な普及のバックグラウンドとして、ATMにかける同行の意気込みを挙げることができる。
山本氏はそれを同社の社長がよく使うキーワードとして、「ATMを極める」と表現する。ちなみに、このATMはNECとの共同開発で、他の金融機関のものとは異なる工夫が随所に折り込まれたオリジナルATMである。大切な商売道具であるこのATMは、どのあたりに特色があるのだろうか。
「セブン−イレブンの店内にはATMは1台しかありませんから、これがダウンしては信用問題。ATMに装填された現金がなくならないように、さまざまな工夫がされています。入金されたお金を出金にも使える循環方式にするのもその一つ。
また、他に先駆けて液晶画面を横からは見えづらいようにしたり、暗証番号も画面にタッチして入力するのではなく、奥まったところに設置したテンキーを操作して行うようにするなど、お客様が不安を感じることなく、安全で使い勝手のいいATMになっています。そして、使いやすさ、安全性はこれからも徹底して追及していきます」
さらに、2005年7月からは、早くも第2世代のATM導入に踏み切った。この新しいATMは、お知らせなどを表示する専用のディスプレイを新設して、お客様へのガイダンス機能を強化したこと、非接触ICカード、生体認証などの新しいサービスにすぐに対応できる拡張機能を持たせたこと、国際接続に必要なデータ暗号方式に切り替え可能なことなどが、主な特長となっている。
同行にとって、最新のITを駆使したATM網を全国に拡大することが、これからもコアのビジネスになることは間違いないが、その一方で、買い物ついでに気軽に立ち寄れる有人店舗、「みんなの銀行窓口。」をイトーヨーカドーの店内で展開する事業にも着手した。
「私たちは、イトーヨーカドーとセブン−イレブンを親会社として生まれたので、モノを売ることのDNAはしっかりと受け継いでいます。そうであれば、小売業の延長線上で金融ビジネスをとらえ、いろいろな金融機関が開発した金融商品を仕入れて店頭に並べることで、コンシェルジェのような立場からお客様に商品を案内し、販売する銀行があってもいい。これが、この有人店舗のコンセプトになっています。
スーパーで買い物をするのと同じような感覚で、『みんなの銀行窓口。』に立ち寄っていただければ、金融に関するいろいろなサービスが受けられる。そんなお店を目指して、2005年4月に第1号店をオープン。今5店舗にまで拡大しています。ここでは、ITにスタッフのヒューマンサービスも加味して、お客様のニーズに応えていきたいと思っています」(山本氏)











