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ユビキタスビジネストレンド

− 第7回 −

拡大する位置情報の活用
〜行動・位置センターで"現在位置"をキャッチ!〜

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 カーナビ画面で追跡車の位置を確認しながら、ジェラール・ドパルデューとジャン・レノが逃げまわる‥‥。今年日本で公開され、仏映画界の二大俳優の初共演で話題となったコメディ映画『ルビー&カンタン』の一場面だ。そんな映画シーンを持ちだすまでもなく、いまや現実の暮らしやビジネスにおいて位置情報の受発信が身近になってきた。

 世界一の普及国と言われるカーナビはもとより、GPS (全地球測位システム)内蔵型携帯電話で自分のいる位置を発信すれば、周辺のタウン情報を検索したり、近くを走るタクシーが呼ぶことが可能な社会になりつつある。

 位置情報の活用には、二つのタイプが見られる。

 一つは、周辺タウン情報検索サービスのように、自らが現在位置を発信して様々なサービスを受けるというものだ。カーナビにしても、自ら位置を発信した結果、目的地までのナビゲーション・サービスを受けているわけだ。事故や犯罪に遭遇したときの緊急時位置通報サービスなども、このタイプに入るだろう。

 もう一つが、ヒトや車両、モノなど他者の現在位置をリアルタイムで捕捉し、効率的な運用・管理を目指す試みだ。商用トラックやバス、タクシーにGPS 端末を持たせ、位置情報による効率的配車や運行管理を図り始めている陸運業が好例だ。同様の発想で、営業マンなどに携帯端末を持たせ、現在位置を確認しながら指示・管理する企業も登場している。このほか、徘徊老人や幼児に位置情報発信端末を持たせて所在を把握するマンロケーション管理など社会的サービスも、ここに含まれる。

 ここにきて、GPS など位置を計測する技術の進展や情報端末の普及、情報ネットワークの拡大などを背景に、移動体の位置情報なども得やすくなり、様々な場面で位置情報の活用が試みられるようになっている。今回は、そんな位置情報活用の動きを探ってみる。



【事例1】鉄道利用客の移動にともない、訴求力の高い情報を提供し、アクションを誘発する〜「小田急グーパス」

 位置情報と聞くと、GPS 活用を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、鉄道の改札も人々の行動を読むセンサーとして機能する。

 「定期券を利用しているお客さまは、通常、自宅最寄り駅と通っている駅の乗車・降車で、1日に4回、改札を通ります。これら改札の通過で、移動中であるということに加え、そのお客さまがどこに向かっているのか、方向性もある程度予測できます。そこで、移動を始めたタイミングを捉えて、向かうエリアのイベントやショッピング、グルメに関する最新情報などを提供していく。グーパスの主眼は、日々の情報提供で通勤・通学といった時間を少しでも楽しい時間にすることにあります」

 そう話すのは、小田急電鉄(株)沿線事業部の鈴木秀和プロジェクトマネージャーだ。同社がオムロン(株)と共同で2003年 2月から始めた自動改札機連動型情報配信サービス「小田急グーパス」は、事前登録した会員が定期券で改札機を通過すると、 5秒から10秒で情報メールが携帯電話に配信されるというサービス。現在、約 3万7000人(04年7月時点)の会員が利用する。

 配信される情報コンテンツは、6つエリアに分けた沿線情報と、エンターテイメント情報やビジネス情報、英会話など5つの非沿線情報。会員は登録時に、そのうちから4つのコンテンツを選択。自分が乗降する2つの駅のエリア情報と、非沿線情報の2つを選択するケースが多いという。さらに、情報の配信に際して、年齢や性別などを加味して情報が選別され、会員個々にカスタマイズしたかたちで提供される。

  「サービス開始当初は、新宿エリアと沿線情報エリアの2つに分けているだけでしたが、拡充を求める声が多かったことから、エリアを細分化し、増やしてきました。これらエリア情報は、近隣のイベントや神社のお祭りなど地域密着型情報を中心にしています」

小田急電鉄株式会社
沿線事業部プロジェクトマネージャー 鈴木秀和氏

 加えて、これら情報の後半には 100字程度の広告メールが入る。

 「広告メールの配信では、乗降する駅や性別、年齢で絞って、『今日の朝、新宿で降りる21歳の女性だけに送る』といったことも可能です。実際、百貨店が新宿から経堂までの駅に降りる会員だけを対象に、その日の夕方にデパ地下で使えるディスカウントクーポンを配信したこともあります。その結果、メールを受け取った人が、帰りがけにデパ地下に向かった。ターゲットを絞ってより訴求力のある広告展開をしたいという企業が増える中、グーパスは広告媒体としても注目されています」

 また、自社が行う沿線の駅周辺でのイベントや車内の中吊り広告と連動させてメール広告を打つ企業も多いという。

 「私たちは、お客さまのアクションを誘発するフックとしてグーパスを機能させていきたいと考えています。情報メールを見て、実際に地域のイベントや、お店に行っていただく。広告メールにしても、最後にクライアントのURL を載せてあり、そこにジャンプしていただく。実際、クライアントさんへのクリック率は20%前後と非常に高い。これには、電車の待ち時間や車内で読んでいただけるように、タイミングよく情報発信していることが大きく影響していると思います」

 例えば、携帯電話での予約サイトを持っている映画館であれば、グーパスからサイトに入ってもらい実際の来館へと誘うことも可能だろう。こうしたグーパスサービスから見えてくるのは、改札という行動センサーを使って、個々の人々の移動エリアを予測し、タイミングのよい情報提供を通じて、地域や企業との接点、出会いをピンポイントでつくっていくという構図だ。

オムロン株式会社 
グーパス推進部主査 小川俊暢氏

 今年8月からは、関西の私鉄で導入が始まった非接触ICカード「PiTaPa(ピタパ)」を使った「PiTaPaグーパス」をスタートさせた。グーパスのシステムを開発し、小田急に続き、PiTaPaグーパスの運営にも関わるオムロン(株)のグーパス推進部の小川俊暢主査は次のように話す。

 「自動改札機など駅務の機器分野が成熟化する中、当社は自動改札と携帯電話を連動させた情報サービス『グーパス』を21世紀の成長戦略の一つとして位置づけ、鉄道分野での拡大に取り組んでいるところです。さらに、将来は、その横展開もはかっていきたい。例えば、銀行のATMや百貨店のクレジットカード用端末なども、行動センサーになりえます。ことに多機能型ICカード化が進めば、街中の行動センサーはいくらでも考えられます。そうした街のプラットフォームとグーパスのプラットフォームを連携させていくことで、情報提供や広告のためのツールとしてだけでなく、お客さんの行動にともなった、より幅広いサービスを提供していくことができると思います」


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