建設BCPガイドラインが公開されました
7/20に建設BCPガイドラインが公開されました。文字通り建設業固有の特性を反映して詳しく解説しています。
作成は日本建設業団体連合会で、首都直下地震を念頭に置いています。
■建設BCPガイドライン目次
はじめに
建設BCPガイドライン作成にあたって
第1部(基本編)
建設BCPの必要性と基本的考え方
1-1 事業継続(BCP)の概要
1-2 BCPが求められる背景
1-3 建設会社におけるBCP
1-4 建設業界としての取組みについて
第2部(実践編)
建設BCPの策定と取組みの内容
1 方針
2 計画
3 実施および運用
4 教育・訓練の実施
5 点検および是正措置
6 経営層による見直し
建設関係の方は既にお読みになっている方も多いと思いますので、他の業種の方にも検討の仕方で参考になると感じたところを少し挙げてみたいと思います。
■建設会社の事業中断リスク(P30)
防災マニュアルは備えているが、BCへの取り組みが無かった場合のリスクについて例示しています。
BCPの必要性、有効性を考える上でも、このようなアプローチは一度やっておくと良いかと思います。以下は建設会社の例ですが、他の業種でも類似点はあるように思えます。
〔本社〕
防災マニュアルに基づき、指揮命令所は立ち上げたが、事業継続のための重要業務の絞込みが事前になされていないために、限られた経営資源(人・モノ)の活用が非効率となる。
→ 初動活動の遅延等(応援部隊編成の混乱 等)
〔現場〕
防災マニュアルに基づき対処。危険のない範囲で二次災害の防止
→ 震災が落ち着いた後の工事再開について、事前検討なし(個別現場対応)
→ 工事再開の判断の遅れや、再開後の支援が不十分
→ 工期挽回できず
→ 顧客の事業計画遅延
→ (契約上は問題がなくとも) 顧客満足(CS)の低下
〔各部署〕
インフラ復旧活動への対応遅延、地域協定の反故等
→ 社会的信用の低下
〔各部署〕
竣工物件の復旧支援の遅れ
→ 得意先からの信用失墜
→ 受注減少
■建設会社の特徴(P31)
政治経済・社会活動の早期回復に担う大きな役割や顧客との関係の長さが特徴です。
・災害時にはインフラ復旧等の重要な担い手となる。
・竣工物件が多数存在する。工事引渡し後も、一定期間責任が
継続するため、顧客との関係が長期間にわたる。
・発注してくれた得意先は、当該発注工事の工事請負契約
完了後も、重要な営業先として位置づけられる。
など。
■建設会社における「災害の特定」と「重要業務」の関係(P32)
ここでは製造業と比較して、建設会社のユニーク性を浮き彫りにしています。
・製造業等
被害が拡大しても「主力製品を製造する」という自社の重要業務に
大きなブレがない
→災害時にも基本的な企業ミッションは変わらない
・建設会社
重要業務として認識しなければならない対象業務が拡大する。
それは、「道路等のインフラ復旧」や「被害を被った他の企業等
(得意先)の建物復旧」が自社の事業継続にかかる重要業務だからである。
特に、インフラ復旧等の重要な担い手となる建設会社は、災害復旧時に、
幅広く積極的に活動することが社会的に期待されている。
→自治体と似たようなミッションの比重が増える
■建設会社における「重要業務」(P33)
やはりこれも社会の早期復旧への貢献(責任)としての意味合いが強いです。
(1) インフラ復旧工事への迅速な対応
(2)施工中現場の早期再開と品質管理
(3)自社施工物件の被災状況確認と施主の復旧支援
■建設会社における「目標復旧時間」(P37)
製造業の場合、ある製品の生産もしくは出荷を再開できる日数(例えば7日)が目標復旧時間となりますが、建設会社の場合、建物の復旧ではなく、復旧工事を始められる準備が整うまでの時間のような1段階手前のところに設定することを推奨しています。
・製造業 ある製品の生産再開 7日
・建設会社 インフラ復旧工事への対応 24時間
自社施工物件の状況確認と施主のフォロー 48時間
以上のように、業界の特性をよく研究してBCPの雛形を作っています。
実際にはこれに各社固有の事情が影響するので、更にカスタマイズが必要にはなると思いますが、他の業種の方も、検討の進め方としては参考にされてはいかがでしょうか?
最終更新時間 20:39 | コメント (0) | トラックバック
事業継続推進機構(BCAO)のNPO認証記念セミナーに参加しました
7月10日事業継続推進機構(BCAO)のNPO認証記念セミナーに参加しましたのでトピックをご紹介します。
以前のブログ「事業継続(BC)の取り組みを推進するNPO(BCAO)発足」で紹介しましたが、BCAOが6月20日に法人登記により正式にNPO法人として設立しました。
詳細はBCAOのWebサイトにレポートが載っていますが、ここでは皆さんに直接役立つ内容に限ってご紹介します。
■BCAOテキスト
BCを社内で普及させていく場合には何らかの資料が要りますが、このテキストはベースとして使うことが出来ます。
標準テキストの目次は以下のようになっています。
0. 本テキストの位置づけについて
1. BC の考え方
1-1 事業継続(BC)とは?
1-2 BC の概念
1-3 BC とBCM /BC P
1-4 従来の防災とBC への取組みの特徴
2. BC のニーズ、動向
2-1 日本でニーズが高まっている理由や背景
2-2 日本の動向
2-3 国内で発表されているガイドライン
2-4 海外の標準化動向
2-5 日本でのBC を考える上での必要な項目
3. BC の要素、ポイント
3-1 BC のPDCA サイクルの要素
3-2 BC のメリット
3-3 BC の推進のために
3-4 継続的改善を行い成長させるために
4. 事例
5. 今後の予定
6. BCAO としての主張
テキストと言いながらパワーポイントでビジュアルに作ってあるので、社内のプレゼンテーションにそのまま使うことが出来ます。
■BCAO認定資格とBC検定
企業及び自治体の事業継続管理者及び担当者を対象にした資格制度としてBCAO認定が始まります。
・BCAO認定資格の目的
(1)基礎知識の習得を容易にする
(2)自社でBCを推進できるようにする
(3)企業間でBCに関して共通概念で相互に理解できるようにする
(4)有事にBCを発動させる際に、策定されているBCを実行できるようにする
・平時の資格
「初級管理者」基礎知識保持、1日程度の講習+試験、数万円
「主任管理者」実務可能、5日程度の講習+試験、数十万円
「上級管理者」リーダークラス、試験方法は未定
・緊急時の現場指揮の資格
「事業継続指揮者」知識+緊急時の机上訓練(案)
・資格の更新
3~5年
・BC検定
2007年1~3月
初級管理者向けの第1回講習と試験の実施予定
主任管理者向けのカリキュラムのデモ版作成予定
■防災格付け融資制度
以前のブログ「「防災対応促進事業」融資制度の第1号案件」でご紹介した融資制度です。
認証記念セミナーの後の記念パーティで、これを推進している日本政策投資銀行 政策企画部の野田さんにお会いしてお話をお伺いしました。
この融資制度に申し込むには、事前に「防災に対する企業の取り組み」自己評価項目表を埋めて、投資内容と共に日本政策投資銀行に提出します。
日本政策投資銀行では財務審査と防災対応評価を行います。書類上の評価だけでなく、一度は企業を訪問してインタビューを行い、社内規程や建築・消防関連の確証の確認も行います。(トータルの期間は1~2ヶ月)
それがOKになったら評価・融資条件を決定し、めでたく契約締結・融資実行となります。BCへの取り組みにかかる費用の50%までの部分を低金利で融資を受けることが出来ます。
更に企業側が同意すれば対外発表もなされます。
最近ですと渡辺地所(株)が九州地区第1号案件として公表されています。
最近金利が徐々に上がり始めていますので、これからこの効果も大きくなると思います。
でも野田さんのお話では、この融資制度を利用するということで、社内でのBCに対する取り組みを多くの人に知ってもらい、勢いをつける、また社外発表することでCSR(企業の社会的責任)の観点から世の中にアピールすることが出来る、というところに大きな意義があるとのことです。
BCAOでは具体的な活動も既に始まっていますので、是非加入されることをお勧めします。










