ICS(インシデントコマンドシステム:緊急指令システム)と事業継続計画(BCP) (1)
米国ではICS(インシデントコマンドシステム:緊急指令システム)という危機対応のためのフレームワークがありますが、BCPに何が生かせるかという点で考えてみたいと思います。
ICSとは、日本で言う災害対策本部の体制や機能を標準化したフレームワークのようなものです。ぴったり来る訳語が無いので、緊急指令システム、インシデント指令システム、災害指揮系統などと訳されています。
ICSについては、「平成17年度 高可用性システム技術 および ビジネス継続性技術調査報告書」に細かい情報まで日本語で書かれていますので、参考にさせて頂きました。
背景について触れてみましょう。
1970年代始めに多発したカリフォルニア森林火災の教訓から開発されました。
森林火災が発生すると一人の司令官に裁ききれないほどの多くの情報が一度に集中する。しかも、周辺地区の消防隊も応援のためにかけつけましたが、お互い言葉の意味を違えて使ったり、指揮命令系統が不明確だったりと大変混乱しました。
広域・複数機関にまたがる対応時の各機関の連携をスムースに行うためにも標準化・共通化した考えに基づいた緊急事態への対応策をまとめる必要が認識され、ICSが開発されました。
現在はHomeland Security Presidential Directive#5(国土安全保障に関する大統領指令#5:2003年2月28日発令)の下で次の2つのフレームワークが制定されていますが、いずれもICSの考え方に基づいて作られています。
・NIMS: National Incident Management System(2004年3月1日完成)
インシデント対応に関する国家のフレームワーク
・NRP: National Response Plan(2005年6月1日完成)
NIMSに基づく連邦政府の実行計画
これ以外にも、危険物質に係るインシデント対応やカリフォルニア州内の州・郡もICSの採用が義務付けられています。
また州政府は、連邦政府から資金援助が受けられるということもあり、インシデント管理計画や非常事態時の行動計画の改訂を迫られています。
ではICSの概要について触れてみましょう。
ICSで求める重要な要件は以下の4つです。
・危機対応を行う組織は災害がどの様な種類でも大きさでも対応できる様充分に柔軟であること
・Day-to-Dayベース(リアルタイム)に対応できること
・異なった地域の異なった機関の間でもマネージメントが可能な様に標準化すること
・コストの効率化を考慮すること
具体的には次の9つの考え方を基本にしています。
(1) コントロール可能な管理スパン(報告要員数)
(2) 用語の共通化
(3) モジュール化され拡張可能な組織体制
(4) 統一的・明確な指揮系統
(5) 統合化されたコミュニケーション
(6) 強固なアクションプラン
(7) 前もって定められたコマンドセンター(対策本部)
(8) 総合的なリソース管理
(9) 的確な情報収集・管理・伝達
それぞれの内容と、組織体制については次回に触れたいと思います。
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バックアップシステムのためのコストの捻出
事業継続性を高めるには情報システムのバックアップ機能が重要になってきます。しかもデータのバックアップだけでなく、システムのバックアップも、となるとコストの問題が大きく立ちはだかり、中々対策が講じられないというケースも多いかと思います。
4月にはカブドットコム証券が災害時の事業継続に向け福岡に新拠点を開設したとの広報が出されました。
これは東京と福岡間でネットワークを介してデータ転送を常に行い、データの鮮度であるRPO(Recovery Point Objective)は5分以内、復旧目標時間 RTO(Recovery Time Objective)は30分以内と素晴らしいものです。
金融機関は情報システムの重要性が他にも増して高いため、ここまでの投資が思い切ってなされるかもしれませんが、一般の企業となると中々難しいのが現状です。
ではその他の企業は、そのままで良いのかというと、やはり重要なシステムは存在し、その重要性自体もビジネスのIT依存度が高まるにつれて、自社の問題だけでなく、他社との取引や社会的責任においても、対策を講じなくてはならない状況になってきています。
実はNECも同じ悩みを抱えておりましたが、コスト削減策との抱き合わせで、事業継続のためのコスト捻出を行いました。
社内のいくつかの拠点に散在していた情報システム(サーバやストレージ)の統合化を図り、無駄を省いてまずコストを削減します。その際、バックアップを取ってシステムでも復旧できるような環境づくりを同時に進めます。
統合化のメリットはバックアップの取りやすさ、その後の運用のやりやすさにも効いてきます。「バックアップをとれば安心か」のところでも触れましたが、システムが散在している状態で、タイミングよく意味のあるバックアップをとる運用を考えるのは容易ではありません。
サーバやストレージの無駄を省きたいと思われている方には、システム統合と併せてバックアップシステムの作りこみを行って、コスト削減と事業継続性向上を図ることをお奨めします。










