国民保護法と事業継続計画(BCP)
先日、国民保護法に関連するセミナーに参加する機会がありました。事業継続計画(BCP)との関係について考えてみたいと思います。
皆さんもご存知だとは思いますが、内閣官房 国民保護ポータルサイトによると「国民保護法」は次のように解説されています。
国民保護法とは
国民保護法は、正式には「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」といい、武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための、国・地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置が規定されています。
国民保護法そのものの議論は色々あるかと思いますが、ここではBCPに関係ありそうなポイントを挙げてみましょう。
・事業中断の要因:武力攻撃事態等
BCでは事業中断の要因は特定せず、最悪の事態を前提に対策を考えていきます。最悪の事態の考え方については、以前のブログでも触れてみました。
日本では何と言っても地震が最も怖く、影響範囲も大きいので、想定事象としては地震を取り上げることが多いです。
もちろん日本でも地下鉄サリン事件などテロ事件はありましたが、なかなかそこまで考えられないので、まずは地震前提で一度BCPを作ってみて、そのうちテロも含めて改版していこうというのが実態ではないかと思います。
アメリカやイギリスなどではテロ事件が起こった(起こる)ので、既にテロ前提に訓練を行っているという話も聞きます。
・バイオテロ
「武力攻撃事態等」の手段は色々ありますが、影響範囲が大きく、対処が難しいのが病原菌などを用いた「バイオテロ」のようです。
ミサイルや爆弾の場合、物理的な破壊による被害が主なので、範囲がある程度限定されますが、感染病の場合、その菌を持った人が動いた経路、その人から感染を受けた人が動いた経路と、広がりと、その速さが大きいので、対応は非常に困難なものになります。
企業の中のある事業場やビルの中で閉じた話に限定できれば、企業としての対策/管理もある程度できますが、それを超えると、地域社会との連携で取り組んでいくしか方法が無いでしょう。
その意味では、地元の自治体で「国民保護法」に対してどのような備えをしているか、把握しておく、連携方法を決めておくというのが有効でしょう。
・地域が主体となって動く
地下鉄サリン事件のようなテロの場合、人が集中するところが攻撃対象になりやすいですが、バイオテロの場合、地方の田舎でも十分対象になります。企業で言えば、バイオテロの攻撃対象は本社中枢機能だけでなく、地方拠点、データセンタの中までも全て含まれてしまうということです。
国民保護法に対応して、行動マニュアルを作っていくのは、それぞれの地域の役割となっています。この辺りはBCPと似ていて、BCPの雛形は本社サイドの事務局である程度用意できますが、実際には事業部門や場所の特性を反映して、それぞれ組織ごとのBCPを作っていくことになります。
但し、指揮命令系統、情報の伝達がスムースに行くよう、全体としては階層構造を持たせて、BCP間での連携を図ります。
更に絵に描いた餅にならないよう、訓練でマニュアルをブラッシュアップし、対応する人のスキルを上げていきます。
今回のセミナーで感じたのは、始めは地震/火事に対する防災マニュアルがベースになってBCPに取り組むところが多いかと思いが、影響の伝播の仕方が急で読めないという点では次のステップとして「バイオテロ」も対象に入れた検討が必要になるということでした。
最終更新時間 10:24 | コメント (0) | トラックバック
「防災対応促進事業」融資制度の第1号案件
日本政策投資銀行より、安田倉庫(株)に対し、初めて「防災格付」融資を実行したとの広報が出されました。
以前、事業継続性(BC)を向上させるための費用にへの特別融資について、日本政策投資銀行が検討しているということを書きましたが、いよいよ第一号が出来たとのことです。
ニュースリリース
安田倉庫(株)に対し、初めて「防災格付」融資を実行
~「防災対応促進事業」融資制度の第1号案件~
これによると融資対象事業として以下を挙げています。
(1) 計画・マネジメント(BCPの作成等)
(2) 施設減災等(耐震診断・改修等)
(3) 生命安全確保(二次災害防止等)
(4) バックアップ体制整備(情報系等)
(1)と(4)がBCで特徴の事後対策に、より有効なものです。
安田倉庫(株)の場合、既にBCP策定では先行しているので、(2)老朽倉庫の更新、(4)情報システムの二重化等を対象としています。
BCPを策定すると、その過程(事業影響分析(BIA)や復旧戦略/手段の検討)においてボトルネックや脆弱性が明確化されるので、今後の強化内容や投資の優先順位が設定しやすくなります。
尚、審査に合格するための項目としてBCPは必須ではなく選択になっているので、融資の対象としてBCPの作成を対象とすることも可能になっているようです。
本格的なBCP策定の検討はこれからという企業も、この仕組みの利用を検討してみてはいかがでしょうか?










