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2005/09/26

周りに迷惑をかけない

先日、新潟での水害に見舞われた企業の方のお話を聞く機会がありました。復旧活動に対する気遣いが印象に残ったので少しご紹介しましょう。

去年の新潟での豪雨で河川の堤防が決壊し、会社のビルや駐車場が水浸しになって大変なことになってしまいました。どろやごみも付いているし、片付けたり掃除したり、乾かしたりしないと使い物になりません

そこで水が引いた後、こういった作業に入ることになったのですが、会社の方針で、まず社内ではなく、会社の周りの片づけから始めたとのことです。

自社だけが助かるのではなく、地域社会との共存、人命、安全を第一に考えた対応は日本的な感じがしました。

全く別の会社の話では、発電機を用意したのだが、その騒音があまりにも大きく近所迷惑になるので使えなかったという話も聞いたことがあります。ここまで来ると復旧と気遣いのトレードオフ、バランスが結構難しい気がしてきます。

早く事業を復旧させると、その地域の産業が早く立ち上がって雇用も確保されるのだからという議論もありそうだし、いや、地域住民の安全と健康確保も大変な時期には何にも増して重要だと言う議論もありそうだし.....

ということは復旧に使う器具や機械環境への影響も事前に考えて選択し、設置場所や使い方を決めておかなければならないと言うことでしょうか?復旧計画を立てる際にもちょっとした気遣いも大切ですね。

最終更新時間 09:31 | コメント (2) | トラックバック

2005/09/20

データもなくなる

先日阪神大震災で被災された企業のお話を聞く機会がありました。最悪の事態について考えさせられるポイントが含まれていました。

その企業では、コンピュータのデータをバックアップした磁気テープを火事に備えて常日頃から耐火金庫に保管していました。

ところが、震災の時に限って、徹夜作業明けで、たまたま金庫のふたを閉めないで仮眠してしまったのです。地震そのものでは火事にはならなかったのですが、一旦落ちていた電気が復旧したとき、どこかでショートが起こり、それが元で火事になりました。

残念なことに磁気テープもみな焼けてしまいました

その後は大変でした。

コンピュータのマシンは用意できても、「ソフト無ければただの箱」状態です。アプリケーションプログラムまで焼失してしまったので、一から作り直しです。ところがプログラムの仕様書は壊れたビルの中にあります。

「決死隊」というのを組んで、その仕様書を探しに行ったとのことです。でも仕様書もかなり焼けてしまっていたので、後はプログラムを昔開発した人などに集まってもらって本当に一から作って行ったのです。結局本格復旧には半年かかったそうです。

私はこの話を聞きながら、BCではどうだろうかと考えていました。

BCの基本は、ある場所が全く使えなくなることを想定して、離れた場所にデータやコンピュータシステム、オフィス機能などを予め確保します。

しかし現実のことを考えると、テープを離れたところに送るタイミングによっては、予定通りの間隔で送れないことがあるかもしれません。またテープの読み込みを開始したら、途中でエラーが起こってうまく読めないという事態も起こるかもしれません。

情報システムの人は必死になって復旧に努めますが、ビジネスの人からすると、いくらバックアップが取ってあったからといっても、最悪の場合、システムはしばらく使えないことが起こりうるということも前提に、その時何が出来るのか(恐らく手作業で)を少し考えておくのも、そのときになって時間を無駄にしないという点で大切だなあと思いました。

色んな仕事がコンピュータのお世話になる割合が増えていく一方の昨今、コンピュータ無しの世界を想像して考えてみるのが、大切なのかもしれません。

最終更新時間 08:30 | コメント (0) | トラックバック

2005/09/12

カトリーナを振り返って

アメリカを襲ったハリケーンカトリーナ、その被害もさることながら、政府の対応に批判が出ています。BCの観点ではどうだったのでしょうか?

ニューオリンズの悲惨な光景は皆さんも何度もテレビなどでご覧になったと思います。イラクには兵隊を送るのに、なぜ国内の対応は後手に回るのか、といった批判が相次いでいます。

その要因の一つにFEMAという連邦レベルの災害対応機関がテロ事件以降、DHSという国家安全保障省配下に入ってしまい、権限や予算、人員も縮小してしまったことが挙げられています。

なぜそうしたのか、他にも要因があるなどの議論になると終わらなくなるので、ここではBCの観点のみで考察してみたいと思います。

BCの基本は要因にとらわれずに最悪の事態を想定し、対策を立てることです。

災害やテロを防ぐための予防策は明らかに異なるので、それぞれ要因に応じた策を取らねばなりません。

でも一旦ことが起こってしまえば、特に緊急対応のところは、災害もテロも人命第一に危険な場所から非難し、安全を確保するという点は同じです。SARSや炭素菌が要因であれば、健康チェックを厳重に行うという作業が追加されることもあります。

また重要な機能や早く復旧すべき機能は、代替の場所に切り替えることになります。

カトリーナの場合、このような惨事が起こることは既にわかっており、それでも予防策はとられませんでした。

日本の一般企業でも同じような状況は多々あると思います。例えば、耐震対策が十分とられていない、バックアップテープが同じ施設に保管されている、コンピュータや企業にとって大事な機器が1階や地階にあって、洪水が起こった場合、浸水する可能性がある、重要な機能が1箇所に集中しているなどです。

でもこれら全てを一度に解決は出来ないし、コストの問題や、時間の問題もあります。

即ち我々の足元もひょっとするとニューオリンズと同じなのかもしれません。

となると、やはり最悪の事態が起こることを前提に、その時どうするかをある程度決めておくのが現実的になります。

しかし被災してしまった当の地域は対応するリソースがもう無いので、やはり他の場所から出来る支援策を立てておくことになるでしょう。

元の場所での人命、安全を確保し、いかに早く復旧するかは、従来の災害対策の得意とするところなので譲るとし、BCの場合、別の場所でいかに必要な機能を代替するかということを考えます。
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BCサービスの専門ベンダであるSunGard社のWebを見てみると、8/29の時点でカトリーナのために109社が事前に警告(Alert)を発し、その後16社が実際に災害復旧を発動(Disaster Declaration)しています。

16という数字はSunGard社の顧客だけなので、自社で災害復旧を行う企業、他の会社のサービスを使っている企業も含めると、その何倍かの企業がBCPに基づいて災害復旧を実行中と考えられます。

元の場所の復旧と、代替場所での復旧を同時並行して進めるのは、やはり事前にある程度備えが必要ですね。

最終更新時間 08:42 | コメント (0) | トラックバック

2005/09/05

災害対策を明るくするBC

災害対策というと日ごろ関わっていない人から見ると「暗い」イメージがあるという話しを聞いたのですがどうでしょうか?BCではどうでしょうか?

以前にもご紹介したD-PACというセミナーでパネルディスカッションがあり、いろんな話題が話されましたが、その中に災害対策は「暗い」イメージがあると言われるという議論がありました。

確かに災害対策は、何か新しい製品を作ったり利益を生み出すという風には中々考えにくい面があります(もちろん防災用の商品やサービスは別ですが)。地震や台風や、火事といった災害時にいかに生命の安全を確保しながら早く復旧させるかが問われるので、「暗い」というのは当たっていなくても「明るく」楽しいといった雰囲気からは若干遠いかもしれません。

でもそれがうまく機能し、人々や会社の役に立つことは素晴らしいことなので、その面では元気を与えてくれるような「光」のイメージもあります

BCの場合、人命第一、二次災害の防止に加えて、いかに早く事業や業務、行政サービスを復旧させるか、もしくは途切れないようにするかが命題になってきます。

BCは災害対策から発展した経緯があるので、何か災害を考えて、それへの対処を考えるのが基本にはなりますが、「事業継続」もしくは「業務継続」という言葉だけを見ると、もっと純粋に、もっと広義に普段の生活やお仕事でも役に立つ、ごく基本的な危機管理ともとれます。

私も、BCのセミナーで講演することがありますが、プロジェクター投影用のPCが用意されているとしても、ついつい自分のPCももって行きがちです。また仮にプロジェクターで映し出すことが出来なくても、配布した資料で何とかこなすことも考えます。

その他、日々の仕事の中で、もし最悪の事態が起こったらどうしよう、これを予備にしておこうか、など以前よりは考えたり、気をつけたりするようになりました。

誰か代理の人を立てるときなど、冗談でHC「ヒューマンコンティニュイティ」など、「何とかC」と言って色んな継続性を例えにしたりします。

BCに取り組んだり、BCPを作ることのメリットは、いわゆる危機への対応力、即応力を高めるだけでなく、次のようなメリットもあります。

・変化に強い企業体質に変える
普段から危機に対する意識を高め、訓練を行うことで、変化に強い気質が生まれます。
これは平常時の仕事の仕方が変わってくるので、BCの効果の一つと言えます。

・組織の風通しが良くなる
上記とも若干重なりますが、マネジメントも含めた訓練を通じて、組織として助け合う一体感が出たり、何か危機が予見されるときに早めに問題提起するなど、コミュニケーションが良くなったり、信頼感が高まります。

・ブランドイメージの向上
以前、「事業継続(BC)のための災害対策を広報する」でも書きましたが、BCPを策定していることをアピールして、企業や行政の信用度向上につなげます。


・企業の社会的責任(CSR)への貢献
CSR(Corporate Social Responsibility)がうるさく問われる時代になってきました。事業がグローバルになり、サプライチェーンでの結びつきが強く(時間的余裕が短く)なり、自社が事業継続するだけでなく、他社に迷惑をかけない、決められた役割を果たすということからもBCの必要性が高まってきています。

・事業見直しのきっかけ
これは復旧用件の確定の際に行うビジネス影響分析(Business Impact Analysis: BIA)の副産物であります。

BIAでは業務毎に仮に停止した場合の影響を、売り上げやサービス、信用評価など、色んな角度から算出して可視化し、復旧に何が最優先かを決める作業です。

これをすると、事業構造やその依存性が明らかになりますし、不採算事業は、災害をきっかけに撤退する、などといった判断がすばやく出来る判断材料を提供することになります。この過程や結果で、それぞれの事業継続について見直すある種のきっかけを与えることにもなります。


さて色んなメリット、効用がありそうなBCですが、基本的には平常時のビジネスを強くするものであり、どうやらBCは「明るい」と言えそうですね。

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