内閣府中央防災会議「事業継続ガイドライン」正式リリース
今度は8/1に内閣府から「事業継続ガイドライン」がリリースされました。これで政府からのBCPガイドラインが2種類出揃った形になります。
(1) 内閣府中央防災会議(2005.8.1)
民間と市場の力を活かした防災力向上に関する専門調査会
□事業継続ガイドライン 第一版(PDFファイル)
― わが国企業の減災と災害対応の向上のために ―
(2) 経済産業省(2005.3.31)
企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会
□報告書 参考⑥ 事業継続計画(BCP)策定ガイドライン(PDFファイル)
□(参考資料_BCP策定ガイドラインの概要)(PDFファイル)
また中小企業庁事業環境部 経営安定対策室は6/6に中小企業向けにフォーカスしたガイドラインやツールを事業として請け負うところを募集したので、来年3月までにそれらのものが公開されるでしょう。
既に経済産業省のガイドラインをお読みになった方は多いのではないでしょうか?
内閣府のガイドラインはこれからという方もいらっしゃるかと思います。
経済産業省版はBCP実務者が計画書を作っていく際に参考になるポイントが網羅的に記載されています。
一方、内閣府版は、企業の経営層の方が防災とBCの違いや重なりをよく理解して、BCP実務担当の方に取り組みを指示するのに適した内容になっています。
また今までの日本の防災への取り組みを肯定し、更に中堅中小企業の方でも無理をせずに少しずつ、とにかくまず取り組みを開始して欲しいという願いがひしひしと伝わってきます。
最後には導入的なチェックリストが付いていますが、今後更に格付けが出来るような採点表もリリースされる予定です。
ここからは私の所感です。
・災害の特定
BCでは災害の要因は特定せずに最悪の事態を想定するのが基本ですが、内閣府版ではあえて地震を取り上げています。
地震国日本の中央防災会議としては、どうしても地震への災害対策向上を図りたい、また日本の皆さんも地震の方が具体的なイメージが浮かびやすいということが背景になっています。
このブログの「一体どこまでが最悪の事態?」(2005/07/19)でも書いたのですが、仮に地震を想定しても、それによる最悪の事態は何かということをよく明らかにしておくことが重要でしょう。
この後、「影響度の評価」、「重要業務が受ける被害の想定」、「重要な要素の抽出」というステップに進んでいきますが、この3つの作業をうまく進めるにもやはり最悪の事態の想定は大切な気がします。
・文書の作成
ここは経済産業省版に譲っているのか、あまり詳しく書かれていません。重要なポイントは脚注に列挙されています。
実際に計画書を作ろうと思った際、案外ここではたとストップしてしまう可能性もあります。
即ち今までの災害対策マニュアルでは生命安全の非難や安否確認、各種連絡部分が中心で、事業継続に関する部分が含まれていない場合が多く、それをベースに書き足して行こうと思っても難しい場合があることが予想されます。
ガイドライン中の「文書の作成」部分までの章は、事前事後対策として何をしていくべきかという中身の検討が主ですが、やはりそれをうまく文書に落として目に見えるものに、訓練や災害時にも使えるものにしていくことが必要です。
また、作りっぱなしにならないように改版がしやすいよう、改版する人も明確にしやすいような文書体系にしていくことが肝でしょう。
体系化は各企業の組織構造にも依存するところなので、ガイドラインとしてはあえて踏み込まなかった領域かもしれません。
この辺りは最悪の事態の想定と同様、基本となるところなので、よく検討してから着手したらよいでしょう。
一つのお勧めは、災害時に最も早く復旧すべき業務に注目し、まずその業務とそれに関わるシステムの文書化、更に災害対策本部用の文書化をするのはどうでしょうか?
これで訓練や災害対応、改版がスムーズに出来ることが確認できたら、徐々に範囲を広げていくと良いかと思います。
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BCP技術者認定資格を取ってキャリアアップ?
BCPを作ってマネジメントしていくことに関する認定資格はあるのでしょうか?今後企業のBC担当者として頑張っていこうとしている方へのキャリアアップがどうなっていきそうなのかというお話です。
米国で、BCに取り組んでいる企業の担当者や、ベンダのBCコンサルタントと名刺交換すると肩書きの一つとしてよくCBCPと書かれていることがあります。
これはDRII(Disaster Recovery Institute International)という米国の団体が認定した資格です。DRIIでは教育コースも開いています。
以前DRJ(Disaster Recovery Journal)のカンファレンスに参加したと書きましたが、ここではセミナーを聞くだけでなく、BCについての教育コースも開かれていて、DRIIによる認定試験も行われているのです。だから毎回多くの人がカンファレンスに参加するのかなあと思ってしまいます。
今回の参加者の多くはCBCPを持っており、年配の人ではMBCPを持っている人も見かけました。米国企業では、最近BCPコンサルティングに対する提案依頼書を作る際、CBCP保持者を条件指定する場合も増えてきており、ベンダ側もCBCP取得促進を図っているようです。
ではDRIIのBCP技術者認定資格にはどんなものがあるか見ていきましょう。
ABCP(Associate Business Continuity Planner)
試験だけでOK。入門編。
CFCP(Certified Functional Continuity Professional )
試験に加え、3分野での2年以上の経験。初級編。
CBCP(Certified Business Continuity Professional)
試験に加え、5分野での2年以上のプランナーとしての経験。中級編。
MBCP(Master Business Continuity Professional)
2つの試験に加え、7分野での5年以上のプランナーとしての経験。上級編。
Retired Business Continuity Professional
過去CBCPかMBCPで5年以上の経験後、リタイア。渋み編?。

BCP認定資格として従来からABCP、CBCP、MBCPがありましたが、最近CFCPが新しく追加されました。
ABCPは机上試験さえ75点以上取れれば取得でき、CBCPとMBCPは実務経験が求められます。CFCPはABCPとCBCPとの間に位置づけられ、実務経験は必要だが、CBCPよりはカバーすべき分野が少なくて良いというものです。
今のところ実質見かけるのはCBCPです。
認定技術者数は2004年で3,000名弱に達しています。
欧米はもとよりアジアでもDRIIの教育コースは数多く開催されており、Webベースでも一部受けられます。ほとんどのコースはBCPの理解を深めるものですが、BC501というコースのみはCBCP受験対策に使えるものとなっています。
机上試験のWeb版は無く、各国の教育専門ベンダの会場に出向き、受験しなければなりません。
残念ながら日本ではまだDRIIによる教育コースも認定試験も行われていないので、現時点で資格を取ろうと思ったら、米国に行って英語で試験を受けなければなりません。またCBCP以上は業務経験も求められるので、英語での文書提出も必要になるでしょう。
ということで日本にはCBCP保持者はほとんどいないのが実情です。
これに対し、日本国内で独自のBCP技術者認定資格の動きがあります。
・企業の防災力向上に新資格、「業務継続策定士」新設へ(2005.7.24 読売新聞)
検討が始まるのが今秋で結論が出るのは来年度なのでまだ先の話ですが、BCへの取り組みを検討している企業や団体では、担当される方のモチベーションやキャリアアップのためにも、この種の資格取得を検討されてはいかがでしょうか。
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携帯電話がつながらない...
先日、千葉で地震がありました。家族と連絡を取ろうと携帯電話でメールを発信したのですが、交信ができません。音声の電話はつながらないだろうと、はなからあきらめていたので、よし今度はWebから災害伝言掲示板を選択して何か書き込もうかと思いました。
ところがWebにも接続できません。ちょっと時間を置いてからと思って、またメールとWeb接続を試みたのですが、やはりつながりません。これは参ったと思い、ダメもとで音声の電話をかけてみました。
すると少し時間がかかりましたが、つながったのです。音声はだめでもデータはつながると思っていたのに、なかなか思うようにはいかないものです。つながった音声も私から家族にはかかるのですが、その逆はダメでした。また家族からのメールは2時間ほど遅れてやっと私まで届きました。
どうやら長時間にわたってメールも含めた発信規制がかかっていたようです。この規制のため、つながるパターンの読みきれない不思議な状況が起こっていたようです。
通信環境は数時間後には音声・データとも回復したようですが、今度は電車が止まってしまっていて、新宿で足止めを食らいました。しばらく電気屋で油を売って、それから夕食をとってと、時間をつぶしていましたが、一向に運転再開のめどは立ちません。
このままでは家に帰れる保証も無いので、あきらめて親戚の家に泊めてもらうことにしました。西向きの私鉄は動いていました。
東京近辺の方なら似たような経験をされた方は多いのではないでしょうか?
ここで今回の出来事について振り返ってみたいと思います。
・最近の災害の多くはなぜか土曜日に起こっている
もし平日の昼間に起こっていれば、更に大きな混乱と被害が拡大した可能性があります。
また多くの企業や行政機関は休んでいるため、復旧活動のための時間的余裕は平日に比べるとまだましでした。
=>しかし、今後は平日の真昼間に起こることも想定する必要があります。
・携帯電話に頼りすぎるのは危険
皮肉なことに携帯電話よりも従来の固定電話の方が繋がりやすい場合があるという話も聞きます。
また音声よりもデータの方が繋がりやすいと思っていましたが、そもそも接続自身が出来ませんでした。
これについては政府や携帯電話各社もデータ(メールなど)は繋がるよう今後改善していく動きが見られます。
=>連絡手段・連絡先は複数持つべきです。
但し、最悪の場合、固定電話も携帯電話もしばらくは使えないことを前提に訓練などを行う必要もあるでしょう。
・使えるリソースは限られている
鉄道会社によって安全確認に対する考え方や手法が異なったため、運転再開までの時間にも大きな開きが出たようです。もちろん安全第一が基本なので、確実に行っていただくことを期待します。
しかし、災害時に利用できるリソースには限りがあります。
=>限られたリソースに優先順位をつけて、いかにうまく適材配置していくかが今後の改善の鍵の一つになるでしょう。
この辺りはまさにBC(事業継続)の基本的考え方のポイントですね。
今回は震度5弱という比較的軽い地震だったので、物的な損害などはあまり無かったようですが、通信や交通といった社会インフラ部分はかなり影響を受けました。
これがもし、もっと強い地震だったとするとこの程度では済まなかったことは容易に想像できます。
帰宅困難者になってBCへの取り組み必要性を改めて再認識させられた出来事でした。










