| 林:皆さん、ブログで公開する内容の範囲への配慮などで苦労されているようですが、ブログでの情報交換の動向についてご意見いただけますか?
池田:私の経験では、2000年ごろ、インターネットのメーリングリストが最も活性化していた時期だと記憶していますが、最近はこうした情報交換は機能していないように感じます。掲示板などでの技術交換は最近あまりよくありません。実際に重要な情報源は、2チャンネルなどにあることも多いのですが、会社からだとフィルタリングされて利用できないこともあります。
6-7年前まで、技術交換していた人たちは、どこでどうしているんだろうと考えることもあります。例えば、マイナーなクローズドのSNSに向かっているのか、多数のブログに埋もれて検索しにくい状況になっているのか、PtoPで直接的な情報交換になっているのか。いずれにしても昔より情報交換が活発でなくなってしまったのか、疑問を持っています。
ブログの活用によって、現状の見え難くなった情報交換に風穴をあけられることを期待していますが、かつてのNiftyなどに比べあまりレスポンスが良くない点が、今後運用上の課題のひとつです。
また、クローズドに集約されてしまった情報が、今後はSNSやブログで再度、集中と分散と言った形で現れるのではないかと注目しています 。
林:最近は、ブログを見ている人が増えていますが、メーリングリストでブログの更新情報を発信している人が多くなっています。そのため、まだメーリングリストが活用されているように思います。
どうしてもSNSの場合、パーソナルな情報共有にかたよりがちに感じますが、ブログは技術情報の交換に向いているのではないでしょうか?
藤本:メーリングリストで技術情報を投稿するときは緊張するので、情報の質が保たれるように思います。
池田:ブログだとプロバイダーに消されない限り、安心して書けるという心理的な違いはあります。
林:では、wisdomでは唯一、マルチオーサーで連載しているブログを担当しているトラクタラボのtuttiさんのお話を伺ってみましょう。
tutti:NECの新規ビジネスを開発する業務を担当しており、「インターネット・キラーアプリ研究所」を数人で担当して書いています。もともと社内の若手社員によるメーリングリストで新しい話題を議論するコミュニティがありました。そのメンバーを中心に社内だけでなく、外部に向けて情報発信したものが、トラクタラボです。
複数で書いているので、だいたい皆の作成ペースを伺いながら書いているのでペースは、比較的楽だと思います。しかし、ペンネームで書いている面、本来誰が書いているといった味を出す上でブログの特長が十分に活用しきれていない印象もぬぐえません。しかし、どのようなコメントやトラックバックがつくのか興味がありますし、"オフレコ"の情報を記載できるという側面では、匿名での書き易さもあると思います。
林:さて、では技術系ブログではない中村さんのお金ネタに話も伺ってみましょう。
中村:ファイナンシャルプランナーという職業を個人でやっています。ファイナンシャルプランナーは、最近やっと認知が広まってきたかと思いますが、個人の家計をマネジメントするもので、お金を増やしていくためには今をどう過ごすかをご提案する仕事です。
ブログでは、知って得する「お金」の話を書き、ビジネスでも生活シーンでも役立つ「お金」に関する知識や心構えを紹介しています。
現在、約9000人の方にメルマガの発信も行っています。メルマガとブログを比較した場合、メルマガは、閉じた世界なのでリラックスして書けるのですが、ブログはオフィシャルな印象のため、やはり緊張して書いています。wisdomのブログは、NECのサイトである点も配慮して、オープンなので誰がみるかわからないため、内容的にパンチがきいていないとも気にしています。
自分が、ユーザとして見る場合は、「人」に興味があってみる場合と興味のある「テーマ」から見に行く場合があると思いますが、自分は前者が多いと思います。
あったことのある人や友人ブログの更新があると見てみようと思います。
最近、SNSのGREEを紹介されたのですが、友達が日記を書くとメールが来ます。新着がくると他人のブログを見たくなります。こうしたSNSは、インフォーマルな情報がおもしろいですね。本音に目が行きます。
林:wisdomでブログを書いている場合、皆さんもどこまでインフォーマルな情報にするか難しいですよね。
編集長:主催社側からの意見では、NECのサイトであることは、特に意識していただく必要はないのではないでしょうか。世の中の迷惑になるような内容でなければ、ブログがどのようなものになるのか試行錯誤の段階なので、存分に書いていただいていいと思っています。
林:児玉さんは、個性的なブログを展開中ですが、どのへんに配慮されていますか?
児玉:読み易さを追求し、HTMLを使ってみましたが、早速反応がありました。以前のブログで代官と越後屋の構図を書いた時に、批判がきました。全部読んでもらうのは難しいので比喩を使っているのですが、理解してもらうための工夫が必要だと反省しました。その後、HTMLで改善したところ同じ人から良好な反応がありました。
情報を出すことで成功することと失敗することでは、明らかに成功するほうが多い。勇み足で失敗しても、"雨降って地固まる"、レベルアップすることができると思っています。
もうけ方のこつは普遍性が高いものです。今後は、ブログのテクニックも入れつつレベルアップして行きたいと思います。その結果もさらにブログに書いていきたいと思います。
それから、ブログ本文に書く内容はフォーマルですが、コメントの方はかなり人間性が出るようなくだけた内容にしているつもりです。
今後は、こうしたブログのようなものから、どのように利益を引き出すことができるのかに大きな興味を持っています。
林:児玉さんのブログで、我々のブログもレベルアップを図っていけたらと思います。
では、いくつかあるマーケティング関連のブログのひとつを担当されている今津さんにお願いします。
今津:もともとのバックグラウンドはエンジニアですが、外資系のマーケティングなどに長く携わり、最近はITアナリストとしての執筆活動の傍ら、本業であるマーケティングに関するブログを担当しています。
実は、マーケティングに関する課題は、完璧な回答はない分野のひとつです。そのため、限られたブログの中で、完結させることは難しいと思っています。
ただし、ブログにおいてひとつだけ心がけていることがあります。マーケッターの方は、ご存知の通りマーケティングの作業は非常に孤独な部分があります。社内では、マーケティングの課題に対する話題を同じ土俵で話せる人というのは極めて少ないのが実態です。ですから、マーケティング担当は、社内の理解の低い上司の説得や社内調整でくたくたになっていることが多々あります。このブログでは、内容での深みはもたせられないとしても、同じ悩みを抱えたマーケッター同士で話しができる場ができるだけで目的達成だと思っています。以前、ブログのコメントでも私のブログをご覧になった方から「"お気に入り"に入れました」とのコメントがたいへんうれしく感じました。ただ、今後はもう少しインタラクティブなブログを目指したいと思っています。
林:では、進行を努めさせていただいております私の紹介をさせていただきます。
もともとは、化粧品会社に勤めていましたが、女性のあこがれのビジネスに携わっていながら、自分が幸せになれていないと感じる時期がありました。
結果、「もの」では幸せになれないと気づきまして、自分の生活を取り巻く「情報」を活用してもっと幸せになれないかと思い、ジャーナリストを目指して渡米しました。帰国を契機に、日本の新聞社への入社を志しましたが、当時の日本のメディアの実態に失望した部分もあり、入社を断念。その後、起業して現在に至っています。米国では、かなり気軽に起業しますので、その影響もあったと思います。
ブログは、かなりカジュアルな話題で、どうしたら伝わるかを試行錯誤しながら記載しています。文字だけに抵抗がある方もいらっしゃると思い、ブログには、必ず画像をひとつ入れています。しかし、私より年配の児玉さんのブログの方が、色や画像の工夫が凝らしてあり、まだまだ足りないと思っているところです。
上野:事業継続(BC)のビジネスに携わっており、この中のブログでは、一番硬い内容かもしれません。BCは、平たく言えば災害対策です。ある種、人の不幸にも関わる面がぬぐえないので記載する内容には気をつかっています。
セミナーなど時折開催しているのですが、最初のころはなかなか集客がうまくいきませんでした。しかし、最近ではブログ経由でのセミナーの申し込みなどもあり、次第にBCへの認知度を上げられているのではないかと思っています。中には競合他社さんからの申し込みなどもありますが、日本ではまだまだ市場を啓発する方が重要なので、できるだけ多くの方に知っていただけるよう頑張りたいと思います。
池田:啓発という視点では、こういった使い方もありますよ。例えば、NECの場合、社内でも2万5千人社員がいるため内部でも名刺交換をします。私は、名刺にブログのURLなどを書いてパーソナルマーケティングに活用しています。
また、競合企業のお話ですが、IBMさんではエバンジェリスト制度があります。彼らは、コミュニティにおける有名人(タレント)になることで、ビジネス領域にも活用し、引き込むことができるので非常に有効だと思います。ブログは、こういったコミュニティの有名人の育成に向いているのではないかと思います。NECにもそういう人育てたいとも思っています。
成川:事業環境に関するリポートをNECグループ向けに提供する仕事をしています。最近は、コーディネート的な仕事が多いため、自分の意見を発信する機会が少なくなりつつあります。よく、ものを見る視点が少し他の人と違うといったことを指摘され、そうした自分の見解を参考にしていただいたことも多く、自分には「外からの視点」としての指摘や触発の役割があると気づきました。そこで、こうした視点を活かして外部に発信してみたいと思ったのがきっかけです。
音楽が趣味なので、3年くらい前にプライベートなホームページを開設しましたが、やはり更新に限界を感じて挫折していました。1年半ほど前にブログを使って、毎週一番よく聞いたCDにまつわる自分の思いとか考えを書きはじめてみたところ、これが意外にも楽しくて、現在に至るまで無理なく続けることができました。
5月からWisdomでブログを担当させていただいてますが、プライベートなブログに比べ、ある程度会社への配慮などもありますし、記述内容には気を使います。しかし、こうした情報発信の機会が、自分を高めるために役立つのは間違いないと思って頑張っています。
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藤木:コンテンツの開発と制作に携わる業務をしています。NECさんのコンテンツなども手がけていますが、もともとは、文系出身なので、ITに詳しくなくても分かりやすいものを発信することを心がけています。
分からない人にもわかってもらおうという思いから、難しいことをおもしろく、分かり易く伝えることがモットーです。
ところで、最近は新規事業を支援するお仕事が多く、企画書の書き方などの書籍も出版しました。しかしこうした企画開発の仕事を続けていると非常にストレスが溜まることが多いのですね。そのため、ブログを使って、自己発散のために日記を記載していますので、実は自分のためにやっています。というのも、ブログでは、自分を好きになってもらいたいという非常にナローキャストなものだと思って展開しているので、自分を好きになってくれる数人だけに読んでもらえればいいと考えてます。つまり、お馴染みさんが毎週1、2人でも増えてくれるといいと。時々、私のブログには人生相談的なコメントも寄せられて、少ないお馴染みさんに深くかかわるといった性格のブログになっています。ブログは、意外にこういったナローキャストな発信にも向いているのではないでしょうか?アクセス増加には貢献していないかもしれませんが…(笑).
事務局:藤木さんのブログは、徐々にアクセスも増えているので、そういった固定客の方が着実に増えているように思います。マイペースで、個性が出ているブログだと思います。
藤木:正直、私のブログを好きじゃない人には見てもらわなくてもいいと思っています。
更新頻度も高い代わりに、完成度は低いのですが、これも私のいいところと思っていただけるといいのかと思っています。学校でも、好きな先生の教科は、よく理解できたのと同じように、論理ではなく好きだということでより理解を深めてもうらえればいいのかと思っています。
林:ブログの世界では、業界のヒーローになるような幅広い対象に向けた情報発信が多くなってきた一方で、このような少数の対象に向けたブログも増えており、2極分化が進んでいると米国でも言われているみたいですね。
池田:確かに、気にかけてもらえないなら嫌われたほうがいいかもしれません。(笑)
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