自然と人工(川の姿の今昔)
もう2週間くらい前だけど、近所の川でホタル祭りをやってた。
人工的に飼育したホタルを、2日間だけ川に放して見物するってやつ。
暗い中で、ふわ~と点滅しながら飛び交うホタルってのは、なかなか心が和むものだよね。屋外でホタル見たのは、たぶん幼稚園頃の時以来かな。
一匹、オレのところに寄ってきて胸にとまったよ。
オレの汗は甘いのかい?
糖尿病だからな-( ・∀・ )
テレビのニュースなんかで、ときどき、ホタルのいる川べりの映像なんてのが、放送されることがある。暗闇の中を、無数の青白い光が現れては、消え、乱舞するさまは、とても幻想的で美しいよね。
それから、深夜の、番組がない時間帯に流される、環境ビデオ風の小川のせせらぎや、滝の砕ける映像なんてのも、なんともいえない気持ち良さというか、安らぎを感じて、飽きがこない。
ああいうのをみると、実際にその場にいって、この目、この肌で、それを感じてみたいなあって、つくづく思う。つまり、あの風景は、それだけ都会生活の日常からはかけ離れた、別世界のものなんだよね。
でも、考えてみると、ああいう自然の姿って、30年前とか50年前なら、さほど珍しくもない、日本全国どこにでもあったもののはずだ。それがどうして、珍しい、まるで別世界の映像になってしまったんだろうか。
その最大の理由は、明治以降、とくに太平洋戦争後にすすめられた、河川の改修工事にある。
つまり、洪水や河川の氾濫を防ぐために、河川の岸や河床をコンクリートで固め、上流にダムを作ってきたことが、河川まわりの自然を決定的に壊してきたんだよね。
今となっては、バカな事したもんだって感じだけど、これまでこんな河川改修が行われてきたのにも、もちろんそれなりの理由があったわけだ。
たとえば今では、河川が氾濫して大きな被害が出るなんてことは、そう滅多にはないけれど、それはこの河川改修工事によるところが大きい。それに、コンクリートによる護岸工事は、色々メリットのあるやり方でもあったんだよね。
本来、自然の川というのは、くねくねと曲がっていて、河床も川の側面もデコボコしている。つまり、それだけ水が流れる時の摩擦が大きくて、水は流れにくく、流れる速度も遅かった。
さて、そこで川の流れをまっすぐにして、護岸や河床をコンクリートで固めてしまうとしよう。
コンクリートの護岸は、表面が平らだから摩擦が少なくて、同じ断面積だと、自然の川の2倍の流量がある。逆に同じ流量を流すなら、小さい断面積ですむわけ。
つまり、摩擦が減ったぶん、堤防を高くしないですむから、工事費も安上がりになる。しかも、川を真直ぐに作りかえちゃうわけだから、河川敷きも必要なくなって、土地の少ない都会では、川のそばまで家を建てることができるようになった。
つまり、災害対策と経済効率を優先させる時代にあっては、これはわりと良い方法だっんだよね。
ただ、時代が変って今の目でみてみると、それはちょっと粗雑すぎやしないかって感じがするようになったわけね。
川ってのは、本来、ただ水がただ、だーっと流れているだけじゃない。
曲がりくねっていて、岩があったりして、場所場所で、浅かったり深かったり、流れが速かったり澱んでいたりと、ごく狭い範囲をとっても、多様で複雑な環境があるんだよね。
それだから、そこには非常に多くの生き物が、環境を棲みわけて生きられる。
そして、そういうたくさんの生物が、水中の過剰な有機物を吸収して、水の浄化を行うんだよね。
でも、コンクリートで固めた護岸は、その自然の多様性を奪って、川をただの水路にしてしまった。その結果、川が持っていた水の浄化能力ってのも、なくなっちゃったんだよね。
実際、都心を流れる川なんて、ほとんどがドブ川といったほうがいいくらい。
また、そういう水路は、雨が降ると、大気中の汚染物質を濃く含んだ水を、一気に海まで運んで、海まで汚染してしまう。まあ、これは地面が舗装されて、雨が土にしみこまないことも悪いんだけどね。
人工の川は、川本来の美しさを損なって、浄化作用の低下はいろいろな問題をもたらしている。こういう姿を見て、やっぱ自然がいちばんという人もいるんじゃないかと思う。
でも、比較的安価に川の安全を確保し、土地の利用効率を上げたんだよね。
自然な川は美しく浄化作用もあったけど、しょっちゅう氾濫して近隣に被害をもたらしたり、付近の土地を人が利用するにも限度があった。
人には、空気のように享受しているメリットには気づきにくいけど、デメリットにはすぐに目が行く認知的歪みがある。だから、人工の川のメリットは目前にあってもあまり気づかず、デメリットばかり気になっちゃうと言うことはあると思う。
そういう意味では、昔の自然に回帰するのではなく(今さら無理だし)、かといって今の人工護岸のやり方じゃない、別のやり方ってのがこれからは望ましいんでないかなあ。
最終更新時間 2009年06月22日 14:38
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