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2008/06/29

スキンタイト宇宙服

宇宙服と言えば、NASAも新世代の宇宙服のイメージを発表している。

正直、萌えが足りないね。

これからの宇宙服と言えば、これまで何度かコメントを寄せていただいた、SF作家の野尻抱介さんの作品に登場する、スキンタイト宇宙服みたいのが絶対欲しいところ。

つまり、肌にぴっちりフィットして、自由に動き回れるって感じの宇宙服ね。

ガンダムに出てくるノーマルスーツも、まあ、あれはボディラインが際だつほどではないけど薄手な服で、NASAのやつみたいにボコボコしていなくて、かなり気楽な感じ。

ああいうものは、現実には作れないのだろうか。

実はそういうものを研究している人もいて、たとえば、MITのダバ・ニューマン教授は、バイオスーツという名前で、スキンタイト宇宙服の研究を行っている。

全身を覆うスーツに、伸縮性がある生地を使えば、体にぴたっとフィットして動きやすい。ただそれは、ふつうは空気のある地球上でしか成り立たない。

伸縮性があるということは膨らむと言うことで、内部に空気があると、どうしても風船になってしまう。繊維が伸びられるだけ膨らんで、パンパンのボールみたいなのになっちゃうわけね。

ただ、人間が体を動かすとき、皮膚は均等に伸び縮みしているわけではなく、大きく伸びるところと、少ししか伸びない場所がある。

そこで、そのほとんど伸縮しないラインを探し出して、その線に沿って強度の強い伸縮しないケブラーなどの糸を入れ、その糸の力で服が膨らまないようにするってのが、バイオスーツの仕組みだ。

イメージとしては、きめの細かいビーチマットみたいな感じで、伸び縮みしないライン以外のところは、カマボコ状に膨らんだキルトっぽい感じになると思うけど、これだと体にフィットして、かつ服の内圧を1気圧にしても、わりと自由に動ける宇宙服になるはずだ。

ただ、この伸縮しないラインを探すのは、それほど簡単な事じゃないみたいで、アイデアは面白いと思うけど、理想的なものはなかなか難しいみたい。まあ、昔からある宇宙服の一部に、この発想を取り入れるという感じが、現実的な回答なのかも。

そこでちょっと、ぼくのオリジナルの思いつきを披露しよう。
それは、服と体の間に、液体を満たす方法だ。

いにしえのSFテレビドラマに、『謎の円盤UFO』ってのがあった。
そこに出てくるインベーダー(といっても、さらわれた人間が洗脳されて使われている)が着ている宇宙服には、緑色の液体で満たされていて、液体を呼吸する作りになっていた。

これに近い感じで、首から下のスキンタイト的な服の中に液体を満たしてやる。

すると、液体は体積を変えずに変形できるので、服自体は膨らむことなく、全ての関節を自由に曲げ伸ばしできるわけ。

超深海に潜るわけじゃないから、液体呼吸にする必要はないので、首から上のヘルメットの中は1気圧の空気を呼吸すればいい。

問題は、真空だと、たいていの液体は沸騰しちゃうんだよね。宇宙服内で液体が沸騰すれば、やっぱりパンパンに膨らんで使い物にならない。

ところが、世の中面白いもので、真空中でもほとんど全くと言って良いくらい蒸発しない液体がある。

最近研究が進みつつある、イオン液体という物質がまさにそういうもので、これを使うと真空中の映像しか見られないはずの電子顕微鏡で、濡れた生物切片とかを観察できる。

塩化ナトリウムは常温で固体だけど、高温にすると結晶がとけて、ナトリウムと塩素がばらばらに混じり合った液体になる。この液体は、熱くても蒸発しない。

で、それと同じように、イオン液体は常温で液体なのに蒸発しない。昔は、蒸気圧がゼロとさえ思われていたらしい。

イオン液体というカテゴリーには、いろいろな物質があって、種類によって生物親和性が良かったり、電気伝導に優れていたりするので、皮膚の保護や放射線の防御、冷却機能などを持たせたイオン液体を作ることもできるかも知れない。

これだと服を着てから、液体を注入するという手間はかかるけど、体にフィットして動きやすいものになるんじゃないかなあ。

将来の宇宙服は、バイオスーツやイオン液体スーツを肌着的に着用して、必要に応じて、その上からパワード・スーツを着るみたいなのが、標準的な運用になるのかもしれない。

最終更新時間 2008年06月29日 09:35

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このリストは、次のエントリーを参照しています: スキンタイト宇宙服:

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トラックバック時刻: 2009年10月13日 12:54

 スキンタイトスーツ悲観論者としてコメントします。
 たとえ真空で蒸発しない液体でも、0.6~1気圧で人体を圧迫してくれなきゃ意味がないです。(0.6気圧=予備呼吸が不要になる最低の気圧)
 その圧力を維持するためには関節が曲がっても容積変化のないスーツが必要で、もはや液体を満たす意味はなくなります。
 MITのバイオスーツは伸縮しない線を作ることでごまかそうとしていますが、柔軟な場所があればその部分が膨らんで“亀甲縛り”状態になるでしょう。それを防ごうとして伸縮不能にすると、結局全身が剛体になってしまう。服の中にあるものは必ず最小エネルギー状態(体積最大の状態)を見つけてしまうので。MITのは、柔と剛の間のどこかに妥協点を探しているのだと思います。

 たとえ液体呼吸して体内の気体を除いても、ミクロに見ていけば、細胞内は液体ですから外圧がなくなれば沸騰するでしょう。ただちに全身が破裂することはなくても、低圧にさらされた部分から人体は損傷していきます。

 私は現実路線として、「服」にこだわるのをやめては、と考えています。軌道上で使うなら「脚なんか飾り」ですから、剛体のカプセルから腕を生やしたものにする。重力下で使うならパワードスーツ化した手足をつける、みたいな。

投稿者 野尻抱介 : 2008年06月30日 14:36

「関節が曲がっても容積変化のないスーツ」でなく、「関節を曲げようとすることによる発生するスーツ内の気圧の増減を圧力センサーで受けて、体から出っ張った”気圧調整袋”に空気を逃す(袋は膨張)か、足りない空気を引き入れる(袋は収縮)させることによって、楽に運動できるスーツ」は作れないのでしょうか。スーツと調整袋の接点に真空ポンプの双方向バージョン、しかも応答時間が数msの高性能版があればいけそうな気がするんですが。

投稿者 kk : 2008年08月21日 23:06

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