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2008/06/30

遺伝子削除作物

既存の遺伝子組換え作物が人体に少しでも害を及ぼすとは、オレは全く思わないんだけど、世間的には「ケガれた」存在と認識されてしまっていて、これはもうどんなに理を解いても、なんとなくイヤだなって思っている人の気持ちを変えるのはまあ不可能なんだろうね。

食べたら虫が死ぬようなものを、人が食べても大丈夫なの?みたいな不安は、まあ、ほとんど、そういうものが産まれてきたいきさつを知らない無知によるものなんだけど、そう思う人が出てしまうのも、致し方なしとは思う。

オレは値段が安けりゃ5万トンでも食うけどね。( ・∀・ )

で、結構前のことなんだけど、遺伝子削除作物というのを考えた。

遺伝子組換え作物は、なにか別の遺伝子を加えているから、みんなに怪しまれる。虫にしか有毒でない物質を作る遺伝子を、カビから取ってきて入れるとか。

でも、逆に作物から遺伝子を削除するだけならどうだろうか。

一般的な品種改良や、遺伝子組換えは、様々な環境に対する耐性をつけたり、如何に収量を上げるか、栽培をしやすくなるかを目的に行われる。

生物の持つ遺伝子の大半は、実は耐環境性のためにある。

温度が変動したり、pHが変動したり、バクテリアやウイルスに耐えるためとか、台風の風で倒れないように背丈を小さくしたりといったこと。品種改良はそういうところにフォーカスして行われる。

でも、人工環境で栽培することを前提にすると、そういう遺伝子は必要無くなるのね。

だから、完全に温度もpHも光の量もコントロールされ、かつ無菌の環境での栽培を前提にして、耐環境遺伝子をどんどん削ってしまう。

すると、その作物は、人工栽培環境下でしか生きられないけど、耐環境遺伝子がない分、そういうことの無駄にエネルギーを使わないので、効率よく育つようになるかもしれない。

これだと、別の生物から「農薬成分」みたいな新しいものは何も持ってきていないので、それで怪しいといわれる筋合いはないと思う。

まあ、あまり色々削りすぎると、作物の味覚や香りなどは、病害虫を寄せ付けないための防衛物質によるものもあるだろうから、味も素っ気もなくなってしまう可能性もある。まあ、そこは適当にバランスさせるわけね。

原理的には、水耕栽培などの人工環境で、すべての作物は栽培可能らしい。

もっとも、この種の人工栽培は、これまでコストの面で露地栽培に全くかなわないので、サラダ菜とか、ごく限られたものしかないし、技術的にあまり深く検討されてきていない。

向き不向きもあって、たとえばイモ類は、土の圧力がないとイモにならない。だから、培養液につけただけだと、葉っぱはぼうぼう茂るけど、イモが全くできなかったりするみたい。でも、これも、培地を工夫したり、圧力をかけて栽培することで、イモを生らすことができるという。

このところの世界的な燃料コストの上昇で、農作物を作るための燃料費が上がったことで、食べ物の値段が上昇し、食料自給率、食糧安保ということが問題視されてきている。

ということは、ある程度高コストでも、人工栽培の作物の意味が相対的に出てきているのではないかな。

たとえば、地下に水耕栽培設備を作れば、温度コントロールなどにかかるエネルギーは少なくてすむ。

地下でなくても、製鉄所とか火力発電所のすぐそばにこういう農作物工場を作るのもいいかもしれない。工場から排出される炭酸ガスをここに入れて、炭酸ガスリッチな環境で栽培すれば栽培効率も上がるし、工業設備の廃熱を利用して、環境の温度のコントロールをすることもできる。

光は、作物が効率よく取り入れられるLED光を使い、24時間栽培するか、昼間電力が高いなら、夜間電力をメインに使ってもいいだろう。

すでに今の農作物は、年中食べられるトマトとかイチゴとかに象徴されるように、ハウス栽培で、かなりのエネルギーを投入することで作られているものが少なくない。

だから、作物工場のような人工環境を前提に、遺伝子削除作物を作れば、露地栽培の作物との価格差はかなり縮められるのではないだろうか。

しかも、農薬とかを一切使わないのに病気もないものが作れる。

また、気候変動による不作の影響もほとんど受けず、食糧自給率に対する不安もかなり解消できるんじゃないかな。

ただ、一つボトルネックがあるとすると、農作物は、薄利で膨大な量を売ることではじめて利益が出るものだってことだろう。

遺伝子削除作物と作物工場のセットを開発するには、膨大な金額の初期投資が必要になる。従来の農業の発想では、そんなお金はどこからも出しようがない。

世界の誰もまだ心みていないものに、どかんと金を出す必要がある。こういう事って、日本は苦手なのよねん。

ヒトゲノムプロジェクトがはじまる前、生命科学にこんな膨大な予算をつけるなんて意味ないしバカげているって声がだいぶあった。でも、今では、得られた成果は生命科学の分野を革命的に変えて、ものすごい発見や、新しい技術開発に無くてはならないものになっている。

世界に先駆けていろいろやっとくと、知的財産としても良い感じになるんでないかなあ。

現状、なかなか難しそうだとは思うけど、もしそういうことができれば、将来的には電力会社や製鉄会社が、農作物を売るようになるかもね。

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イカ釣り漁がたいへんらしい

するめうまいんだな。
あたりめとか、食べ始めるといくらでも食べたくなる。
いまきづいたが、あたりめってのは、縁起を担いだ言葉なのか。
それはともかく、

燃料費の高騰で、イカ釣り漁が採算割れしているという話はしばらく前から聞いていたけど、昨日テレビで、集魚灯の電力が燃料費の70%を消費しているってはなしを聴いた。

イカ釣り漁の集魚灯の明るさは、宇宙からも異常と言っても良い範囲で光っているのが見えたりする。

夜間可視衛星画像によるサンマ・スルメイカ漁船分布の解析

あれはどう見ても、超無駄なんでないのって思った。

イカ釣り漁船のランプは完全にむき出しだ。あれでは少なくとも半分の光は無駄になる。上に逃げる光を下へ反射させるミラーの傘をつけてやれば、理想的には半分の燃料で同じ効果が出せる。

そうなれば、宇宙から光を見られて恥ずかしい思いもせずにすむ。

まあ、これは集魚灯に限らず、地上の街頭も、こういうやり方でできるだけ省エネにして欲しいと思うんだけどね。デザイン重視で、上に向かっても光を放つものがけっこうあるかんじだけど、そういうデザインに規制をかけてもいいのかもなあと思う。

イカ釣りの集魚灯に関しては、ミラーの傘をつけるだけで、理想的には燃料費の35パーセント近くが減らせる。それができれば、相当楽になるんでないか。

……とか思ったら、すでにそういう主張をしている、漁り火を考えるというWebページを見つけた。

このページによると、集魚灯をLEDに変えるなど新しいシステムを開発して、集魚灯の消費電力を3分の1にすれば、年間400万円の経費節減ができるとのこと。

まあ、新しいシステムを開発したり、それを購入するにはかなりお金がかかるので、今すぐそういうことをするのは不可能だろうけど、今のこの燃料費高騰の時期を乗り越えれば、省エネ集魚灯の導入を考える人も出てくるんじゃないかな。

それにしても、イカ釣りに必要な光の量について、これまで学問的にどのていど検討されているのだろうか。

おそらく、イカには昼は上の方に上がり、夜は深海に潜る習性があって、イカ釣り漁は、イカに上が昼と誤認させるために集魚灯を使っている。

また、非常に単純な仕掛けのロボットで釣り上げていて、これは大量の群れが上に上がってくることを前提にしているのだろう。

そういうわけで、船団を組んで、海を面的に光らせて、かつ深海までその光が届く必要はたぶんある。

でも、これまでのイカ釣りの集魚灯は、経験的に明るきゃ明るいほど釣れるんじゃないかみたいな感じで決まってきたものだろうし、そのため何処まで暗くしても大丈夫かとか、どういう当て方が良いかは、あまり掘り下げられていないんじゃないかと思うんだよね。そんな研究につきあってたら、稼げないもんね。

まあ、研究があったとしても、これまではあまり漁民が取り入れる気にはならなかったんだろうけど。

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2008/06/29

スキンタイト宇宙服

宇宙服と言えば、NASAも新世代の宇宙服のイメージを発表している。

正直、萌えが足りないね。

これからの宇宙服と言えば、これまで何度かコメントを寄せていただいた、SF作家の野尻抱介さんの作品に登場する、スキンタイト宇宙服みたいのが絶対欲しいところ。

つまり、肌にぴっちりフィットして、自由に動き回れるって感じの宇宙服ね。

ガンダムに出てくるノーマルスーツも、まあ、あれはボディラインが際だつほどではないけど薄手な服で、NASAのやつみたいにボコボコしていなくて、かなり気楽な感じ。

ああいうものは、現実には作れないのだろうか。

実はそういうものを研究している人もいて、たとえば、MITのダバ・ニューマン教授は、バイオスーツという名前で、スキンタイト宇宙服の研究を行っている。

全身を覆うスーツに、伸縮性がある生地を使えば、体にぴたっとフィットして動きやすい。ただそれは、ふつうは空気のある地球上でしか成り立たない。

伸縮性があるということは膨らむと言うことで、内部に空気があると、どうしても風船になってしまう。繊維が伸びられるだけ膨らんで、パンパンのボールみたいなのになっちゃうわけね。

ただ、人間が体を動かすとき、皮膚は均等に伸び縮みしているわけではなく、大きく伸びるところと、少ししか伸びない場所がある。

そこで、そのほとんど伸縮しないラインを探し出して、その線に沿って強度の強い伸縮しないケブラーなどの糸を入れ、その糸の力で服が膨らまないようにするってのが、バイオスーツの仕組みだ。

イメージとしては、きめの細かいビーチマットみたいな感じで、伸び縮みしないライン以外のところは、カマボコ状に膨らんだキルトっぽい感じになると思うけど、これだと体にフィットして、かつ服の内圧を1気圧にしても、わりと自由に動ける宇宙服になるはずだ。

ただ、この伸縮しないラインを探すのは、それほど簡単な事じゃないみたいで、アイデアは面白いと思うけど、理想的なものはなかなか難しいみたい。まあ、昔からある宇宙服の一部に、この発想を取り入れるという感じが、現実的な回答なのかも。

そこでちょっと、ぼくのオリジナルの思いつきを披露しよう。
それは、服と体の間に、液体を満たす方法だ。

いにしえのSFテレビドラマに、『謎の円盤UFO』ってのがあった。
そこに出てくるインベーダー(といっても、さらわれた人間が洗脳されて使われている)が着ている宇宙服には、緑色の液体で満たされていて、液体を呼吸する作りになっていた。

これに近い感じで、首から下のスキンタイト的な服の中に液体を満たしてやる。

すると、液体は体積を変えずに変形できるので、服自体は膨らむことなく、全ての関節を自由に曲げ伸ばしできるわけ。

超深海に潜るわけじゃないから、液体呼吸にする必要はないので、首から上のヘルメットの中は1気圧の空気を呼吸すればいい。

問題は、真空だと、たいていの液体は沸騰しちゃうんだよね。宇宙服内で液体が沸騰すれば、やっぱりパンパンに膨らんで使い物にならない。

ところが、世の中面白いもので、真空中でもほとんど全くと言って良いくらい蒸発しない液体がある。

最近研究が進みつつある、イオン液体という物質がまさにそういうもので、これを使うと真空中の映像しか見られないはずの電子顕微鏡で、濡れた生物切片とかを観察できる。

塩化ナトリウムは常温で固体だけど、高温にすると結晶がとけて、ナトリウムと塩素がばらばらに混じり合った液体になる。この液体は、熱くても蒸発しない。

で、それと同じように、イオン液体は常温で液体なのに蒸発しない。昔は、蒸気圧がゼロとさえ思われていたらしい。

イオン液体というカテゴリーには、いろいろな物質があって、種類によって生物親和性が良かったり、電気伝導に優れていたりするので、皮膚の保護や放射線の防御、冷却機能などを持たせたイオン液体を作ることもできるかも知れない。

これだと服を着てから、液体を注入するという手間はかかるけど、体にフィットして動きやすいものになるんじゃないかなあ。

将来の宇宙服は、バイオスーツやイオン液体スーツを肌着的に着用して、必要に応じて、その上からパワード・スーツを着るみたいなのが、標準的な運用になるのかもしれない。

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宇宙服とパワードスーツ

 カシオからデジタルカメラのEXILIM PRO EX-F1 ってのが出ていて、これが微速度撮影(高速で動くものをスローモーションで捉える)や秒間60コマの高速撮影、あと、ゆっくり動くものでも擬似的に流し撮り(中央の被写体はくっきりだけど、まわりの景色がぶれてスピード感がある写真)が撮れたりして、なかなか面白そう。ほしい。

 それはともかく、スローで撮ると宇宙空間になるらしいよ。( ・∀・ )

 このデイリーポータルZの記事は、なかなか着想が素晴らしいと思うけど、でもどうしてスローな動きが、宇宙をイメージさせるんだろう。

 その理由の一つは、無重力の場所で、ふわっと漂っていると、それだけで何となくゆっくり動いているように見えるのと、漂っていながら何の支えもないところで手足を素早く動かすと、角運動量の保存則とかの各種保存則がもろに効いて、体があらぬ方向に回転してしまうからじゃないかと思う。

 あと、これまでの船外活動用の宇宙服は自由に手足を動かせるわけではなくて、色々と関節の動きに制限があるので、それが地球上の動き方に比べると、ずいぶん違った感じに見えるって事もあるんじゃないかな。

 一口に宇宙服といっても、用途にあわせていくつか種類がある。。

 たとえばスペース・シャトルの打ち上げの時など、飛行士はオレンジ色の宇宙服を着ているはずだ。

 今年の2月、スペースシャトルで土井隆雄さんが宇宙に行くというニュースが流れていたんだけど、そのほぼ同じ時期に、ロス疑惑の三浦和義さんがサイパンで殺人容疑で逮捕された。で、このとき三浦さんはオレンジ色の服を着ていたので、友人の一人が、はあ~みうらさん宇宙へ行くんだ~ってボケてたよ。

 このオレンジ色の服は、そのまんま、アメリカの「オレンジスーツ」という名前の宇宙服で、打ち上げと帰還の時に着るものだ。同等のものとして、ロシアでは「ソコール」という名前の宇宙服がある。

 このタイプは、軽量で動きやすく、海に落ちても大丈夫といった、事故が起きたときの安全性を配慮して作られているんだけど、真空の宇宙での作業に使えるような機能は持っていない。

 一方、宇宙での船外活動用の宇宙服としては、アメリカは「船外活動ユニット」(EMU:Extravehicular Mobility Unit)があり、ロシアには「オーラン」がある。

 オーランはヘルメットの上に天窓があって、全体が一体化した、イメージとしては着ぐるみみたいな感じの宇宙服だ。

 背中のハッチをパコッと開けて潜り込み、服の前から出ている紐を引いてハッチを閉めるだけなので、一人で15分で着ることができる。また、内部の与圧は0.4気圧で、真空中へ出る準備はEMUより早くすむ。

 ただ、重さは130キロで動きの自由度は少なく(股関節とかはあまり曲がらないとか)、ふくらみも大きくて、動きやすくはないみたい。

 一方EMUは、生命維持装置、宇宙服、補助装置の3ユニットで構成されていて、全体で120キロくらいある。

 このうち生命維持装置は、空気供給や二酸化炭素の吸収、気圧や温度のコントロールを行い、電力供給や通信機能も受け持つ装備で、背中に背負う形で取り付けられる。

 また、補助装置は、飲料水用のパックや、ライトやビデオカメラ、飛行士を宇宙船に繋ぎ止めるひも(テザー)などのオプションパーツ類のことをいう。さらに、これに加えて、宇宙遊泳をするときには、ガスを噴射して移動するための有人機動ユニット(MMU:Manned Maneuvering Unit)が用いられる。

メインの宇宙服は、上半身、下半身、手袋、ヘルメット、冷却下着などのパーツでできた気密服だ。しかもこれは、3層の冷却下着、2層の気密層、9層の宇宙環境保護層の合計14層の重ね着方式。

十二単もびっくりな代物で、一人で着るのはまあちょっとムリ。気密を保つために、動きの制約も多くて、たとえば腕は、ひじから下は動くけど、肩はほとんど動かないし、足も前後には動いても、左右に開くことはできない。また、内圧は0.27気圧で、オーランより若干低い。

宇宙服の内圧が、1気圧より低く設定されているのは、そうじゃないと真空中で身動きが取れなくなるからだ。

真空中に出た宇宙服は、風船みたいにパンパンに膨らんで、関節の曲げ伸ばしに大きな力が必要になる。1気圧では、下手をすると大の字に伸びきったまま、手を握ることさえできない。できたとしても、ものすごく力が必要で、あっという間に汗だくになり、ヘルメット内部も曇ってしまうだろう。

そこで宇宙服は、内圧を下げて、力をあまり入れなくても動けるようにしているわけだ。

ただし3分の1気圧の空気では、酸素が薄すぎるので、宇宙服では呼吸用に純酸素が用いられている。

一方、シャトルや国際宇宙ステーション(ISS)のキャビン内は、通常は1気圧(酸素21%、窒素79%)が保たれている。

この環境にいた人が、いきなり3分の1気圧の中に出ていくと、減圧症になる可能性がある。つまり、1気圧で血液や体液に溶け込んでいる空気中の窒素ガスが、減圧によって気泡になって出てきてしまう。血がサイダーみたいに、シュワシュワしちゃうわけね。

こうなると、よくて関節などの激しい痛み、下手をすると血栓ができたのと同じで、脳卒中や心臓発作を起こしかねない。

そこで船外活動をはじめる12時間以上前から、プレブリージングという、体内から窒素を抜く操作が行われる。具体的には、まず1気圧下で60分間純酸素を呼吸し、その終了直前にキャビン内の気圧を0.7気圧(酸素 27%、窒素73%)に下げて12時間以上保ち、最後に宇宙服を着て40分~75分の純酸素を吸って、ようやく外に出られるわけだ。

つまり今の宇宙服では、思い立ったら即宇宙ってことはできないわけね。

もっとも、この手順は繊細なアメリカの基準で、ロシアではプレブリージングなんかあまりしなくても、案外大丈夫だよ~みたいなレポートもあったりするらしい。

EMUの宇宙服が14層もあるのは、内側は水を循環させる冷却下着で、それを気密層で覆い、全体が膨らみすぎないように押さえる層や、層間の摩擦を小さくする層、断熱のためのゴムやアルミ蒸着層、小隕石対策のケブラーで補強されたゴアテックス層など、色々な機能を持たせるためだ。これに加えて、心電計などのバイタルモニターや、飲料水の供給器、紙おむつまで備わっている。

気密性と安全性を考慮して、かなりがんばって作られてはいるものの、将来、月面での有人活動が再開され、月面基地などの建設を人間が行うようになる状況を想定すると、今のままのEMUでは、やっぱり不便だとおもう。

なにしろ、重さが120キロあるわけだから、重力が6分の1の月面でも、最低20キロ相当の重りをつけて動くことになる。また、日なただと地面からの照り返しもあるので、断熱と冷却は、船外活動用よりもしっかりやる必要があるし、手足の可動範囲もより自然に近づけないと、作業効率に影響するだろう。

これらの難しい問題を解決する一つの答えが、固い殻で体を包み、関節を曲げても内部体積が変化しない外骨格型のスーツだ。

これなら内部を1気圧に保っても、風船のように膨らんで、身動きがとれなくなることはない。つまり、プレブリージングなどしなくても、必要なときすぐに真空中に出て作業を行えるわけだ。また、耐熱耐寒耐放射線などの機能も、この方式のほうが与えやすいだろう。これは見方を変えると、パーソナル宇宙船みたいなものともいえる。また、重量はあまり軽量化できないだろうから、どうしてもパワー・アシストが必要になるわけで、そうなればまさにパワード・スーツそのものだ。

昔、ガンダム関係の記事を書いたときに、こういうものから発展してモビルスーツが生まれたというようなストーリーにしたんだけど、今では、こういう宇宙服の開発も現実味を帯びてきているんじゃないかな。

かつて、H2ロケットの開発を主導した五代富文さんも、新世紀の宇宙服を創ろうと言っていたりする。

日本は、現実問題として、宇宙開発にあまりお金は使えない。だけど、こういうタイプの宇宙服を考えるという課題は、お金をそれほど極端にたくさん必要としないだろうし、日本の得意分野を色々総合できる。それに、宇宙服はある意味、小型の有人宇宙船みたいなものだから、その意味でも面白い。

問題はあまり重く複雑になりすぎると、それを宇宙に持って行くのが大変で、現実に使いにくくなるかも知れないということ。技術的には、けっこう難しいと思うけど、それだけにチャレンジングな課題なんじゃないかな。

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